特に、挿入歌の「黎明」が流れたな!
そして、次回のサブタイが「魔王誕生」だった!
次回がもう楽しみで仕方ないです!
クロノアの腕輪から光が放たれ、漆黒の鎧衣がクロノアを覆っていく。
ヒナタさんの“聖霊武装”とよく似た代物だが、性能はこちらの方が上のようだ。
更に、一振りの剣を召喚した。
形状は
どちらも、叔父さんの言っていた
身の毛がよだつほどヤバい雰囲気がひしひしと伝わってくる。
直後、『予測演算』によって凄まじい未来が見えた。
俺は咄嗟に反応して回避行動を取った。
その瞬間、黒い閃光が駆け抜けていく。
あんなもんもろに食らったら一発でジエンドである。
多分、『多重結界』が進化した『絶対防御』も容易く破られただろう。『超速再生』が進化した『無限再生』があっても、耐えられないな。
因みに、ユウキは回避し損ねて頬に傷ができている。ザマァ。
どうやら、純粋な物理攻撃の前には『
だが、他者をバカにしていたからか、俺に不幸が舞い降りる。
後ろから魔力弾が放たれた。
それは俺の横を通り過ぎてクロノアへと向かっていく。
そんな物が当たったところでクロノアには効かない。
だが、そのせいで
当然、クロノアは俺へと突っ込んで来て、
叔父さんが逃げろとか言ってるけど、もう間に合わない。
という訳で俺は、一瞬の内に準備を整える。
まず、自身の直刀“晴嵐”を『
同時に、クロノアから『
クロノアは更に攻撃を加えてくる。
俺には余裕などない。
だが、ほぼ全てを捌き切ることは出来そうだった。
剣速やキレ、パワーなんかはヒナタさん以上だが、その太刀筋はヒナタさんから教わった物と瓜二つどころかまるっきり同一の代物だったからだ。
見知っているためどう来るか簡単に予測ができる。
そのため、防戦に徹すればなんとかなりそうだった。
あとは金髪さんと叔父さんが協力してくれれば倒せるかも。
そう思いつつ、しばらくの間俺はクロノアの攻撃を防ぐことに専念した。
リムルはヴェルドラを召喚してクロノアへと対処しようとしたが、直後に心が絶望感に塗りつぶされた。
「アユム! 逃げろ‼︎」
そう叫ぶが、間に合うはずもない。既にクロノアがアユムの目と鼻の先のところまで接近している。
いざ斬られると思った瞬間、なんとアユムがクロノアの攻撃を弾き返したのだ。そしてそのまま、クロノアの攻撃を全て避けるか捌くかして防ぎ切っている。
(は? 何でアイツがクロノアの攻撃に対応できているんだ?)
一瞬そんな思考をしたが、答えは自身の
(嘘だろ。アユムの奴、聖人に覚醒していやがる……! しかも、あの感じだと
リムルは直ぐに思考を変えて、魂の回廊を通してヴェルドラに呼びかけた。
そして、目の前に暴風が吹き荒れてヴェルドラが現れた。
「クァーッハッハッハ! 我、見参‼︎」
「来てくれてありがとな」
「我と貴様との仲だ、助けに来るのは当然だろう? それよりも、アレは我を封じた“勇者”ではないか?」
「みたいだな」
「やはりか。仮面はしておらぬが、チラリと見えた口元が同じだったからな。我が目に狂いなく、美しいではないか!」
ヴェルドラは来るなり、早口で自慢気に語る。
そんなこと言ってる場合じゃない! というツッコミを飲み込みつつ、リムルはヴェルドラに告げる。
「美人なのは同意だが、今は敵だ。ルミナスが封じていたらしいんだか、どうやら暴走状態になっているらしい。お前への対策だったみたいだし、責任取ってなんとかしてくれ」
「失敬な。我のように品行方正な者に対して何を大袈裟に対策する必要があるのだ?」
(どの口がそんなことを……まあいいや。突っ込む時間も惜しい)
「冗談はさておき、アイツの相手をして時間を稼いでくれ!」
「クァーーーッハッハッハ! 任せろ、この者とは因縁もある。もう一度戦いたいと思っておったのだ。なんなら、我が倒してしまってもいいのだろう?」
(今フラグが立った気がするが、まあいいや)
「勿論さ。それじゃあ頼む!」
「うむ、成長した我の力を見せつけてくれる‼︎」
そんな会話をした後、リムルはアユムへと駆け寄った。
「アユム!」
そう言いながら駆け寄って来るのは叔父さんだ。
「じぬがと思っだぁ〜」
そう言って俺は叔父さんに泣きついた。
だが、冷めた反応が返ってくる。
「そう言う割には、上手く対応していたじゃないか?」
チッ、気付いていたか。
「いやでも怖かったのはマジだから。メチャクチャギリギリだったんだから」
「はいはい」
「何ですか、その冷めた反応! ちょっとくらい慰めてくれてもいいでしょうに……」
そして、俺達がそんなやり取りをしているのと同時にもう一組が会話をしている。
「レオン様、ご無沙汰しております」
「お前は……イフリート、なのか?」
「はい。今は“カリス”の名を頂き、ヴェルドラ様に仕えております」
「そうか、健勝そうで何よりだ」
「私は、レオン様の真意に気づけず、
カリスの言葉にレオンさんは無言で頷いた。
「リムルよ、時間を稼いでくれ。奥の手を用意する」
「分かった。俺はアユムと一緒にヴェルドラの援護に向かう。カリス、お前はレオンの準備が整うまで守ってやってくれ」
「承知!」
「すまん、助かる」
「それじゃあアユム、行くぞ!」
「分かった!」
「ギャワー! き、斬られたぁ! リムルよ、斬られてしまったぞ!」
そんなマヌケな叫び声が聞こえる。
ヴェルドラさんだ。
素手で剣を受け止めるとか何考えてんだこの人?
