マギアの大群が行進する。
人々は既に皆避難しており、街はすっからかんで、ただ無機質な足音だけが響く。
マギア達は街を破壊する様子は無く、ただ一直線に飛電インテリジェンス本社を目掛け、行進する。
そこに、待ち構える者が6人。
社長さんに箔の動機を話した時、やはり少しショックを受けた様な顔をしていた。あの事件に或人社長が直接的に関わった訳では無い筈だが、責任感が強いというか、なんというか。まぁ、自身の会社が原因に少なからず関わっているのだから、良い気分はしないだろう。
だけど社長は「でも、この会社を潰させるわけにはいかない。」と、すぐに表情を切り替えていた。
僕達は横一列に並び、進軍して来るマギアの群れを待ち受けた。
「...不破、いけるか?」
「当たり前だ。キーの1つや2つ盗ったぐらいで俺は止められないぞ。」
「滅、そのキーは?」
「...ブートから拝借した。よくできた模造品らしいからな。」
数百メートル先に、マギアの群れの先頭が見えた。
「...皆、いくぞ......!」
社長の掛け声に全員が頷く。
それぞれが正面を向いた。
『ゼロツー ジャンプ!』
『アサルト バレット!』
『サンダー!』
『ポイズン!』
『ウィング!』
『ファング!』
「「「「「「変身!」」」」」」
『ゼロツーライズ!』
『『ショットライズ!』』
『『フォースライズ』』
『チープライズ』
『仮面ライダーゼロツー!』
『アサルトウルフ!』
『ライトニングホーネット!』
『スティングスコーピオン!』
『フライングファルコン!』
『バイティングシャーク!』
「海原君、...頼んだよ!」
「はい...!」
一斉に走り出す。
他の5人がマギアの群れと衝突する中 僕は1人群れを掻い潜り、颯爽と駆け抜けた。
辺りを走り回り、探す。
そう遠くにはいない筈だ。
見つけた。
ビルの立ち並ぶ街の中
閑静な、だだっ広い広間の中心に
「親玉」はいた。
「よぉ、準備いいか?」
「......あぁ。」
「...じゃ、いくぜぇ。」
箔は懐から、見たことのないプログライズキーを取り出した。
あれが計画にあった、最終目標のキーなのだろう。
形状は丁度、飛電の「メタルクラスタホッパープログライズキー」のようだった。
『ディセイビング ストライプ!』
『オーソライズ』
『チープライズ』
『Let's Rise!Le Le Let's Rise!
Let's Rise!Le Le Let's Rise!』
「変身」
『ディープライズ!』
『虚勢!虚像!虚言!虚構!
ディセイビング ゼブラ!』
『"There's only false."』
お互いに、距離を少しづつ詰め合う。
先に僕が斬りかかった。
フェイクはこれを躱す。
すかさず上段蹴り。
これも躱す。
こちらの攻撃を尽く躱される。
カウンターを入れる隙を窺っている様に見えた。
僕の中段蹴りが片手で弾かれ、反撃の右ストレートが飛んでくる。
咄嗟に両手でガードした。
防御が間に合ったにもかかわらず、僕は後方に吹き飛ばされ、体勢を崩した。
成程、これが箔の作り上げた「仮面ライダーフェイク」の力。
今の攻防だけで、その確かな強さを感じた。
「見せてやるよ。俺の、フェイクの本領をなぁ。」
ドライバーに刺さったキーを押し込んだ。
『ブラフ トランセンド!』
フェイクの姿が消えた。
周りを見渡すが、勿論何処にもいない。
突然目の前に現れる。
そこから放たれる攻撃にガードが間に合う筈も無く、顔面へのパンチをモロに喰らってしまった。
「まだだぜぇ。」
『バーチャルイメージ トランセンド!』
今度は、フェイクが10体に分身した。
僕が困惑する間に一斉に襲いかかって来る。
一番先頭のフェイクに斬りかかったが、その刃は空を切る。
手応えがない。というよりそのフェイクには実体が無かった。
次のフェイクの攻撃をガードする。
が、こちも実体が無い。
来たはずの攻撃の衝撃が無いことに困惑する僕に、別のフェイクが蹴りを入れる。
今度は実体があった。
腹にモロに喰らってしまった。
そのフェイクが本物だったらしく、他のフェイクの姿が消えた。
「こんなのもあるぜぇ!」
『ライ トランセンド!』
休む間も与えてくれない。
そこには、ゼロワンがいた。
此処に本物が居る筈は無い。
恐らくこれも偽物だろう。
ゼロワンが襲いかかって来る。
今度も実体が無いのならガードする必要はないが、
僕は咄嗟に守りの体勢を取る。
その攻撃には確かな衝撃があった。
実体を伴った幻影といったところか。
その幻影はまるで本物のように素早く距離を詰め、
鋭い練撃を繰り出して来た。
本物のゼロワンと大差ない力に苦戦し、段々と追い詰められる。
「コイツも喰らっとけよ。」
『フィクション トランセンド!』
目の前のゼロワンが消えたかと思えば、
今度は周りの景色がぐにゃりと歪んだ。
突然平行感覚が狂いだし、立っていられない程になる。
「お前の感覚センサーを直接ハッキングした。
どうだ?前も後ろも、右左もわかんねぇだろぉ?」
僕の目の前には、砂漠、森林、南極など、
有り得ない景色が次々と展開されていた。
フェイクの位置どころか、自分が何処に居るかすら分からなくなった。
背後から強烈なキックを喰らった。
僕は吹き飛ばされ転げ回り、強制的に変身が解除された。
「...これが俺の作り上げたフェイクの力だ。どうだ、扇豆。
まだやるかぁ?」
「......やっぱり、僕の思った通りアンタは天才だよ...。
でもだからこそ、...僕はアンタに、勝ちたいよ。」
僕は立ち上がる。手には、とあるキーを握っていた。
僕の手で作り上げた、プログライズキーを。
「...それは......」
案外僕達の趣味は、似ているのかもしれない。
偶然にも僕の作ったキーも、メタルクラスタと同様の形状だった。
ゆっくりと、深呼吸をした。
『エンヴィー ファング!』
『オーソライズ』
『チープライズ』
『Let's Rise!Le Le Let's Rise!
