2020年になったのでドラゴン狩りじゃぁぁぁ!!! 作:蒲焼丼
シキセンパイ、ミナトセンパイへ
お疲れ様です! 私とキリノさんは相変わらず手がかりがなくて四苦八苦しています。
でも諦めません! きっと消えたしまった人たちを見つけるので、センパイたちも帝竜討伐、がんばってください!
先日、ミナトセンパイと「ドラゴンを倒し終わったら」というお話をしましたよね。その後、いろいろと考えさせられたので、現状の報告も兼ねてこうして手紙にまとめました。
まずは初めて会ったとき。あのときは助けてくださって、本当にありがとうございました!
センパイもご存じでしょうけど、いきなりドラゴンやマモノが襲ってきたあの日、街中がパニック状態だったんです。道路では車がたくさん衝突するし、そこら中に人が溢れて入り乱れて、そこを襲われたり……パニック映画を見ているみたいでした。あんなめちゃくちゃな状況から逃げてこられたのは、私が異能力者だからだったんでしょうね。
でも、それでも目の前ではばたばた人が死んでいって、私は何もできなくて……逃げる途中でお会いしたユキさんたちと一緒に移動するので精一杯でした。
途中までは気合いと根性でどうにかなっていたんですが、あの大きなドラゴンと遭遇したときは、さすがに死ぬかと思いました。本当にヤバかったんです。相手はマモノと違って全然隙がなくて、下手をしたら私どころかユキさんまで危なかったと思います。
そんなときにセンパイたちが駆けつけてくれたんです! シキセンパイは私より小さくてかわいい女の子なのに、ドロップキックでドラゴンを吹き飛ばしてヒーローみたいで、ミナトセンパイは指先から氷を出すなんて、魔法使いみたいでした。
それから、去年私が試験に参加できなかったムラクモ機関と偶然合流、しかもセンパイたちはそのセンパイで、既に帝竜を倒していたなんて。
本当にすごい偶然ですよね。そのうち、偶然じゃなくて運命なんじゃないのかな、とか思っちゃったり。
最初はすごく奮い立ってました。私もセンパイみたいに戦って、みんなを助けたいって意気込んでました。
でも、私がそんな風に突っ走って、ガトウさんは死んでしまった。
あのとき言ったように、私は犠牲を出したくないと動いたことを間違いだとは思っていません。でも、もっと上手くやっていれば、自衛隊の方々も、ガトウさんも死なずに済ませられたかもしれないんです。ガトウさんは私よりずっと強くて、センパイたちも頼りにしている人でしたから。
だから、池袋攻略作戦が終わってからは、私もセンパイたちの特訓に参加することにしたんです! おこがましいかもしれないですけど、ガトウさんがいなくなってしまった穴を埋めて、あの人と同じかそれ以上に強くなって、みんなを助けられればなって。……まだまだ、ほど遠いですけどね。
私が特訓している間にも、センパイたちはどんどん先に進んで、すごいなと思ってました。四ツ谷は私たちがサポートしていましたけど、ほぼ二人だけで最初から最後まで戦ってましたし。
二人が血まみれの傷だらけで帰ってきたときは本当にびっくりしました! ミナトセンパイなんて左肩をぶらぶらさせて。帰ってきたとき都庁は大騒ぎでしたよ。
でもそんな大怪我も治っちゃうんですから、びっくりしました。もうびっくりしっぱなしです。
二人ともすごくタフだな、私も見習って鍛えないと! と意気込んではみたものの、すぐに追いつけるはずはなく……。
私もムラクモなのに、このままでいいのかなって焦り始めていたとき、ミナトセンパイとあのお話をしました。
ドラゴンを倒し終わって、私たち異能力者の力が必要ではなくなる日が来たとき、私たちは普通に生活できるのか。
寝耳に水というか、目から鱗(使い方合ってますか?)でした。私は戦いが終わった後をまったく考えていなかったので、ミナトセンパイの言葉を聞いて驚きました。
決して悪い意味ではないので、気を悪くしないでいただきたいのですが。センパイがそういうことに悩んでいるのを見て、とても意外に思ったんです。強くて勇気のある人が、化け物との戦いより、人間関係や周りにどう見られるかを怖がっているなんて。でも、センパイにとっては本当に大切なことなんですよね。
あのときも言いましたけど、きっと大丈夫ですよ。
そりゃあ、ドラゴンをあっという間に倒しちゃったり、シキセンパイの怪力や、ミナトセンパイの超能力を見て驚きはしました。でも、その後センパイたちは私に手を差し伸べてくれました。
私と会う前からも会ってからも、同じようにたくさんの人を救ってきたんですよね? ならきっと大丈夫です。少なくとも助けられた私たちは、センパイたちがその力を良いことに使うって知ってますから!
もし何かいちゃもんをつけてくる人がいたら、私ががつんと言ってやります!
だから安心してください。きっと大丈夫。ドラゴンがいなくなって世界は平和になりますし、異能力者とか普通の人とか関係なく、みんな仲良くご飯を食べられる日が来ますよ。
それでも不安なら、私が今よりもーっと強くなって、センパイをお守りします!
それでは!
アオイ
「……うーん、余計なお世話かなぁ。ミナトセンパイにはシキセンパイがついてるし。うん、これは没!」
『コール、10班。アオイ、そろそろ探索を再開します。キリノが下で待ってますよ』
「はーい、もう少しだけ待ってください! どうしよう、もっと有益な情報とかを……あ、そうだ、チョコバーも添えておこうっと」
センパイ、がんばりましょう。折り返し地点ですよ。
帝竜を倒して、みんなを見つけて、ぱーっとお祝いしましょう。そうしてまた、がんばっていきましょう。
センパイ、
センパイ、
* * *
──センパイ。私は諦めませんから。
何があっても、どんな形でも、最後までいっしょに戦います。
「やっぱり……あんた……恥ずかしい女だ……」
『ふふふ……相変わらずね、あなた』
センパイ。私より年下の、かっこいいセンパイたち。
すごく強くて頼りになるシキセンパイ。
ちょっと臆病だけど、人に寄り添える優しいミナトセンパイ。
二人ならきっと大丈夫。キリノさんは必ず都庁にお帰しします。
「や……やめろ……これ以上……もう見たくない……っ!」
ガトウさん、都庁の皆さん、ごめんなさい。
短い間だったけど、たくさんの人に会えたこと、センパイたちのお手伝いができたこと、誇りに思います。
『あはっ……あはははは!!』
二人とも、こんな奴に負けないで。
絶対勝ちましょうね、センパイ。