範馬勇次郎が行く、SCP財団の機密施設見学会   作:テキーラ11

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3rd Tale 「泣いた恥ずかしがり屋と笑う鬼」

ソレの叫び声は人間の声ではあるが、野獣の様でもあり、猿叫というものが1番近いと言える。

 

そんな誰しもが、迫力と狂気と殺気が入り交じった叫び声には恐怖をおぼえるだろう。

 

だがこの男、勇次郎は怯えるどころか、この先の愉しみを見据えてか、笑っていた。

 

そもそも恐怖とは、自身に対する危機感を感じた時に現れる感情なのだ。

 

地上最強の生物である勇次郎にとって、自分以外は弱者であり、恐怖など感じようが無かった。

 

叫び声が止んだ瞬間、ソレは勇次郎に飛びかかっていく。

 

ソレの正体はアイテム番号:SCP-096、オブジェクトクラス:Euclid、通称:シャイガイ。

 

この、シャイガイというSCPは自身の顔を見た者を殺害するという習性を持っている。

 

戦闘力はEuclidでありながら、keterを含めたSCPの中でもトップクラスである。

 

さらに厄介なのは、映像や写真で、たとえ知覚せずとも、4ピクセル程であろうとも、顔を見た者は必ず殺害する。

 

ある1例のSCPを除いて生き残った者はおらず、対戦車砲やミニガンの掃射にも怪我1つ負わない。

 

シャイガイは勇次郎を引き裂こうと、指先を振るう。

 

それは、人間を紙くずの様に引き裂いて来た必殺の一撃だった。

 

しかし、勇次郎に当たるも、金属同士がぶつかり合うような音を立てながら勇次郎は無傷だった。

 

そこへ、勇次郎の反撃の右ストレートがシャイガイの顔面を捉えシャイガイは吹き飛ぶ。

 

だが、シャイガイは壁をぶち破りさらに転がるも、すぐ様立ち上がり襲いかかる。

 

先程よりもスピードが増したシャイガイの攻撃の全て最小限で躱し、今度はハイキックがシャイガイの顔面を捉える。

 

再度、シャイガイは吹き飛び、それでも勇次郎へと挑み掛かっていく。

 

シャイガイのスピードはさらに上がり、果敢に勇次郎攻め立てるが、その都度勇次郎にカウンターを決められる。

 

シャイガイは引っ掻き以外に、噛み付きや殴打といった攻撃方法も用いる。

 

幾度と無く攻めれば、次第にシャイガイの攻撃が勇次郎に当たり始める。

 

何度も攻防を繰り返していけば、遂に勇次郎に多少の痣を作るに至る。

 

しかし、シャイガイはその何十倍ものダメージが蓄積し、動きも鈍くなっている。

 

まったく弱らない勇次郎を前に、シャイガイはかかと落としを喰らい遂にダウンを喫する。

 

すると、シャイガイは心が折れたのか、自身の顔を手で覆いながら泣き始めた。

 

「おいおい、どうしたぁ?そんなに顔を見られるのが嫌なのか?」

 

ニタニタと笑みを浮かべながら、部屋の隅で顔を隠し泣いているシャイガイに近付く勇次郎。

 

「見るなと言われると見たくなっちまう......貴様の面、拝ませて貰うぜ。」

 

そういうと勇次郎はシャイガイの胸を右足で踏みつけ、両手首をしっかりと握る。

 

そして、シャイガイの腕を力いっぱい引っ張っていく勇次郎。

 

シャイガイも必死に抵抗するが、為す術なく顔から手をひっぺがされる。

 

さらに、シャイガイの腕は引っ張られ、どうやら勇次郎は引き千切るつもりらしい。

 

「なかなか、丈夫じゃねぇか。」

 

そういうと勇次郎はさらに力を込め、血管が浮き出て力こぶは隆起し、踏み締めにより、床には亀裂が生じる。

 

金属が軋むような音と車のタイヤが引き伸ばされる様な音がし始める。

 

勇次郎の服が破け、打撃筋の異常発達による背中に鬼の貌が現れると嫌な音を立ててシャイガイの両腕は肩から千切れた。

 

「ふはははははぁ!!それが、貴様の顔かッッ!?確かに、醜過ぎて隠したくもなるよなぁ!?あーッッははははははッッ!!!」

 

勇次郎は破顔しながら、盛大にシャイガイを嘲り笑い罵倒する。

 

