迷える狼/New Front line   作:筋肉バカ

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自分の知っている日常ともし、ほんの少し違っていたら。
例えばアメリカがアマリカとか、首相の名前が少し違うとか、ささいでもそれってなんか怖くない?ってとこから思いつきました。



プロローグ:奇妙な時間で

静かな時間が流れる教室。時計の針が時の流れだけを刻んでいく。

 

奇妙な空間、奇妙な時間…

 

静かな時間、静かな空間。

 

目の前にいる青年が口を開く。

 

「良い学校です。施設も、部活動も何もが充実している。生徒達も楽しそうだ。この学校に入れたことはこの上ない幸運…とでも言いましょうか。この巨大な学校という組織を1人で動かし、導くというのは大変なことでしょう?」

 

何が言いたいのか?私は彼を信用していない。学校の取り組みで初の男子生徒を、テストで1人選ばれたこの男。疑念しか湧いてこない。あまりにも急で、あまりにも奇妙だ。ここは女子高で、男子など入れるはずがない。何よりこの国の男性の数はそこまで多くない。

 

私達の学校、虹ケ咲学園が大きな学校だからなのか、何か学校のお偉いさんの思惑があるのか。疑問だけが浮かぶ。

 

口では説明できないが、まるで何か変な…そう、変な"何か"に自分が巻き込まれているような気分。

 

「…この学校初の男子生徒、というわけですが、今の心情などお聞かせ頂けますか?」

 

なにがともあれ、私がこの学校と生徒達を守らなければならない。このイレギュラーから…

 

勿論、信用できなければの話だ。本来ならば生徒は平等、この学校の生徒として信頼し、共に学び、仲良くしていくべきだ。だが、男という慣れない存在からか、彼女は少し警戒し、身構えていた。真面目故か、女性としての本能か、人間としてこの男は"変だ"と感じてしまったからか…

 

「心情…ん〜、緊張と不安、そして幸運。なんとも言い難いですね。ただ、楽しみにはしてますよ。男1人というのは心細いですが。」

 

 

 

 

再び沈黙。彼から何を聞けば良いのか?

 

彼女は生徒会長として彼という新しい存在を、ある程度知り、把握する義務がある。ここは無難に

 

「ご趣味とかは?」

 

「…散歩ですかね。」

 

日が傾き、生徒会室が夕焼けに照らされている。もうすぐ日が落ちる。そのせいか、彼がいる方は薄暗い影になっている。そろそろ電気をつけた方が良いだろう。そう思い椅子から立ち上がる。

 

「面接、もう終わりましたか?」

 

そう問いかけられる。もう少し知るべきだろうが、時間が時間だ。

 

「そうですね。明日から共に頑張りましょう。」

 

表向きそう答える。

 

「では、失礼しますね。生徒会長。」

 

彼が席を立ち、帰る支度をする。

 

「その前に、最後に1つ質問しても良いですか?」

 

彼女の呼び止めに彼は止まり、振り返る。

 

「貴方の"好き"なものは何ですか?」

 

「………。」

 

彼女にとって"好き"はかけがえのないものだ。それを聞かなければ気がすまない。

 

青年は少し考え、まるで探すような表情をほんの少し見せると、やがて決まったかのように彼女の瞳を見て答えた。

 

「ありますが、教えられませんね。"ここ"には無いものなので。」

 

そう言うと、彼は部屋の扉に手をかけ

 

「また明日会いましょう、生徒会長、中川菜々さん。」

 

と残して出ていった。

 

「…何でしょう。」

 

不気味ともとれる奇妙な生徒だった。

 

「山上 陸さん、ですか。」

 

菜々はなにか面倒なことに巻き込まれた気がしてならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月✕日

目が覚めると、俺のいた場所とは違う場所にいた。最初は夢かと思ったがどうやら違うらしい。まず服装が変わっていた。ほんの少し若くもなっていた。意味がわからない。とにかく、元いた場所に帰らないと。

 

○月□日

俺はどうやら高校生になっているらしい。何だそれは?奇妙な小説を読んでいる気分だ、夢なら早く覚めて欲しい。ネットで調べても俺の知っているものがほぼ無い。似ているが少し違う、或いは同じだが何かが違う。気持ちが悪い。まるで高熱で寝込んでいる気分だ。早く帰らないと。

 

 

 

○月△日

何処にも無い。俺の知っているものが。俺の愛していたものが。俺の居場所が…最低だ。どうやら俺は明日から虹ケ咲学園という学校で再び高校生活を送るらしい。学生証と教科書や道具が一式置いてあった。いつからあったかはわからない。部屋は完璧に施錠したんだが。

 

○月○日

虹ケ咲学園はとんでもないデカい学校だった。しかも女子高とは最悪だ。今日は夕方から学園長、生徒会長との面接だった。両方ともどうやら俺を信用していないらしい。まあ、当然だろう。俺も逆の立場なら信用しない。帰ってきたら机の上に手紙があった。一体何が起きてる?何に巻き込まれてる?わからない、早く帰りたい。元に戻してくれ。

 

 

 

 

 

 

拝啓

馴染めたかい?】ー歯車を回す時だー

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何なんだ。」

 

俺は手紙を机の棚に仕舞うと、夕飯を支度をしに台所へ行くのだった。  

 

 

机の上にはかつて彼という存在を証明していたであろう物が整頓されて置かれていた。

 

 

 

 

大いに楽しみ、大いに戦い、抗いたまえ、この運命から。

 

迷える狼よ。




山上 陸(やまうえ りく)
この世界に迷い込んだ男。 突然のことに戸惑っているようだ。何者かに動かされている感じが気味悪く思っている。

ここに来る前何をしていたかは不明。
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