Let's Rise!Le Le Let's Rise!』
「変身」
『ディープライズ!』
『Will devour you!Give it all to me!
エンヴィー シャーク!』
『"Bootleg goes crazy with jealousy and eat even the real thing."』
「へぇ...。だったら見せてみろよ、お前の力ぁ!」
フェイクが姿を消す。
慌てるな。こちらに攻撃を入れる為に必ず近づいて来る筈だ。
感覚を研ぎ澄まし、気配を感じ取る。
後ろだ。
「遅ぇ!」
僕が振り向いたとき、既にフェイクは攻撃を繰り出していた。
胸部に強力なパンチを貰う。
僕はその腕を掴んだ。
「何ぃ...?!」
これでこちらの攻撃も避けられない。
僕はスマッシュ気味に、右腕の刃で斜め下から
フェイクの胸部を斬り上げた。
「おらぁぁぁぁぁっ!!」
「ぐわぁっっ!!」
身体を斬りつけた刃は、そこから何かを吸い取った。
よろめきながら、フェイクが問う。
「お前ぇ...何をしたぁ......?」
「...エンヴィーシャークの刃は、斬った相手の能力をコピーする。
そして、その力をオリジナルの何倍もの出力で発動できる!」
僕は、20体に分身してみせた。
「っ馬鹿なぁ...!」
一斉にフェイクに突進する。
僕の生み出した分身は、それぞれが実体を持っていた。
だから、シンプルに20対1の状況だ。
次々とフェイクを斬りつける。
「クソがぁ...!生意気なことするじゃねぇか...!
だが、本体は1人の筈...。そこのお前ぇ!そこの突っ立ってるお前が本体だぁ!!」
フェイクが殴りかかる。
その拳は空を切った。
「それは幻影だ!」
「ぐあぁっ?!!」
困惑しているフェイクを、右方向からドロップキックで蹴り飛ばす。
「僕は、アンタを超える......!」
ドライバーのキーを押し込む。
「......やってみろぉ!」
フェイクも立ち上がり、キーを押し込んだ。
『エンヴィーバイティング トランセンド!』
『ディセイビング トランセンド!』
「はあぁぁぁぁぁっ!!!」
「おらぁぁぁぁぁっ!!!」
互いに最高出力、最大火力のライダーキックをぶつけ合う。
衝撃波が周りの空気を激しく震わせる。
打ち勝ったのは、僕だった。
僕はブレーキをかけながら着地し、フェイクの変身は解除された。
地べたに仰向けに倒れたまま、箔は言った。
「......あーあ。...ホント、お前のせいで全部台無しだよ..ハハッ。
...まぁ、でも......なんか...あれだな...
...楽しかったぜぇ.....扇豆。」
「......あぁ、僕もだよ。箔。」
箔を倒した時、同時にマギア達の動きは止まったらしい。
5人のライダーの活躍により、飛電インテリジェンスは無事ダメージを受けずに済んだ。
箔の身柄は警察に取り押さえられた。
飛電側からの訴えは無かったが、いずれにせよ重い処罰が下るだろう。
街には平和が戻った。
僕も新たな一歩を、踏み出してみることにした。
「おーい、海原君!」
「あっ、或人社長!」
「...今日から、よろしくね!」
「っ!......はいっ...!」
「うん!.........えー、ゴホン。」
「?」
「輝けっ!!新入シャイーン!!
はいっ アルトじゃーないとぉ!!!」
「今のは 『輝き』を意味する『シャイン』と、新入『社員』を掛けた とても面白いギャグです。」
「イズ!!お願いだからギャグの解説をしないでぇ!!」
「.........フフッ」
今日からここが、僕の職場。
なんだか、賑やかな毎日になりそうだ。