シアトルアイショット   作:CanI_01

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ミードと冒険と現実

目の前には豚の丸焼き、様々なサラダ、パンにオートミールが所狭しと並んでいる。

酒は今まで飲んだことも無いような甘くて口当たりが良いミードだ。

俺達は巨人に仕える黒ドワーフの住処から見事に財宝を奪い返してきた。

今はその祝勝会と言うわけだ。

 

「黒ドワーフの殲滅に乾杯!」

 

「乾杯!」

 

お互いのジョッキを打ち鳴らす。

特に今回は仲間の被害もなかったから皆ご機嫌だ。

 

せっかく手に入れた財宝を手放すのは惜しいが日々ご馳走が振る舞われ、美女がいつもサービスをしてくれる環境を考えれば安いものだろう。

 

更に功績を積めばオーディンとやらがもっと良い待遇を与えてくれるらしい。

 

「おい、そっちの肉を取ってくれ。」

 

「これは俺のだぞ」

 

「おいおい、足りなければまた頼めば良いだろう」

 

そんな軽い言い争いをしていると侍女が静かに追加の食事を持ってくる。

彼女たちは愛想が無いが文句も言わず食事のサーブをしてくれている。

 

様々なサービスをする役割分担が細かく決まっているようで決まり以外の事を求めるとやんわりと拒否される。

俺達が勇士としてオーディンに招かれているように彼女たちも役割があり、それを破れないらしい。

 

そんな生活も何日かすると冒険に出たくなる。

 

「何か俺達の力が必要な事件はあるかい?」

 

ゲームのクエストのようだが専任で調査する連中がいて、俺達は戦うのが仕事と言うわけだ。

 

「今大規模なトラブルはありませんね。」

 

残念だが、世の中平和なのは良いことだ。

 

「ですが、少し離れた場所の村人から近くに数体のゴブリンが住み着いて困っていると言われていますね。」

 

ゴブリンぐらいなら俺1人でやれるだろう。

ヴァルハラのゴブリンは弱い。第六世界のゴブリンとは全く別物だ。

 

「わかった。俺が殲滅しよう。場所を教えてくれ。」

 

提示された地図を見るとかなり遠いが仕方あるまい。

俺は地図を頼りに助けを求めてきた村を目指し翌朝ゴブリンの巣穴を目指した。

 

洞窟に飛び込んだ俺にゴブリンごときが俺に資格を問う。

 

「は! 俺のライセンスはこれだ、好きなだけ認証しな。巨人の手先め!」

 

銃弾を叩きこまれ弾け飛ぶゴブリン。俺の敵ではないようだ。

 

奥では子供のゴブリンとメスのゴブリンが俺に恐れをなし泣きわめいている。

だが、ゴブリンに情けは禁物だ。

 

「ゴブリンのガキか!」

 

俺が銃の引き金に指をかけた時岩の影からメスゴブリンが飛び出しクロスボーを撃ち込んできた。

 

身を翻すが間に合わずその矢が腹に突き刺さる。

その衝撃はまるでスタンガンのようで俺の視界が闇に染まっていく。

 

ここまでか。

追加の人生と考えれば悪い物じゃなかった。

今一度オーディンの加護があればやり直せるのだろうか。

 

そして、再び目が覚める。

だが、そこは美しいヴァルハラの野ではなく、小汚いシアトルの警察のような場所だ。

何だこれは。

俺は生まれ変わったんじゃないのか。

 

目の前にいる女は間違い無くナイトエラントの徽章をつけている。

 

「目が覚めたようだね。」

 

女が口を開く。

だが、俺は耐えきれず叫んだ。

 

「嘘だ! 俺は生まれ変わったんだ! 頼む、返してくれ、ヴァルハラに! せめて殺してくれ!」

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