シャイガイは隠す事も出来ずに、ただひたすらに泣く事しか出来なかった。

 

ひとしきり笑い飛ばすと、最後にシャイガイの顔面にかかと落としを入れてからその場を立ち去る勇次郎。

 

後日、シャイガイの頭は、完全に床に埋まった状態で発見される。

 

収容され暫くすると腕は治ったが、更に時間が経過するとオブジェクトクラスsafeに格下げされた。

 

何故ならば、実物、映像、写真に至るまで絵画以外の媒体で勇次郎の姿を見ると怯えて蹲る様になったのだ。

 

シャイガイの部屋には勇次郎の写真が壁一面に貼られ、モニターには勇次郎が映っている。

 

シャイガイは四六時中、部屋の隅で頭を抱えながら震え、泣いているだけだった。

 

時間は巻戻り、勇次郎は施設内を更に探索していると、名状し難い変な人型を見かける。

 

こいつはアイテム番号:SCP-2662、オブジェクトクラス:keter、通称:クトゥルフ ふっざけんな!

 

約4m程の体躯を持ち、背中に触手が20本も生えた人型生物である。

 

オブジェクトクラスはkettelと危険な存在ではあるが、本体は至って常識的な感性を持つ。

 

また本体にはあまり戦闘力は無く、どちらかというと無意識に起こしてしまう事象が危険なのだ。

 

そんなクトゥルフは収容にもかなり協力的で、収容違反も起こそうとはしない。

 

では、何故今、クトゥルフは収容室から出て恐る恐る周りを伺いながら歩いているのか。

 

それは、クトゥルフの収容室の扉が開いたままで、職員の悲鳴などが響き渡っていたためだ。

 

最初はじっとしていたが職員の悲鳴が止んでも開いたままなので、様子を見に来たのだ。

 

そして、クトゥルフは廊下の角から覗き込むと勇次郎と目が合ってしまう。

 

その瞬間、クトゥルフは勇次郎の戦闘力を見抜き、刹那にも及ぶ動きを見せる。

 

膝を折り畳み、手を床につき、頭を更に下に擦り付ける、それはそれは美しい土下座だった。

 

「お願い致します!我は貴方様と争う気は毛頭ありませんので、見逃してください!お許し下さい!殺さないで!」

 

矢継ぎ早の命乞いに、最初は訪れる愉悦に身構えていた勇次郎だが、さすがに、戦闘態勢を解く。

 

「おい、テメェ。ここの奴らに........」

 

勇次郎が何か言いかけるのを遮るように、数人の人間が仔牛を連れて現れる。

 

これらは、クトゥルフの特殊能力信者召喚によるもので、クトゥルフの意思に関係なく現れる災害の様なものだ。

 

「くそっ......!こんな時に......」

 

空気を一切読まない信者に対して、苛立ちを隠す事が出来ない。

 

「.....................」

 

しかし、信者の様子もおかしく普段ならすぐ様儀式等を執り行うが、微動だにしない。

 

何故なら勇次郎が信者達を見据えて無言で睨みつけていたためだ。

 

精神が狂った信者達にもこの場の絶対者が分かるようで、身動き出来ずにいた。

 

「...........失せろ。」

 

勇次郎が信者達に短くそう告げると、信者達は一目散に去っていった。

 

「す、すげー...........」

 

幾度となく信者達に接近され散々な目に合っていたクトゥルフは感嘆していた。

 

「邪魔が入ったが、続けるぞ。テメェは、ここの奴らに詳しいのか?」

 

「す、すみません...我は、収容されている身なので、あまり詳しくはありません.....幾つかは知っていますが.....」

 

勇次郎の再びの問いに、我に返ったクトゥルフはそんなふうに答える。

 

「なら、テメェが思う1番強そうな奴の所へ連れて行け。」

 

勇次郎が端的にそう伝えれば、クトゥルフは案内を始める。

 

暫く歩くと厳重そうな扉と、分厚い防弾ガラスの先にある、宙に浮いたコンテナを見つけた。




「SCP-096 シャイガイ」は「Dr Dan氏、作の「SCP-096」」に基づきます。http://www.scp-wiki.net/scp-096

「SCP-2662 クトゥルフ ふっざけんな!」は「SoullessSingularity氏、作の「SCP-2662」に基づきます。http://www.scp-wiki.net/scp-2662
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