召喚された。
何処の誰かは知らないが…いや知識が入ってきたな。人理焼失…カルデア…人類最後のマスターか。
私の様な無銘の英霊を召喚するような人間だ。おそらくよっぽどの物好きか変人なのだろう。それかハズレ引いたと嘆くか否か。呼ばれたからにはそれなりの仕事をしよう。
「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ…ん?」
おかしい。
声が妙に甲高い。まるで幼子のような…いや昔の記憶なんてとうに忘れたがここまで甲高くはなかった筈だ。
それにやけに目の前にいる暫定マスター二人がやけに大きいような…。
未熟者時代ならともかく今の私が年若い少女二人を見上げるなぞあり得ない話なのだが。
「クラスはアーチャーなんだね!よろしく。私は藤丸立香!一応貴女のマスターです。
いや〜、まさかこんな
あっ!子供時代が有名な人とか?」
「私はマシュ・キリエライトといいます。先輩の後輩兼サーヴァントです。
子供時代が有名…となるとそれこそ牛若丸さんやアレキサンダーさん辺りが有名ですが、
二人ともカルデアでは召喚済みですし…。
すみません。私の知識不足で大変恐縮ですが、真名を教えてもらってもよろしいでしょうか?」
待て待て待て。
二人は何を言っている?子供?小さい?女の子!?いい年した成人男性を見てなんでそんな感想が出るんだ!
まさか認識改変の魔術でもかけられているのか!?
「待て!二人とも誤解だ!そもそも私は成人男性で、決して子供ましてや少女ではない!
二人とも何か魔術によって認識を変えられているのではないか?」
「いや〜。それはあり得ないね。
守護英霊召喚システム・フェイトは間違いなく正常に起動してるし。
あっ、私はレオナルド・ダヴィンチ。気軽にダヴィンチちゃんと呼ぶといい。
本当はもう一人紹介しなきゃいけない奴がいるけどそれはおいおい。今は仮眠中だし。
それにしても…うーん…キャスターである私から見ても二人は正常健康そのもの。
むしろ私からしたら君の方が変だと思うけどねぇ。
ね?冬木で会ったアーチャーもといエミヤ君?」
「えっ!?あのアーチャーなの!?
でも冬木のアーチャーは男の人でこっちのアーチャーはどっからどう見ても女の子だよ!?」
どっからどう見ても女の子だよ???
いや何を言ってるんだ彼女は。
それに召喚式も正常、彼女らも無事。
それに私が変?いや本当に何を言ってるんだ?
「あー…まぁ自分で確認してもらった方が早いかな。
こっちが今の君の霊基グラフ。
で、今新しく表示したのが此方が最初に確認した英霊エミヤ…
まぁ色々と通常の君とは違うだろうけどそこは今いいや。
さーて、違いは明白。こっちが聞きたいくらいだよ。君どうなってんの?それ?」
画面に映し出されたのは彼女たちが語る「今」の私と別の場所で召喚された私。
そこに映ったのは、嫌という言うほど知っている影に侵されている別の私。
いやそれは今はどうでもいい。問題はもう一つの方だ。
ソレは歳はかつての雪の妖精と同じ位…いやおそらくそれより幼く、小学校に入ったばかり位に見える。
髪型はかつてのマスターによく似ている。長さは目に見えて此方が長く、下手したら床についてしまうのではないか?と思うほど長い。
顔立ちはかつての幼い自分によく似ているが、心なしか睫毛が長い気がする。
服装はいつもの赤原礼装とは違うがまぁそこはいい。問題はそこじゃないんだ。ボトムスがやけに露出度が高い気がするの気のせいか?ほぼこれ下着並みじゃないか!こんなの幼い少女に着せるんじゃない!いや違うのはわかってるけど認めたくないんだ。さっきチラッと足元を見た時見えた自分の服装とかやけに重い頭とかで現実だと分かってるけど認めたくないんだオレは!
