範馬勇次郎が行く、SCP財団の機密施設見学会 作:テキーラ11
宙に浮かんだコンテナには穴が空いており、その下には腐っていて今にも朽ち果てそうな老人がニヤついていた。
その老人の正体は、アイテム番号:SCP-106、オブジェクトクラス: Keter、通称オールドマン。
触られただけで腐食性の粘液を触れた個体から溢れ出させ、耐腐食加工のされたものも関係なく腐らせる。
さらには、ポケットディメンションと呼ばれる異空間を作り出し、経由する事で瞬間移動が可能なのだ。
それ故に、危険度がとてつもなく高いKeterクラスに分類されている。
そんなオールドマンが勇次郎へと近付くと、勇次郎も近づいて行く。
だが、触れられる直前でその危険性に気付いたのか、勇次郎は飛び退いてしまう。
それはまるで、大擂台賽の時の郭海皇への反応に似る。
そして、オールドマンの笑みも、言葉はなくとも嘲り笑う様子が見て取れる。
『おやおや、こんな老人に触られるのがそんなに怖いかね?』
少なくとも勇次郎にはそんなふうに感じ取れた。
勇次郎は壁に追い詰められるが、オールドマンのパンチとも呼べぬ接触を避ける。
すると、壁がみるみる腐食していくのが分かる。
「このタヌキが、そんなこったろうと思ったぜ.....」
その壁の様子に、勇次郎は凶悪な笑みを浮かべる。
「なるほど、ジジイ.....テメェに触れば、腐るわけだ。だが、触らねば、何も出来ないのも同じ.....ほれ、触ってやるよ。」
あろう事か、勇次郎はそう宣言すると、握手でもするかのようにオールドマンの手に触れた。
だが、流石は勇次郎の超肉体、普通の人体とは段違いである。
なにせ、すぐには腐食が始まらなかったのである。
これには2つの大きな理由が存在している。
1つは、勇次郎の皮膚組織の驚くべき頑強さにより、腐食しにくくなっていること。
2つ目は、勇次郎の体内の白血球等の免疫細胞が、赤子にしてイチゴヤドクガエルの毒に打ち勝つ程強力な事。
だが、それはあくまでも遅延であり、腐食は確実に勇次郎の身体を蝕んでいく。
「.........血を流すなどいつ以来か.........だが、テメェの腐食のカラクリは読めたぜ!」
そういうと、勇次郎は腕を目に見えぬほどの、マッハのスピードで振る。
すると、オールドマンの粘液は摩擦熱と風圧により、蒸発させられた。
「テメェの体液は、くっついたもんを糧に増殖と腐食を繰り返していく。なら、その前に吹き飛ばしちまえばいいだけの事。カラクリさえ分かれば、簡単なもんだったぜ、ジジイ。」
勇次郎の言葉に、下卑た笑みはなりを潜めるオールドマン。
どころか、対峙していた勇次郎に背を向けて逃げ出した。
「この.....クソジジイッッ!!!」
勇次郎はそんなオールドマンに、髪の毛を逆立てブチギレる。
その怒りの理由は、敵前逃亡に寄るところも大きいが、友人とも呼べなくもない郭海皇とオールドマンを重ねてしまった羞恥心もあった。
勇次郎はオールドマンの正面に周り込めば、思いっきりハイキックをぶちかます。
ボロ雑巾のように吹き飛ぶオールドマン。
足を1度、振り回して粘液を蒸発させてから、今度は渾身の右ストレート。
オールドマンの顔はぐしゃぐしゃになるが、まだ生きているらしい。
オールドマンは、何とかポケットディメンションを作り出し中へ逃げ込むが、勇次郎も追っていく。
ポケットディメンション内は狭い部屋へと繋がっていた。
ここでまた、オールドマンに笑みが戻る。
「なるほど、狭い部屋ならば、貴様の体液をよける術がないと?笑わせる。小細工は嫌いだが.....」
そういうと、1度だけ見た事のある、天才空手家愚地克巳の生み出した技を使う勇次郎。
通称当てない打撃とよばれ、マッハの真空波を相手に当てる技だ。
だが、あまりのスピードに克巳の腕は持たなかった。
しかし、勇次郎の身体はそれに耐え切ってしまう。
当てない打撃を受け、オールドマンはもんどり打っていた。
「安心しな、こいつはもう使わねぇ、俺の流儀じゃねぇ。」
そういうと、勇次郎は背中に異常発達した打撃筋による鬼の貌を浮かび上がらせる。
そして、超スピードで殴り飛び散る粘液を避けながら、付着したものは蒸発させながら暴力を続ける。
オールドマンの全身が、ミンチになった頃にポケットディメンションからゆうゆうと出ていった。
その後、財団の調査では、そのミンチは生きているらしいことが分かり収容される。
だが、三年経ってもまだミンチ状態のままである。