いくら竜種といえども、そんなことしたらスッパリ斬られるに決まっているのに。
全然頼れねえな。
「お前ねえ、油断しすぎにも程があるだろうが!
叔父さんも呆れ果ててる。竜種の威厳はどこいった?
「だ、だがな、リムルよ。前に戦ったよりも切れ味が……」
「勇者の攻撃って『絶対切断』だったんだろ? それで斬られたらそりゃ腕がスッパリと持っていかれるに決まっているだろ」
「いや、でも斬られても無事で……」
「サイズ差の問題じゃないですか? 巨大な身体の竜形態を剣で斬れる範囲なんてたかが知れてますよ。小さな身体の人間形態じゃぶった斬られますね、はい」
そうツッコミを入れるとヴェルドラさんは押し黙った。
ぐうの音も出ないとは正にこのことだろう。
かなり落ち込んでる様子だ。
そんなタイミングでレオンさんの準備も整ったようだ。
今までやっていたのは武器の召喚だったらしい。
「待たせた。持って来ていた剣では心許なかったからな。私も、勇者時代に愛用していた
どうやら
流石は元勇者にして魔王である。
さて、これで準備が整った。
ここから反撃開始じゃい!
そう思った瞬間、ルミナス様が叔父さん目掛けて吹っ飛んで来た。
そして、思念で何かを伝えている様子だ。
驚き戸惑ったけれど、直ぐに行動した。
「レオン、クロノアには攻撃を加えず、防御に専念してくれ」
「何か考えがあるんだな?」
「ああ、いきなり信じろと言われても戸惑うだろうが……」
「いや、信じるさ。お前も俺のことを信じてくれたからな」
「ヴェルドラ!」
「うむ!」
「お前は俺の合図でクロノアを抑え込んでくれ! 分かっているだろうが、かなり危険だ」
「任せろ、リムルよ。我は貴様を信じている。だから、必ずその策を成功させるが良い!」
「アユムは2人のサポートを頼む」
「ラジャー!」
「3人とも付き合わせて悪いな」
「気にするな。いつもの事だ」
「俺は気になっていることがある。それを確かめるために、お前の策に乗った。それだけだ」
「俺もヴェルドラさんと同じですよ。叔父さんを疑う理由なんて無いし、こういう時の叔父さんほど頼れる人はいないから信じるまでです!」
そう返して、俺は2人の援護をする。
とりあえず、俺の『予測演算』によるクロノアの動きの予測を『思念伝達』で2人に伝える。
更に、クロノアの足元を『
ついでに、疲労回復とダメージの回復、身体能力強化の魔法をレオンさんに付与する。
クロノア相手には気休め程度だが、無いよりはマシだろう。
ともかく、これで多少は戦い易くなったはずだ。
だが、それでもレオンさんはかなりギリギリみたいだ。
かすり傷すら無いが、紙一重といった印象だ。
俺のサポートとがなかったらどうなっていた事やら……。
流石はヴェルドラさんを封印しただけのことはある。
このままでは敗北必至である。
だが、これは叔父さんの立てた作戦だ。
必ずや成功する いや、させてみせるのだ!
