魔女の宅急便 <幸福理論> RTA【悪夢越境】√ 作:くまもんち
私、ホースト・モルガンは......忌み子だ。
老婆のような白い髪。血のような赤い目。死人のような白い肌は一族の中でも、魔女の中でも忌み嫌われてきた。
憎まれながら疎まれながら過ごしてきた。
村人には農具を震えながら向けられ、同じ魔女には容赦なく魔法を放たれる。
そのせいで私の左眼は光を写すことはなくなった。
でも、それでも幸せだった。
母がいたから。赤ん坊の私を育て、身を守る術を教え、魔法を教え、一緒に笑いあってくれた母が。
私とは対称的な黒い髪と水底のような深い蒼碧の目を持っていた。
いつだって母の目を見れば落ち着いていられた。
しかし、その日々は突然打ち切られた。
6年前、母が目の前で私を他の魔法使いから庇って死んでしまってからだ。
森の深くに掘っ建て小屋を建て、父親から体裁を保つ為だけに放るように渡された使い魔を持って。
この7年間を自力で生きてきた。
時には泥水を啜り、虫を喰らい、仄暗いこともやってきた。
「嗚呼、神様......どうか......願わくば幸福を、人並みの幸福を下さい」
少しぐらい、願っても許されるだろうか。
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朝、起きる。今日は13歳の朝だ。
旅に出なければならない。
母との会話が思い出される。
いつかあなたも旅に出ることになるのね。
と優しく頭を撫でてくれた。
だが、今日は私の命日になることだろう。
私はまだまだ子供だが、それでもここ最近の空気に気づかない訳じゃない。
少なくなった襲撃、村人の怯えるような目が消え、ほっとするような目が増えた。
徒党を組んで襲ってきたなら私はひとたまりもなく、命を散らすだろう。
正直、どうでもよかった。
昨日、神に祈ったことさえも忘れていた。
だって、この13年間1度も神様が何かしてくれたことなんてなかったから。
外に出る。鬱蒼とした森が今日は皮肉げなほど爽やかな風を私に叩きつけた。
さあ、旅に出よう。死出の旅に。
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相も変わらず左眼の視界はなく、見にくい。
手元の使い魔はぬいぐるみよりも愛想がない。
と、瞬間、ぐらりと視界が切り替わるような感覚がした。
あれは......魔女......か。
なにか言ってきてるがどうでもいい。
出来れば苦しまないように殺してほしい、ぐらいの感慨しかもたない。
目の前に迫った弾丸状の魔力。それは私の頭を容易く貫通―――
しなかった。
「え?」
思考する間もなく、勝手に動く身体。
別人のように動く体に驚愕を覚える。
未だそんな感情が残っている事に苦笑しそうになるがそれ以上に不可解な出来事だ。
視界一杯の壁のような魔力塊。まるで普段では考えられない流麗な箒さばきで避ける自分の身体。
(分からない!分からない!!!)
グルグルと目まぐるしく回る視界の中、思ったことはそれだけだった。
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しばらくして、魔力が尽きたのか魔女達は捨て台詞を吐いて消えていった。
霜焼けだらけでささくれた自分の手を見つめる。
これが......神様からのチャンス......なんだろうか。
神様からチャンスを与えられたってことは、私は生きていてもいいって事にならないかな。
強く、強く、手を握りしめた。
今回は大分短めです。
あ、感想とか評価とか貰えると作者の執筆速度がクロックアップします。