ウルトラウーマンラピス   作:ラピス・ラズリ

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好奇心の銀の毒

ラピスは昔から好奇心が強いとよく言われていた。ゼロとセブンにはもちろん、ほかのウルトラマン達にもよく言われていた。

だがその好奇心によって良いことと悪いことになる可能性もある。ラピス自身も好奇心によって正しい選択肢を選んで決める。それはそれで問題ないが…たまに危険な方向へ行くこともあるので多少心配なところもある。だが彼女の好奇心は少しずつ、善から悪に変わることもあるのだ。

地球に来て早くも数ヶ月が経とうとしていた。一人暮らしに最初は慣れてなかったが今では寂しさは減り、問題なく生活をしていた。

お金には余裕があるので問題なく、そこそこ楽しい生活ができて満足していた。今日も今日で平和に暮らしていた。だが、その平和は時間が経つに連れて破壊されていった。

「ギシャァァァァァ!!」

火山怪獣 バードンが突然現れた。バードンから口から吐く炎で街中を焼き尽くし始めた。

紗和は即座にラピスに変身して変身して数秒で拳で殴り飛ばした。

「ギシャアア!?」

「ハァッ!」

ラピスは押し込みながらバードンを殴りに殴りながら倒していく。それでもなお、バードンは怯まずにラピスを嘴で突くように攻撃をした。

「ッ…ァァ!」

「ギシャア!ギシャアア!!」

バードンは何かを訴えながら叫んでいるようにも見えた。ラピスは首を傾げながらも攻撃をやめなかった。拳で殴り、膝蹴りで腹部に直撃させた。だがバードンは未だに健在状態だった。

ラピスは少しずつ苛立ちが増えてきた。

「ふぅー…ふぅー…デェリャ!ハァッ!」

力任せにバードンを蹴り続けた。バードンの動きは至って単純だとラピスの考察をし結論がついた。そして最後の考察は…動きが遅い。ラピスはこれに関して疑問を抱いた。罠なのか、歳をとっているのか、ラピスは戦いながらも考えを続けた。

「ギシャアア…!ギシャア…」

バードンは激しい動きをしているわけでもなく、何故か突然、弱り始めた。

ラピスもこれには動揺し、拳をそっと身体の横に下ろした。ふと、何かに気づいてラピスは左手に光エネルギーを集めた。

「ギシャアア…ギシャアア!!」

バードンが弱りながらもラピスに突進し始めた。至近距離になった瞬間、ラピスは左手に貯めた光エネルギーをバードンの嘴に当て、口の中に左手の拳を入れた。

「ギシャッ!?」

「バードン、君は…お腹空いているんでしょ?」

ラピスはそう言いながらバードンの体内に光エネルギーを注入した。その瞬間、バードンはラピスを襲うことをやめ、大人しくなった。ラピスはそっと左手の拳を口の中から取り除いた。ラピスはクスッと笑みを見せていた。

「これで充分でしょ?そろそろこの地球から離れてくれないかな?」

ラピスがそう言って人間に戻ろうとした瞬間、バードンが突然、ラピスに甘え始めたのだ。いや戯れ始めたというべきだろう。

「ん?ちょ、痛い痛い…どうしたの?」

バードンは嘴でラピスのバトルナイザーを指した。ラピスはすぐ察してバトルナイザーを取り出した。

「良いの?君がボクの仲間になるってことを…」

バードンは頷きながらラピスに戯れ続けた。

「ん…分かった分かった。君はボクのことを受け入れてくれるんだね。良いよ、これからよろしく」

ラピスはバードンを優しく撫でながらバトルナイザーに登録させた瞬間、バードンがバトルナイザーに吸い込まれるように画面の中に入っていった。

 

「……仲間が増えた」

ラピスから紗和に戻り、人気のないところへバードンが登録されたバトルナイザーを見つめて笑いながらそう言った。好奇心からの行動ではあるが、紗和は興奮の喜びの笑みを浮かばせ続けた。ふと、バードンによって破壊された一部光景を目にした。