「ヴェルドラ、今だ!」
その合図と共に、ヴェルドラさんがクロノアの動きを封じて、俺も『
すると叔父さんは、いつの間にか手にした仮面をクロノアへと被せた。
アレは確か、叔父さんの運命の人であるシズさんから渡された仮面だったっけ。
ともかく、後は叔父さんに任せるのみだな。
俺は、大聖堂の奥へと目を向けた。
シオンとランガが、ラズルという蟲型魔人相手に戦っていた。
ランガはボロボロだ。シオンは傷は無いが、余裕も無い。それに、残っているエネルギー量を見ればかなりヤバい状態だ。
「俺も加勢しようか?」
「いえ、アユム様。今、私は力を手に入れました。これは遥かな高みへと至るための第一歩。ここで勝てなければ、ディアブロにバカにされるだけでなく、リムル様のお役に立つこともできません! 次の一撃で決めてみせます。ですので、任せて頂けませんか?」
どうやら無策では無いらしい。
それに、今まさに新たな力を手に入れたのは事実だろう。
ダメだったなら俺が出れば良い。
「分かった。ただし、それが効かなかったら、そこからは俺が相手をする」
そうシオンに告げて、傍観する事にした。
「何を言ってイル? お前の攻撃ハ、俺には届かぬゾ」
「笑止。お前に教えてやろう。勝利の女神は、最後まで諦めない者へと微笑むのだと! 闘神解放ッ‼︎」
その瞬間、シオンから凄まじい力が溢れ出す。
身体へのダメージは深刻だから、あと一発が限度だろう。
だが、これならば一撃を当てるだけでも勝てるかもしれない。
「今です、ランガ!」
「承知!」
シオンの掲げた大太刀にランガの“黒き稲妻”が振り注がれる。
この稲妻で更に破壊力を上げる気らしい。
「小癪ナ! 俺の外殻ヲ……」
ラズルがそう言うも、シオンは耳を貸さない。
そして、最大威力の一撃を叩き込んだ。
「
紫電が瞬き、折れた刃が宙を舞う。
だが、ラズルは倒れた。
身体の中央線を真っ二つに切り裂いた大きな傷から破壊の電撃が、ラズルの重要器官を焼き尽くしていた。
この一撃が決め手となり、シオンとランガのコンビが勝利したのだ。
視線を大聖堂の外へと向ける。
戦っているのは、ルミナス様とグランベルだ。
ルミナス様は、叔父さんがクロノアに仮面を被せたのを見て、小さくガッツポーズをしていた。
「嬉しそうですね、ルミナス様。クロエが戻ると本気で信じているのです?」
「何?」
「クロノアとは、破壊の意思そのもの。それを封じていた聖櫃が消えた今、彼女を止めるにはクロエを呼び覚ます他無い。しかし、クロノアの中にクロエの魂が眠っていると、本当にお考えなのですか?」
やっぱりグランベルは、腹立つけど親切だ。
今の発言でどういう事か全て繋がった。
クロノアの顔、どこかで見たような気がしたと思っていたのだ。
言われてみれば、クロエの面影を残している。
それに、あの時クロエが消えたのは過去に飛んだからだと考えれば合点がいく。
封印していたのは、こちら側にクロエが転移してくるためだろう。
「何故それを……いや、そうか。それで貴様は……」
「ええ、貴女様の想像通り、世界を滅ぼすのにこれほど手っ取り早い方法は無い。私よりも遥かに強い者に全て任せてしまえばいいのですから!」
哄笑するグランベルの目は澱んだ狂気に染まって見える。
「黙れ。貴様の思い通りになると思うでない!」
「そう、この世界は常に私の願いを踏み躙る。今も、私の友が逝きました。だから、こんな世界など滅んでしまえばいいのです」
「勝手な事を言うでない。絶望するなら自分1人で勝手にしろ!」
ルミナス様はそう叫び返すと、一振りの刀を取り出した。
それも
「絶望? いいえ違います。私はたった今、心が希望で満たされているのです!」
グランベルも、応じて新たな剣を取り出す。
こっちも
しかも、ラズルのエネルギーも取り込んだグランベルには、新たな
どちらも、今まさに
条件は全く持って互角だ。
そして、決着する。
「
「
交わる剣から凄まじい閃光が放たれる。
そして、閃光が収まった時、その場に立っていたのはルミナス様だった。
叔父さん達の方へと視線を戻す。
どうやら何とかなったみたいだ。
「無事だったか、リムルよ」
「どうなった? クロノアが急に動きを止めてたおれたが……」
「説明は後だ。引き続き、周囲を警戒してくれ」
「任せろ」
「了解です」
「良かろう。ただし、後でしっかりと説明してもらうぞ?」
叔父さんに俺たちは応じる。
一方、叔父さんは倒れたクロノアの隣にヒナタさんの遺体を横並びにした。
そして、ルミナスさんへと向き直った。
「ルミナス、ヒナタの蘇生に手を貸してくれ!」
