仮面ライダーブート   作:脱臼 させ太郎

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第2話「ソノ男、過去を知る者」

「記憶喪失...?」

「はい、丁度3週間程前に、階段から落ちて頭打っちゃって。」

 

ここは、飛電インテリジェンス本社の社長室。今この場にいるのは僕と社長さん、社長秘書のイズと名乗るヒューマギア、そしてバルカン、不破諌さんの4人。僕は、僕の知っている限りのことを全て話すことにした。

 

「なるほど...それで、そのドライバーとプログライズキーのことは何も分からないと。」

「えぇ...なんで持ってたのかとか、そもそも誰が作ったのかも分からないんです。たださっきは、マギア達が暴れてるのが見えて、止めなきゃって思って土壇場で変身したんです。」

「...じゃあやっぱり、さっきのマギア達は全部君が倒したの?」

「そうです。」

 

「或人社長、このドライバーの構造は、異常なまでにゼロワンの性能が再現可能になっています。ゼロワンドライバーのシステムは外部に一切公開されていません。この再現度を見るに、強大な技術力が注ぎ込まれていると思われます。並の模造品ではありません。」

「そんで、そのドライバーと同じものをあのフェイクとか言う野郎は使ってたわけだ。」

「あぁ、正直そこが一番気になるところだ。あの大規模なハッキングといい、アイツの目的すらもわからない...ただ、アイツはまた必ず街を破壊しに現れる筈だ。」

 

 

「その時は、俺達も戦わせて貰うぞ。ゼロワン。」

 

突然後ろから声が聞こえ、僕は驚いて振り返る。

 

「!お前達は...」

「やっぱり、来ると思ってたよ。滅、迅。」

 

そこには、かつて人工知能アークの意志で人類を滅亡させようとした、滅亡迅雷.netの2人がいた。今はアークは倒され、人類に敵意は無いが、僕は思わず身構えてしまった。

 

「あのフェイクというライダーの破壊行動、アークを復活させかねん。」

「そういうわけで、僕達も協力させて貰うよ。」

「あぁ、頼むよ。」

 

 

僕は正直、安堵していた。

これだけの心強いライダー達が集まったのだ。

またあのライダーがヒューマギアをハッキングしたところで、負ける筈が無いと。そう思い僕は、飛電インテリジェンスを後にした。

 

 

歩いていると、前の方から

「お〜い!扇豆!」

と、声が聞こえた。

銀髪の男だった。完全に、知らない人だった。

 

男は僕の首の後ろから腕をまわし、ガシッと引き寄せてきた。

「よぉ、久しぶりだなぁ!お前どうしたんだよ、最近さぁ!急に俺ん家に来なくなっちまってよぉ〜!」

まずい。これは完全に、僕の記憶からこの人のことが抜け落ちてしまっている。どうしよう、ここは適当に話を合わせるか。それとも正直に記憶喪失であることを伝えるか。

 

「あーそうそう、ところでよぉ〜」

 

 

 

 

 

 

 

「お前、何でドライバー持って逃げた?」

 

 

 

 

 

 

瞬間、僕は気づいた。

 

 

「お前...仮面ライダー、フェイク...?!」

 

「ハハハッ、うん、そう。つーかやっぱ昨日のアレお前だったのかよ。」

 

僕はすぐさま腕を振り解き、距離を取った。

 

「で?何でドライバーとプログライズキー持って逃げたんだよ、お前。」

「...分からない。」

「は?」

 

「僕はあの夜、階段から滑り落ちて頭を地面に強打した。その衝撃で、記憶の一部が飛んだ。あのドライバーのことも、君のことも、覚えてないんだ。」

「...それ、本気で言ってんの?」

「あぁ」

「...」

 

僕を見つめたまま、しばらく男は黙った。

そして、フッ、と笑う。

「まぁ、お前嘘付くの下手だもんな。適当言ってたら一発でわかる筈だわ。」

 

とりあえず、記憶喪失であることは信じて貰えたらしい。

 

男はヘラヘラとした口調で、それでいて真っ直ぐに僕の目を見て言った。

 

 

「俺は深田箔(ふかだはく)。お前の、『仲間』だよ。」

 

「仲間...?」

 

「あぁ、そうだ。あのドライバーは、あのキーは、俺とお前で作ったものじゃないか!俺とお前で、この街をぶっ壊してやろうって、作ったんじゃん!!」

 

 

 

「...え...?」

 

 

「...本当に何も覚えてないんだな。」

 

「僕が...街を破壊しようって、言ってたのか...?」

 

「そうだよ!それなのに、昨日のは何だよお前。ヒーローぶっちゃってさぁ!戻って来いよ、扇豆。また一緒にさぁ、2人でやろうぜぇ!!」

 

 

 

 

 

 

「...いいや、戻らないよ、僕は。記憶を失う前の僕が何を考えてたのか分からないけど、少なくとも今の僕は、こんなことをしてる君のことを止めたいと思ってる。だから...君の『敵』になるよ。」

 

 

「......あっそ。」

 

男は、心底つまらなそうな顔をした。

 

「でもまぁ、戦うのは今日じゃねぇな。また近いうちに会おうぜ、扇豆。」

 

 

背を向けてその場を去っていった。

僕はしばらく、立ちっぱだった。

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