なんで…なんで…
「なんでオレが幼女になってるんだーーーーー!!!!!!!」
――――
…召喚しょっぱなから叫んだのは申し訳なかった。
でも冷静でいられるわけがない。
マスターたちには悪いが施設の案内は後回しにしてもらって今は割り当てられた部屋にいる。無論サーヴァント一人ずつの部屋というわけではない。
普段は霊基グラフの待機状態、それ以外で現界してるときに使う共有の部屋らしい。一部の我の強いサーヴァントは自分専用の個室やスペースを貰っているらしい。閑話休題。
さて、本来なら英霊は記憶を持ち越さない。あまりに強い記憶だと全部は無理だとしても一部は持ち越せるようだが、今回の私もソレらしい。
どうしてそうなったかはわからないが、この状態の私は少年だった衛宮士郎が少女になったせいで、それに引きづられるように幼い少女になったようだ。その時の霊基として私は召喚された…らしい。
そこ以外何もわからない。この記憶も酷く曖昧で、まるで確かに自分視点だが、他人の書いた日記を読んでいるかのようだ。
そもそも私が覚えてるのは凛がマスターだったこと、答えを得たこと、自分殺しは懲りたという点だけだ。
女になった記憶なんて本来なら無い。その記憶の私は勿論男だったし、衛宮士郎も男だった。
いや本当にこの霊基の私はどうやったらそんなトンチキな世界線を引くんだ…幸運Eか!?幸運Eのせいなのか!?
そもそも何故男から女になるんだ衛宮士郎!凛のうっかりではあるまいし!
いや…今はいない未熟者に八つ当たりしても無駄か。
しかしまいった…。この身体では戦力にならない。
そう思って退去願い出たが、子供のサーヴァント(彼女らは生まれ・成り立ち自体が特殊な為完全な子供はいないらしい)も数人いるらしく、そのままでもいいから力になって欲しいと逆に頼まれてしまう始末。
なんでも戦力が足りないらしい。
それはそうだ。人理焼失に立ち向かう為には出来る限り戦略を補充しておきたいに決まっている。
退去を断られてしまったので、とにかく今の私の技量を知りたい。見た目通りになってしまったのか、通常通りなのか。
できれば誰かに手合わせを頼みたいのだが…。
施設を案内してもらう時にマスターに声をかければ手合わせに乗ってくれそうなサーヴァントがいないか聞いてみよう。
――――
「で。それに乗ったのが君というわけだ。ランサー。そしていい加減笑うのはやめてくれないか?」
「いやお前それ無理あるだろっ!
ブッ…。
だっははっー!やっぱ無理だ腹いてぇ!
なんでぇお前さん、そんなちんちくりんのガキの女になってんだよ!
エミヤっていうアーチャーが召喚されたと聞いて、試しに見てみりゃ何の冗談だよそれ!
笑い話にも程があるだろ!」
「よし。覚えてろランサー。退去は流石にマスター達に迷惑がかかるのでやらないが、生死の境を彷徨う位は覚悟しておけ」
「それほぼ退去じゃねーか!そもそも今のお前にそこまでの力があるとは思えねーけどよ」
「私は有言実行する男なのでね「いや今は女だろ」一々細かいことを気にするのだな君は!
それに力量を確認する為に声をかけたのもある。では行くぞっ!
ズドンッ!
そんな大きい音をたてて、干将・莫耶は地面に突き刺さった。
要するに私が干将・莫耶を重くて持てなかったということになる。
「…は?」
「あー…これも笑っちゃいけねぇのか?いや流石にアレすぎて笑う気力もないが」
「そんな哀れむような目で見るな!クソっ!今から調整するから暫し待て!」
失念していた。
つい通常通り投影してしまったが、今の体格だと使い慣れた双刀も重いに決まっている。
決して私が筋力Dだからではない。断じて違う。その理論だと普段から持てないという話になるだろう。
まさかこんなところにまで影響が出るとは…しばらくはマスターに頼み出撃は先送りにしてもらおう。
でないと戦場で武器が持てないなど、それこそ笑い話にならないことでマスターの命を落としてしまうことになる。
他のサーヴァントがすぐに対処してくれるだろうが、私のせいでマスターに危害がいくことだけはごめん被りたい。
――――
さて。手合わせに関しては投影品の調整さえ済ませればなんてことはなかった。
しかし、以前の身体とかけ離れた体格のせいで、相手との距離感が掴みづらい。遠距離戦ならともかく、近距離・中距離となるとかなり痛手だ。
しかし、逆に小さい体格というのは、相手との体格差があるほど死角にになりやすいため、一瞬とはいえ隙をつきやすい。これは利点だろう。
今はこの身体になれることだ。無論、元の身体に戻ることが先決だが…
こうして、私は新たな身体と共に人理を救う日々が始まった。
しかし、この時の私は知らなかった。同じような被害者が増えることを…
ロリ弓は型月10周年記念本のロリ弓です。
趣味で髪型は凛ちゃんと同じツーサイドテールです。