ありがとうございます!あとエピローグだけで終わろうかなとも思ったのですが、せっかくなのでその前に1つだけお話をと。今回は短めです。
『君は実に興味深い。まさか、僕自身もこんな判断をするとは思わなかった。』
気がつけば、俺の格好はいつの間にか制服から着なれた戦闘服へと戻っていた。
「なんだ、最後の最後に、『やはりやめだ。』なんて言わないよな?」
奴の言葉に、俺は少し疑念を抱きそう問いかける。
暗い道だ。本当に真っ暗な道。後ろからはほんの僅かだが、虹色に近い輝きが溢れ出ており、俺達の背中を照らしている。
「本当にこっちで合ってるのか?」
目の前は真っ暗、後ろは虹色。普通こういう時って逆じゃないのか?なんとなくそう思う。
『ああ。怖じ気づいたか?』
そう煽ってくるので、こちらで合っているのだろう。
結局、スクールアイドルとはなんだったのだろうか?いまいちよくわかっていない。彼女達がライブを行う時、俺の服装は戻った。あれは何だったのか。スクールアイドルとやらが本当に関わっていたのだろうか?今になって不思議に思う。
『時に。』
そいつがフと口を開く。
『願い、想いの強さは偉大だ。』
「…想い?」
『そう思わないかい?』
奴はそう問いかけてくる。
想い…。
奴の金色の瞳が、俺を捉えてくる。相変わらず不気味な奴だ。
想いの強さ、か。なんとなく、理解できるような、できないような。そんな奇妙な感覚がする。
『まあ、君には理解する必要の無いことか。』
フンと鼻で笑われ、なんとなくだが腹が立つ。
『君は強い。その強さはこの僕が認めている。あの世界の存在よりもずっとね。』
いや、俺は弱かった。だから、優木せつ菜/中川菜々との会話にほんの少し癒されたような気がしてしまった。俺が本当に強ければ、彼女とも必要最低限の会話で済んでいただろうし、もう少し早く元の世界に帰れた、この結末を迎えられたかもしれない。
そいつは俺の顔をじっと見つめると
『ここまで来れて、自分が弱いと?』と言う。
「ああ、まだまだ俺は未熟だ。そう思う。」
『だが、結果的に君は帰れる。それは君の帰りたいという想い、願いが強かったからだ。違うかい?』
確かに、言われてみればそうだな。俺は頑固で、貪欲なんだ。きっとその貪欲さは、あの世界の誰よりも薄汚く、そして強かったのかもしれない。
そうか、別にスクールアイドルが鍵だったわけではない。大切なのは想いの強さだったということか。
彼女達がライブを行い、そのステージや衣装が変化したように見えた時、強い想いを感じた。自分を伝えたいと。自分の大好きを世界に広めたいと。自分をさらけ出したいと。自分を支えてくれた者に自分達の気持ちを伝えたいと。そうだ、今思えば彼女達のライブにはそんな強い想いが込められていた気がする。それと俺の「元の世界へと戻りたい。」という想いが同調でもしていたのだろうか?あの、山上陸の時と同じように。つくづく不思議な世界だ。だとすれば、もしかしたら彼女達も、俺の姿が戻った瞬間をどこかで見ていたかもしれない。まあ、真実がどうかなど、今はもうわからないが。
『お別れだ。』
その先には闇しか広がっていない。まるで真夜中の森のようだ。
『君の強さは、あの世界には勿体無い。なによりも、君は完成されすぎていた。君は自分をどう思っているかはわからない。だが、僕はそう思う。』
もう背後に虹色の輝きは感じない。ここから先は、俺の未来、俺の物語だ。陸山衛の物語は、この闇を超えた先から、また始まる。俺が死ぬ、その瞬間まで。
黒が濃くなる。不思議な感覚だ。だが、確かに前に進む度に目の前の闇が深く、深くなっていく気がする。
『陸山衛。』
奴が俺を呼ぶ。
俺は足を止め、奴の方に一度振り返る。
「なんだ?」
奴は最後に質問してきた。
『どうだった、彼女達の世界は?』
決まったことを。
「今更何を聞くかと思えば、勿論『最低か?』…。」
俺はほんの少し深く息を吸い込み、吐き出す。呆れるように、馬鹿にするように。
「ああ。俺の存在意義が無いからな。」
肯定するようにそう伝える。
『そうか。』
奴は満足そうに目を細めて頷く。そして『やはり、素直ではない。』と小さくこぼす。
それはお前の勘違いだ。
『では、つまらなかったかい?君の…迷える孤独な狼の冒険は?』
つまらない…か。
「…さあな。」
それは、わからない。楽しかったとも思わない。だが、
「つまらなくは…無かったかもな。」
とても刺激的だった。この感情は言葉にできない。つまらないとか、面白いとか、そういう概念には当てはめられない。そう思える。あえて表現できる部分があるとすれば、それは最低で最悪な冒険だったということだけだ。それだけは伝えられる。
『わかった。さあ、ここから先は君だけで行くのだ。最早この先、君にしか歩けない道だ。』
「わかっている。」
俺は再び闇に振り返ると、そのままゆっくりと前に進むのだった。その先からは、懐かしい独特な、森と土の香りがする。久しぶりに、実に久しぶりに俺はその言葉を口にしようと思った。ようやくこの言葉を口に出せる。そう思うだけで、年甲斐もなくワクワクしてしまう。これが、俺のトキメキというやつなのかもしれない。彼女達のに比べれば、ひどく泥臭く、汚れているように見えるかもしれないが、少なくともこの自衛隊という場所が、俺の生きる意味であり、戦う理由なんだと思う。これから先、どんな未来が待っているのかなどわかったものではない。予期せぬ最低最悪の未来がこの世界に訪れるかもしれない。だがそれは、今日ではない。それだけは、自信を持って言える。だから、希望を持ってこう思いたい。この世界、この先の未来は、まだまだ面白いことが、楽しいことが沢山待っていると。苦しみも、楽しみも、分かち合える仲間達がいれば…きっと。
「ただいま、
これを書き始める前、ラブライブと同時に異世界モノにはまってたのですが、よくよく考えると転生って怖くね?しかも、それが自分の知ってる常識や物ととても似てるんだけど少し違ったり、なんかズレてたり、自分の知ってる大事な場所が突然無くなってたりしたら最高に怖いし気味が悪いだろうな。と思って書き始めました。
そんな当人にとって気味の悪い世界、どんな主人公だったら最後まで戦えるかな?とか、ラブライブめちゃ平和な世界だし、そんな世界とは真逆かつズレていて、そして誰よりも頼もしく強い奴が良いなと思い、主人公はおじさんで自衛官 しかもレンジャー持ちということにしました。
あと1話で終わりを迎えるわけですが、まさか最後に評価が赤くなるとは思いませんでした!応援ありがとうございます!
感想などあればよろしくお願いします!