戦姫絶唱シンフォギアにダブルクロスのキャラを混ぜてみた 作:ヨン
黒い灰が舞う中、俺は蛍光色の異形を前に拳を構える。背後から畏怖と戸惑いの視線を受けながら、その異形の群れの中に突っ込み拳を振るう。
「ジェエエット!マグナァァァム!!」
事の始まりはあの日、日本のとある地方都市・H市にある地下貯水場での戦闘だった。
そこで俺、
「謎の怪人がノイズを倒した?」
その報告に特異災害対策機動部・二課指令、風鳴弦十郎は同じく二課のオペレーター担当の藤尭朔也、友里あおいの報告に眉を顰めた。
「はい。それがこの映像です」
指令室のメインモニターにノイズや、それらから逃げる人々の姿が映される。今まさに襲われそうになったその時、何者かが間を割る様に上から落下し、アスファルトを砕き表れた。
頭部は黒いフルフェイスに紅いバイザー。両側から斜め後方に伸びる耳のような突起。灰色のトレンチコートに真紅のスカーフを靡かせ、コンバットブーツを履き、硬質的な黒い手。
その後の映像は驚愕としか言えなかった。拳でノイズを砕き。手刀で切り裂き。蹴りで刈り取り、空を飛ぶ敵には額に小さな穴が開き光線が放たれ焼き切る。そして、右手を腰だめにしてから放つ拳からの衝撃波が残ったノイズを全て炭素へと変えた。
その姿に弦十郎だけでなく、その場に居たスタッフに衝撃と自分達の理想を見た。
「あの数のノイズを一人で・・・!」
その後の映像にさらなる衝撃を受けた。なんとノイズが破壊した瓦礫から下敷きになっていた少女を助け出し、近くにいた母親に預けると安心させるように拳から親指を立てる、サムズアップしたのだ。
「この後、街中の監視カメラ等の目を掻い潜るように跳躍しロストしました。この事から高度な知能を持ち、人類に対して無害、もしくは友好的な存在だと思います」
「既にこの時、民間人が撮影した映像や写真が出回っており、それらから頭部のフルフェイスに刻印されていた文字から、世間ではこの怪人を”ゲシュペンスト”と呼ばれているようです」
「”ゲシュペンスト”・・・ドイツ語で”亡霊”の意味だったか」
弦十郎は暫し、考え込んでいると司令官として指示を下した。
「対象を今後、”ゲシュペンスト”と呼称、情報収集を最優先。人類の味方になってくれれば良いのだが・・・」
俺がこの世界に着いて数か月の月日が流れた。最初は何故生きているのか、あの後どうなったのか。分からない事だらけだったが、調べていくうちに今まで生きてきた世界と違う世界である事。相違点があるが概ね同じである事が理解出来た。
当初、こちらでの活動資金をどうするか悩んだが、ひょんなことから当面の生活資金を入手出来たのは僥倖だった。これにより衣食住の心配をしなくて済むのは大きいかった。
そして、今はこちらに来てから興味を持った二人組の歌手であるツヴァイウイングの初回限定盤CDを買った帰りである。
その時だった。耳障りな警報が響いた。周りの人達は慌てて近くのシェルターは走り出す。
すぐ様、意識を切り替える。
叫び惑う人々の中を掻き分け、俺は急ぐ、迫りくる
「変身!!」
「ジェットマグナム!!」
その一撃でノイズの一団を吹き飛ばすが、それでも一面のノイズに数が減ったように見えなかった。
「クソッ!なんて数だ!?」
明らかに今までとは桁違いの数だった。しかもシェルターへの市民の避難がまだ完了してなく、今だに俺の後方では避難誘導が続いていた。その近くでの戦闘であり俺の敗北がそのまま、抵抗する術を持たない人々の死と繋がる。
黒煙が至る所から上がり、瓦礫の上を闊歩するノイズの群れに加え、大型ノイズも確認出来る。
「まあ・・・最後まで足掻くだけだ!」
どれ程経ったのだろうか。何体のノイズを倒したのか。
ただひたすらに拳を。
蹴りを。
光線を。
だが俺は今でも戦っている。
「まだだ!まだ終わらんよ!・・・?」
その時、歌が聞こえたような気がした。次の瞬間、俺の周りに大量の槍と剣が降り注ぎ、近くにいたノイズを一掃した。すると上空に現れた一機のヘリコプターから二つの影が跳び降りてきたのが分かった。思わず臨戦態勢を取ったが降り立った二人を見ると言葉を失った。
「よう。初めましてだな。
「奏、油断しないで」
俺は槍と刀を持った二人に思わず、声を洩らした。
「ツヴァイウイングの天音奏に風鳴翼!?」
二人は目を見開き驚いたようだった。
「私達を知ってるのかい?」
「・・・君達のファンの一人さ」
「そんなにボロボロに成るまで・・・後は私達に任せて貴方は・・・」
防御力には自信があった俺もヘルメットの一部は欠け、バイザーは罅割れ、コートは至るとこが破れ出血もしていた。どうやら俺もそれ程余裕があったようでは無いようだが、すぐにノイズに向き直る。
「俺は!ここから!一歩も下がらない!!」
それは俺の魂の叫びだった。ここから下がって成る物か。理不尽を。不条理をこのままにするものか。その思いが籠った叫びだった。
「なら、さっさと片付けよう!」
その言葉を聞いた奏は獰猛な笑みを浮かべると相棒の翼に目配せすると、彼女も力強く頷いた。
その後は、ただ我武者羅に闘った。ひたすら眼前のノイズを倒して行くと気が付くと全てが終わっていた。
奏が俺に何か喋っているようだが内容が入ってこない。これはダメだと思った時には、俺は意識を失った。