ゴーレム、それは篠ノ之束が開発した無人ISであり現在企業が必死こいて第三世代を作成しているのをあざ笑うような性能をしたやべーやつである(小並感)。
篠ノ之束はこれをタイミングよくIS学園で織斑一夏が模擬対戦を行っている最中に落として白式の新たな力を引き出そうと画策していた。
もちろん独断で私利私欲がだいぶん混じった行動であり、大迷惑であるし被害も一夏と妹の箒以外はどうでもいいと考えている程度である。
現在は空中で最近IS学園に転校してきた中国代表候補性か何かと対戦している一夏を見守りながらタイミングを見計らっていた。
天災には物語の全てが手のひらで動くと考えていた。
『ヤツ』が現れない限り、直接ではないがモニター越しでリアルタイムで見るまでそう思っていた。
『ウオアアアアアアアアアア!』
「げっ!うそでしょ!?」
ISコアを破壊する怪物が、ゴーレムに襲い掛かった。
レーダーに映っていたのではあるが、実のところ反応がISでない上に『ヤツ』の正体や構造が一切不明のためそこら辺にいる動物としか認識がされなかったのだ。
「このタイミングで現れるとか空気読んでよ!」
『ヤツ』は手にしていた『斧らしい物』でゴーレムを殴りつける。
確実に破壊すると言わんばかりに叩きつけシールドエネルギーをガンガン減らしていく姿はまさに怪物。
「くっそ、ここで来るとかやめろよマジで。いっくんの成長のために……………あ、やべっ」
仕込んでいたAIが元から一夏がギリギリ勝てるように設定されていたため化け物の劣化版のような戦闘スタイルが仇となり本物の怪物に押され、墜落していく。
IS学園に。
その言葉はむなしく、墜落するゴーレムは追撃してきたオーズ・プトティラコンボの攻撃によってIS学園のアリーナバリアを突き破り墜落した。
「な、なんだよあれ」
「わたしに聞かないでくれる!?」
喧嘩に近い戦いの決着がつくと思われた瞬間、ナニカがアリーナを守るためのバリアを突き破り強制的に中断してしまった。
それもそのはず、謎のISが降ってきたと思ったら『紫色の恐竜型フルアーマーIS』が追加で突入してきて謎のISを滅多打ちにして破壊してしまったのだ。
条約によってISの兵器化は禁止されている。しかし、目の前にあるのはいったい何なのか、どう見ても兵器と言って過言ではないじゃないか。
『一夏!凰そこから離れろ!奴が「オーズ」だ!』
「あれが……『オーズ』……!」
織斑一夏の姉である織斑千冬の通信によって今目の前にいるモノの正体を知った二人。しかし、どうしても動くことはできなかった。
噂程度でしか知らなかったが、目の前で謎のISに向けられた暴虐を見ると噂が真実であるということを確信してしまったからだ。
曰く、『ISの破壊者』。曰く、『最悪の怪物』。
徹底的にISを破壊する姿からそのような異名がついてしまった。
では、なぜ恐れられているような怪物の名が『オーズ』と知られているのか?
このような話があった、とある紛争にISが条約を無視して極秘に配属された。ISは殲滅作戦で証拠を残さない様に敵の村への空襲や襲撃を行った。
証拠さえ残っていなければ彼らの罪は明るみにならなかった、しかし『オーズ』が立ちはだかった。
襲撃中に突如現れた『オーズ』はISを躊躇なく破壊した、目的は完全にISを破壊することだけらしくコアを抜き取り木端微塵に斧で砕いたのだ。
激しい戦いになったのだが、この戦いに周囲の被害はほとんどなかった。ISと『オーズ』との戦いで流れ弾が村人に飛んでいくのは必然。ISをまとう者らはそんなもの気にせず銃をぶっ放していたが、『オーズ』は流れ弾から身を挺して、翼を広げて守ったのだ。
動機は不明であるが、この件で『オーズ』の興味はISにしかなく、基本的に人々は守るといった守護者のような立ち位置となって一部地域であがめられるようになったのだ。
『オーズ』という名前も守られた者が礼を言おうとしたときにそう名乗ったため、世界中に名が広がった。
『グオオオオオオオオオオオ!』
『ISの破壊者』と救世主の複雑な状態にある謎の怪物『オーズ』、それが今目の前にいる。
ありったけの破壊を謎のISにぶつけているのだ。
少しでも抵抗しようとしていたISはエネルギーが付き、損傷した部分が多すぎるため機能を停止、物言わぬ鉄塊と化しても『オーズ』は手を止めない。
一度停止したことを確認し、斧を振り上げさらなるトドメを刺す体制に入った。
「まさか殺す気か!?やめろおおおお」
「馬鹿一夏!」
凰の制止する声もむなしくブースターをふかして単一仕様である零落白夜を発動させ雪片弐型を振りぬく。
『オーズ』も一夏の接近に対応して斧を振りつばぜり合いのような形でぶつかり合う。
ブースターをふかしていても『オーズ』は不動のまま立ちはだかっている。それどころか白式に押し勝たんばかりに一夏と斧の距離が縮まっていく。
「鈴!今のうちにその人を回収してくれ!」
「言いたいことはあるけど分かった……………えっ」
「どうした!早く」
「そのIS、人が乗ってない!」
「なんだって!?」
最初からぼろぼろの状態で落下してきたため人どころか機体の姿すら確認していなかったため、ハイパーセンサーを通して見えている中身に人が見えないことでようやく事実が発覚した。
その驚きのせいで一夏の気がそれ『オーズ』に雪片をはじかれて蹴り飛ばされてしまう。
その衝撃でエネルギー残量がなくなり一夏は戦闘不能となる。一方、『オーズ』は再び斧を無人ISに向け、その胴体を両断した。
それだけにとどまらない、無人ISに手を突っ込み何かを引きずり出す。
「あれは……………ISのコア!まさか破壊するつもりじゃ」
凰が言い切る前に『オーズ』はISコアを軽く投げてから斧で叩きつけ、木端微塵のガラクタに変えてしまった。
仕事を終えたと言わんばかりに息を吐くような動作をして、一夏らの方に顔を向けた。
「ひっ……………」
一夏は動けない、凰では倒せるヴィジョンが見えない。それどころか零落白夜を発動させた一撃とつばぜり合いを行ってなお活動可能な『オーズ』に恐れを抱いて震えが止まらなくなり動くことすらできなかった。
『……………』
だが『オーズ』は二人を見逃した。大きな翼を広げアリーナバリアを再び突き破り天高くまで飛んで行った。
そして、ハイパーセンサーですら見えなくなったところでようやく硬直してた体が動き、セキュリティが発動してしまったことでアリーナに入ろうとしていた教員らがようやく突入できたことで二人の意識はなくなった。
一人は過剰な疲労で、もう一人は過剰な恐怖で。
これは後に『オーズ』によるIS学園襲撃事件と呼ばれることになるが、彼らと『オーズ』は再び相まみえることとなる。
『オーズ』が全てのISを破壊しない限り、戦いは終わらない。
続……………かない?