ルミナス様はグランベルと何か話しをしているみたいだ。
しばらくすると、グランベルの身体は光の粒子となって消えた。
「待たせたな」
メチャクチャ尊大な態度だ。
まあ、魔王で神様だから、むしろこのくらい尊大なくらいが丁度良いのだろうね。
「なんじゃ? 文句でもあるのか?」
叔父さんの顔面が『もっと早く来て欲しかったよね』という心境を表している。
まあ、俺もそれは思ったもん。
「いいえ」
口には出さないのか。
同じ魔王なんだから言っても問題ないだろうに。
「俺がクロノアの『無限牢獄』に干渉するから、その間にヒナタの魂を回収してくれ。足りないエネルギーに関してだが 」
「そこは妾が何とかしよう」
「助かる。それじゃあ、始めるぞ」
2人が作業を始めた。
因みに、どちらも
『解析鑑定』にガッツリ失敗しているのがその証拠。
流石は魔王である。
しばらくすると、クロノア いや、クロエが目を覚ました。
同時に、ヒナタさんの蘇生も完了する。
「リムルさん!」
そう言って叔父さんに抱きつくのはクロエだ。
何故か“先生”から“さん”に変わっている上に、幼い姿に戻っている。
が、そんな事はどうでもいい。
俺にとってこれは、少女が中年のオッサンに抱きつく絵図なのだ。
もうね、ヤバい絵にしか見えないんだわ。
「どういうつもりだ、リムルよ?」
「詳しく聞かせてもらえるかしら?」
レオンさんとヒナタさんが殺気立って言う。
俺も続かせて貰おう。
「良い覚悟してますよね?」
叔父さんには汗一滴たりとも出ていないが、内心は冷や汗がびっしょりになっていそうだ。
「お、落ち着こう? ここじゃあなんだし、今日は疲れた。時と場所を変えて、ゆっくり状況整理しよう」
とりあえずは解散になった。
因みに、タクトさん達は戦闘が終わるまでっていうか終わってからもずっと練習していた。驚愕物である。
叔父さんは、彼らを褒め称えた後、解散を命じた。
「さっきから思ってたんだが、クロエの存在力が増えてない?」
その質問をしたのは叔父さんだ。
そういえば、増えてますね。
蘇生させる時にルミナス様が大量のエネルギーを加えたから……いや、違う。
この気配は、
「気のせいであろう」
にも関わらず、そうルミナス様から返ってきた。
だが、ヴェルドラさんが叔父さんの発言に同意した。
「いや、リムルの言う通りであろう。間違いなく 」
「黙れ! トカゲの意見など聞いておらぬわ!」
ルミナス様が突然不機嫌になった。
明らかに増えているのだが、この話題はそろそろやめておくべきみたいだ。
「いや、リムルやヴェルドラ殿の言う通りだ。見た目は相変わらず超絶的な美少女だが、その本質はクロノアよりも上だろう」
衝撃的な発言が聞こえた。
しかも、声の主はレオンさんだ。
この人、こんな事言う人なの⁉︎
こんな事言うなど絶対あり得ない人だと思っていた。空いた口が塞がらないよ。
『超絶的な美少女』とかクロエに甘すぎる……ってそういえばずっとこの人クロエにくっついて離れないな。
「レオンお兄ちゃん、昔からそうだったけど、私に構いすぎ。そんなんじゃ彼女出来ないって、いつも忠告してたでしょう!」
クロエはレオンさんに対して厳しいな。
とりあえず、どうしても気になる事をクロエに聞いてみた。
「く、クロエ。もしかして、レオンさんと兄妹なの?」
「ん、いや。そうじゃなくて、レオンお兄ちゃんとは幼馴染なの」
自分で言っといてなんだが、頭上に核爆弾が落とされた様な衝撃が俺を襲った。
空いた口が塞がらないどころか、顎が外れそうな勢いである。
逆トラバサミが無くとも口パッカーン状態になりそうだ。
クロエは周囲をクルリと見回した後、口を開いた。
「今なら大丈夫みたいだから言っておくね。私、“勇者”として本当の意味で覚醒したみたいなの。自分の中で育っていた卵と、ヒナタの持っていた卵がくっついたみたいなの。他の人には秘密だよ?」
はい、核爆弾2発目投下されました!
もう頭がついてこない。
もうヤバいわ……。
そして何より、クロエという1人の人間に驚きだ。
今のクロエは見た目通りの少女ではなく、本物の“勇者”なのだ。
それも、これまでに無いほど凄まじい実力を持った勇者だ。
生徒の成長は嬉しくも、寂しいものである。
「よく頑張ったな、クロエ。俺もお前を見習って、何があっても諦めないと誓うよ」
というのは叔父さんの発言だ。
叔父さんも同じ心境のようだ。
こうして、戦いは終わった。
とにかく、凄く疲れた。
肉体以上に精神的にだ。
今日はさっさと部屋に戻って休みたいものだ。