焦土と化した街であった。

哀しい現実がのしかかっていた。

紗和からは笑みが消え、静かに手を合わせた。

「(バードンがごめんなさい…一部の人間は避難されていたから問題はありませんでしたが、もし思い出の一部を破壊してたのなら…ごめんなさい…)」

そう思いながら、両手を下ろして自宅へと戻って行った。

ぱき、ぱき。

踏みしめる度に枯れ枝が折れる。

ざふっ、ざふっ。

余波で落ちた葉が鳴いた。

「……(クッソ寒い!!真冬の寒さには慣れない!今なら父さんと兄さんの気持ちが超分かる!)」

紗和は寒さに弱かった。恐らく、あの親子の影響だろう。それでも耐えながら賃貸で住んでる自宅へとようやく着いた。

マナーモードのようにめっちゃ震えていた。

U40出身とはいえ、やはり腐ってもウルトラ族だ。寒さが骨身に染みる。有り体に言おう、マジで凍死の五秒前である。

「あ〜〜〜……死ぬところだった…」

紗和は慌てて暖を取るように部屋中を温め始めた。

「……地球の真冬…なんでこんなに寒いんだろう?」

少しずつ冷えきった部屋が暖まる。

エネルギーが回復して来た。

「はぁー…」

暖かい部屋に溜息が響く。そう、この部屋には紗和しかいない。虚しさが増すが、暖かさも増していった。

もし自分が猫だったならば、今頃地面に寝そべって蕩けていただろう。

このような日々が続き、気がつけば自分は人間の生活に馴染んでいた。1人で暮らす日々は寂しいが、人間での生活は光の国での生活とは違い、好奇心が増す程の楽しさだった。

紗和はバトルナイザーを取り出してバードンに人間での生活を見せようと画面を外に向けた。

バトルナイザーの中では、どうやらアルセーヌともなんとか意気投合が出来たようだ。

「~~~~~~」

「………………」

内部での会話は届かない。

しかし楽しそうだ。

「……何を話しているんだろう?」

そう呟いた瞬間、壁に何か液体が付いていることに気づいた。何かの拍子で水が跳ねて付いたのかはと思ったが、その液体は銀色だった。

紗和は何かに気付いてバードンを人間サイズにし、召喚をした。

「ギョィイイァ」

「バードン……君はここで毒を放った?」

鋭い目つきで見つめながらそう言った。

「……」

バードンは何も言わなかった。

「………違うの?」

それにもまた沈黙で返答をする。

紗和は何も言えず、ただ疑ってしまったことに反省をしていたが、毒がどこから現れたのか気になり、周りを見始めた。

突然、バードンが紗和の両手を両手の羽根で指し始めた。紗和の両手に異変が起きていた。

どろり。

猫だったならば溶けているといったそばからこれだ。

「え?……どうし、て…?」

自分の両手を見つめて呟いた。毒の正体は、自分の指先から出ていた水銀だった。だが紗和自身には毒を操るような力を持っていない。本来の姿であるラピスの時でもだ。

「バードン……もしかして…君が…ボクに?」

バードンを方を振り向いた時、バードンは強く頷いた。

それを知り、ラピスは目眩がしたかのように思えた。

これはひどい。

よりにもよって猛毒だ。それなら炎の方がまだマシだ。

「……どうしてボクに猛毒の力を?…空腹で助けてくれたお礼として?」

そう話してるうちに部屋の中が水銀によって汚れていった。元は賃貸なので汚さないようにしていたが、これはどうすることもできずにいた。

バードンは、何も答えなかった。

「バードン…何か言いなよ。どうして?」

ふと紗和は自分の好奇心が壊れたような気分になった。紗和の好奇心は噂されるほど強く、そしてちゃんとした判断で行動するため自分の好奇心が好きだった。この日に限って判断を間違えた気分になった。バードンを助け、仲間にしたのが良かったのか悪かったのか、自分に自問自答し始めた。

紗和は何も言わずにバードンをバトルナイザーに戻し、暖を止め、部屋中を闇のように暗くし、逃げ出すかのように夜の街へ飛び出した。紗和はここが汚れたくない気持ちが高まり、街灯に照らされた街を駆け出した。

物言わぬ瓦礫の山となった街……ではない。

別の町である。

柔らかくもない、むしろどぎつい光が、今の傷心の───────あるいはメンヘラの紗和にはむしろ心地よかった。

「…………家…どうしよう…」

闇のように光を失った瞳になった紗和は明るい街灯の真下にあるベンチに座って呟いた。周りは誰もいなかった。聞こえるのは、真冬の風の音だけだった。

下手すればこのまま凍死してしまう、そんな気持ちになり、飛び出した家から持ってきた黒い手袋を身につけて毒の制御を抑えた。

寒い夜の中を紗和は歩き出した。そして毒を操るようになってしまったため、人間から避けれる場所を探した。誰もいない、1人で過ごせそうな場所を探し求めた。

行く先行く先で門前払い。

紗和に居場所はないように思えた。

地球に来てから仲間という人物を作っていなかった。いや、作らずにいたのだ。紗和は昔から孤独に生きていたからだ。気がつけば紗和は人気のない、街外れの森林の中にいた。一気に気温が下がり、暖が取れそうな場所を求めて歩き続けた。何も成果を果たせず、死ぬのはまっぴらごめんだと、自分に言い聞かせながら。ふと、奥から微かな光が見えた。街灯かなにかと思い、紗和は駆け足でその光の元へ向かった。光の元は微かな月の光で反射した窓ガラスだった。森林の中に家があったのだ。しかも運良く空き家である。

「……誰かがそのまま放置したのかな?」

独り言を呟き、その空き家の扉に手をかけた。鍵はかかっておらず、灯りはついていなかった。

「……こんばんは…誰か、いますか?玄関の扉の鍵、開いていましたが…その、夜分遅くに申し訳ないです、が……お邪魔…し……」

こんなことを言ってる自分がアホらしく思い、途中からは何も言わずに1人で家の中へ黙々と入って行った。

灯りのスイッチを見つけ、点けようとすると、部屋全体が明るくなった。利用している人はいないはずが、設備とかは残っているのだろうか…

辺りを見渡すのに夢中になった紗和は自分の両手から毒が出ていることさえも忘れていた。幸いにも動きやすい手袋をしていたおかげで物に触れることは出来る。本当なら素手で触りたいが、それはもう不可能になってしまった。

 

一通り部屋中を見渡した後、幸いにも水道や電気などの設備は止まってなかったようだ。家具も全部残されており、寒かった外とは大違いに暖かい家だった。

なんとか暖を取ることができた紗和は安心したのか今いる部屋のソファーに勢いよく座り、横になった。

「……(ここでなら、誰にも気づかれず…1人でいられる。誰も何も、汚さずに…傷つけず…何も問題はない。決めた…ここに、隠れながら暮らして過ごそう)」

そう思いながら紗和は寒さの中歩き疲れたのかゆっくりと目を閉じ、そのまま眠りについた。

バトルナイザーにいるアルセーヌとバードンは心配に思いながら紗和を見守り続けた。部屋中は暖かいが、音も何もなく、聞こえてくるのは外からする風の音だけであり、紗和の心は虚しさが増していった。そして紗和はまるで心が黒い毒に染まってしまったかのように…

 

────心を閉ざしてしまったのだった

 

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