戦姫絶唱シンフォギアにダブルクロスのキャラを混ぜてみた 作:ヨン
「嗚呼・・・美味い」
仁は先日、オペレータースタッフである藤尭朔也に頼んでいた物を受け取る為に指令室を訪れたら、同じオペレーターの友里あおいの淹れるお茶を頂いていた。
そんな彼を見ながら弦十郎は、以前受けたメディカルチェックの結果が出た時の事を思い出していた。
「彼の言う通り、血液から私達の未知のウイルス、レネゲイドウイルスが検出されたわ。でも採血して少し経ったらウイルスの死滅も確認されたから、確かに発症処か感染すら可能性が低い事が確認されたわ」
その場には弦十郎を始め、櫻井了子、緒川慎次と当事者の早乙女仁の4人がおり、皆が分かってはいたがハッキリと証明されて安堵していた。
「所でなんで貴方はシンフォギアも無しにノイズと戦えているの?」
「心当たりとして、俺が異なる世界から来たからノイズにも干渉出来るとか・・・もしくはレネゲイドウイルスを発症している事かも。俺の居た組織、UGMでもレネゲイドに関して未知の部分が多くありましたし、ノイズに対して対抗出来るのも恐らくそれが要因だと思います。実際、生身でノイズに触れても炭化しませんでしたし・・・」
「・・・今何と言ったかい?」
弦十郎は彼が言った事が理解出来なかった為聞き返していた。
「こちらの世界に来て間も無く、数体のノイズに襲われて素手で倒したことが有りまして・・・」
規格外過ぎる。今までのこちらの常識外の事だった。
「レネゲイドウイルスって凄いわね~。オーヴァードになればアノ強化スーツを使えるの?」
「いえ、アレは俺が得た特性みたいなもので、強化スーツに見えますが本当は自分の肉体を変化させてるんですよ。実際あのスーツの繊維を調べると俺のDNAが検出されますし」
あの姿、特殊な服装が肉体の延長線上だという事も驚愕したが彼の変身後の能力にも驚いた。
全身が戦車の装甲などに使われるセラミック以上の硬度を持ちながら通常の衣類や手袋等と同じ弾性を持つという矛盾した性質を有しており、背中から翼を展開すると飛行も可能。光をある程度操作でき、その一環で光線を放てる。
「俺の持つシンドローム・・・能力の分類的には自身の肉体を変異させ人外の力と運動能力を発揮させる"キュマイラ"。光を操り光線等を行える"エンジェルハィロゥ"。そして二つの能力が使えるオーヴァードを
「成程。ねぇ、ウイルスに発症にはどの位の潜伏期間があるの?」
それは細菌学では当たり前の考えであるが、このウイルスは当てはまらないらしい。
「いえ、潜伏期間は特に決まってません。感染しても死んでも発症しなければ、感染直後に発症の場合もありましたし。でも必ず
周りの空気が止まったが、彼は特に気にした様子もなく続けた。
「俺はかつて警察官だった。普通に職務に務め、普通にパトロールし、普通に市民の相談に応えていた。あの日までは・・・拳銃をもった薬物中毒者が少女を人質にした事件が発生した。そいつはヤクの売人を二人殺して警官を複数人負傷させた凶悪犯だった。俺も犯人の包囲に参加し特殊部隊の到着を待っていた時だった。タイミングが悪かった。少女の母親の姿が見えた時に犯人の拘束が緩んだんだ。母親の元に向かう少女の背中に銃を向けやがった・・・偶々、俺が一番近くに居たが、まさに
少し襟首を引っ張り広げると胸に撃たれた痕が覗く。
「他の人には痛々しい傷跡に見えるかも知れないが、俺に取っては市民を守り切った勲章みたいなモノだな。そこで終わっていても良かったんだがな」
「そんな事言うものではない。御両親が悲しんだんじゃないのか?」
「両親は当時の流行り病で警官になって間も無く亡くなりました」
「・・・すまない」
弦十郎は謝罪したが彼は余り気にしていないようだった。
「親子喧嘩と親孝行は生きている内しか出来ないとはこの事ですな。喧嘩は無かったが孝行もあまりして上げれなかった事は後悔してますがね。死亡し運びこまれたのがUGMの傘下の病院でそこで俺はレネゲイドウイルスに感染していた事が分かり、死が切っ掛けで発症しオーヴァードに覚醒。そしてUGMエージェントになった訳です・・・皆さんに今後の事で御願いがあります」
彼の口から聞かされたことに只々驚きしか無かった。
「頼まれていた物、修復が終わったので御渡しします」
「ありがとうございます」
朔也と仁の会話に気付いて意識を向けると写真を一枚受け取り、それに奏と翼が興味を示していた。
「仁のダンナ、何の写真だい?」
「向こうの仲間との写真ですよ。財布に入れていたのですが結構傷んでたので直してもらったんです」
差し出された写真には何人もの男女が写っていた。高校生位の男の子二人が肩を組み合い、変わった服装の娘が身の丈程のライフルを持ち、微笑を浮かべた少年に、その後ろで満面の笑みを浮かべているボロ服の中高年の男達。そんな人達の中で笑う仁の姿。
「これは・・・個性的な仲間達だな・・・」
「どの様な方々だったのですか?」
翼の言葉に本当に楽しそうに指を差しながら笑顔で答えていた。
ほとんど学生で刀を持ってるやつはお調子者だとか。
眼鏡を掛けたやつはある事件で左腕が義手になってしまったが、その義手が銃にも変形して齢に似合わず沈着冷静だとか。
ゴスロリ服の娘は女性好きの戦闘用アンドロイドで表情筋は死んでるが、意外に感情豊かで、対物ライフル持ってる手の反対の手でピースしてるだろ?とか。
だが途中、指の動きが僅かに淀んだ。しかし、ここまで話した以上最後まで話さなければならない。
「・・・この小さい子も人間じゃないないんだ。レネゲイドビーイング。レネゲイドが自意識を持ち人間の形を取った者で、後ろの爺さん達、ホームレスの情報網を使って諜報面で支援してくれる奴
「・・・
まるで、もう居ないような口振りに源十郎は疑問を覚えた。
「アイツは写真の爺さん達をジャームに変えて俺達に襲撃させ、アイツは俺達の敵となった・・・元から頭が凄く良かったから何らかの考えに至って行動を起こした事は分かったが、ヤツの考えは結局最後まで理解出来なかったが・・・」
「・・・仁・・・お前がこの子を・・」
「はい・・・最後は俺が決着を着けました・・・俺が居た支部はUGMに所属していないイリーガルという民間協力者しか居なかった。しかも皆、学生だった。幾ら超常の力を手にしてもその思考は一般の倫理観で構成されてる。敵を目の前にして無力化するだけでも逸材だが、命を奪うなんて出来ないし、絶対にさせない。その為の
彼はスーツの上から左脇をポンポンと叩いた。そこに有る銃を。
誰も何も言えなかった。仲間を討つしかなかった状況と覚悟を。
「アイツは見た目は小学生位に見えるが2~3年しか生きなかった・・・」
ゆっくりと視線を奏と翼に向ける。そこに懇願するかのような思いが込められているようだった。
「頼むからオジサンより先に死なないでくれ・・・自分より若い者が死ぬのは堪える・・・」