魔女の宅急便 <幸福理論> RTA【悪夢越境】√ 作:くまもんち
私の名前はオリエントという。
この街で司書をしている。
父から受け継いだ図書館だったが、ここ最近訪れるのは浮浪者かチンピラのどちらか。
まともな客など訪れることはないだろう、と毎日を図書館の蔵書を読み続けることで退屈を紛らわせる日々。
と、お客様のようだ。
「さて、今日はどんなお客様ですかね」
中々奇抜なファッションのお客人もいるので見てて飽きるものでは無い。
が、今回の客は違った。
処女雪のような白髪、宝石を思わせる紅色の目、そして陶磁器のような美しい白い肌。
―――心の臓が動く音がいやにハッキリと感じられた。
それでも笑顔を貼り付けて無理やり口を動かす。
「私、司書のオリエントと申します。以後お見知り置きを。お嬢様は図書館に何用でしょうか......」
どうやら彼女は本を読みに来たらしい。
実に久しぶりのまともなお客様だ。
こちらとしては何も止めることは無い。
少し、彼女の様子を見ているとこちらに駆け寄って来た。そんな何気ない動作でも胸に鈍痛が走る。
彼女は魔導書が読みたいらしい......。
言うまでもなく魔導書は危険な代物だ。
未熟なものが読めば身体が四散し、魂まで輪廻に還ることは許されないだろう。
この下界にとって魔法とは異端の代物なのだから。
無論、止めるがそんな事を言っても聞いてくれないだろうとは
素直に場所を答え、椅子に座り直し、天井を仰ぐ。
―――私には、妹......アトラが居た。
丁度彼女そっくりの白髪、紅眼のアルビノだった。
両親が他界してから、私と妹の2人で暮らしていた。妹は病弱で中々外に出られなかったが、かなりの名家の分家である父母の財産があるおかげで当分は暮らせたし、私も日雇いの仕事に就き、2人で暮らしていくことは出来た。
だが、その日は突然訪れた。
家に帰り、ドアを開ける。
「......?」
......おかしな事に出る前にかけたはずの鍵は外れている。
家に入るとやけに静かだったが、酷く荒らされていた。
焦燥感を覚え、アトラの部屋を開くと、
―――地獄があった。
むせ返る程の血と獣臭い匂い。
ひゅー、ひゅーとか細い呼吸をしながら虚ろな目をするアトラ。
彼女の裸の体には一本のナイフが突き刺さっていた。
何が起きたかは、明白だった。
そして、もう手遅れな事も。
「アトラッ!!!」
汚らわしい白い液体に塗れた妹に駆け寄る。
「お兄......ちゃん?」
僅かに目に光が宿る。
「あぁ......ああっ......ああああああああぁぁぁ!!!」
分かっていたはずだ、この街の治安はゲロ以下だと。
なぜ、もっと鍵を厳重な物にしなかった?
なぜ、妹に自衛手段の1つも持たせなかった?
なぜ、早く帰って来なかった?
なぜ?なぜ?なぜ?無限に湧き出る自分への問い、何の贖罪にもならないと知りながら、頭を掻きむしり、声を上げる。
「泣か......げほっ、ないで......」
「あ......?」
崩れ落ちる私の頭にもうほとんど冷たくなりかけている手が置かれる。
「お兄......ちゃんは悪く......ない......」
「いいや......いいや!俺が......俺がアトラを殺したようなものだ!」
「そんなこと......ない......ずっと......ひゅー、私に......優しくしてくれた......」
「今まで......ありがとう......お兄ちゃん、はぁ、はっ......また......きっと会える......はずだか......ら......」
頭の上の手は弛緩し、力を失った。
「......」
それから、私は家に僅かに残った痕跡から犯人達を探し出し、身体を鍛え、考えうる限りの拷問を与えた上で妹に刺さっていたナイフを返上した。もちろん痕跡など一つも残さずにだ。こんな奴らが原因で捕まるなど馬鹿らしい。
その後、その手口が本家の爺様達の目に止まったのか、教養を学ばさせられここの司書を任せられた。
そうして司書を初めて5年間、その間に成人してしまったが、特に上がり下がりのすることのない人生を送ってきた。
だが、今日、まさかこんな偶然があるとは......。
......!?彼女は大丈夫なのか!!??
目からは血を流し、足取りは酷く重い。それに先程とは比べ物にならないほどやつれている。
......ダメだ。あの時と同じ事は許されない。
あぁ、きっとお前なんだろう?アトラ?
分かったよ。彼女の面倒は必ず俺が見る。
だからそっちで見ててくれ。
必ず、彼女を幸福へと導いてみせようとも。
『オリエント』
オリエントのステータスは軒並み500以上。
体力にいたっては銃でヘッショを5回決めても死なないくらい。不死者かな?
ちなみに筋力500ともなると世界線がドラゴンボールになる。今のほもちゃんだと300人いても勝てない。
スキルは武術全般と身体能力強化系統のスキル。
一部はカンスト及び上位互換になっており、剣を振れば真空の刃出したり、拳を震えば真っ赤に燃えたりする。マジモンの公式チート。