「あのイントネーション 〜転スラコラボver〜」
『
↓
『
番外編その1 “閃光の勇者”と“魔王の甥っ子”
僕の名前は
周りからは、“閃光の勇者”マサユキと呼ばれている。
だけど、僕自身は大した力を持っていないんだよね。
“勇者”と持て囃されるようになった原因は、僕のユニークスキル『
このスキルの影響で、皆が僕の行動を都合良く解釈して、英雄と崇めるんだよね。
しかも、自分の意思でコントロールが出来ないからタチが悪い。
仲間達も英雄だ勇者だと崇めてくるから、本音で語り合う事ができない。
一応、三上……じゃなくてリムルさんには僕のスキルが効かないから、本音で話し合える。
でも、あの人とは中々会えないし、仕事の話になりがちだ。
ビジネスな関係って感じなんだよね。
何が言いたいかって、友達と呼べる存在がこっちの世界にはいない事が悩みだったんだ。
でも、そう呼べる存在とようやく出会えた。
それが、アユムだ。
某日
スナック
ここは、リムルさんが労いの為に渡す特別チケットが無ければ入れない、特別な店だ。
「はあ、僕はただの高校生だったのに、どうしてこうなった……」
僕は、数少ない1人になれるこのスナックで飲みながら愚痴を吐いていた。
勿論、未成年だからお酒ではないよ。
そんな時、新しい来客が来た。
「あ、“閃光の勇者”マサユキだ」
それが彼の第一声だった。
「君は確か、開国祭の時の……」
「ああ。君と同じく、日本からやって来た異世界人の
「うん、宜しく」
あれ今、三上って言ったよな?
もしかして、リムルさんの親族……ってそんな訳ないか。
たまたま偶然同姓だったってだけだろうな。
「もしかして、ここのママさんってトレイニーさん? 開国祭以来ですね」
彼の言葉にスナックのママのトレイニーさんが笑顔で返した。
「それにしても、あの日は本当に疲れた。どうせなら、この店のチケット100枚くらいくれってんだよ」
そう愚痴りながら、炭酸を凄い勢いで飲み干していく。
ミカミ君、相当溜まっていそうだな。
「そういえば、マサユキ、さんってどうして勇者って呼ばれているんだ?」
彼がふと気付いたように尋ねてきた。
「ああ、それはね……」
「やっぱり、そのスキルの影響だったり?」
えっ? もしかして、スキルの影響が出てない?
「ね、ねえ。一つ聞きたいんだけどさ、君から見て僕はどう見えてる?」
「えーっと、そうだな。ジャ○ーズとかにいそうなイケメン高校生って所かな」
「凄い輝かしい雰囲気があるとか、そういうのじゃなくて?」
「うーん。確かに君からは『英雄覇気』とか『英雄魅了』とか言う特殊なオーラが出ているけどさ、俺にそういうのは基本的に効かないからな。というか、君からパクったおかげで俺も『英雄覇気』使えるしね。
確信した。彼は僕のスキルの影響が効かない。
「ああ、やっぱり。分かるんだ!」
「えっと、まあ一応は。それで、俺の質問は……」
「君の言う通りなんだよ! 僕のスキルは『
「つまりは自分の意思でスキルをコントロールできないって事?」
「ああ、その通りだよ」
「マジか……。どおりで大した力を感じない訳だ。あれ、でも冒険者として色々仕事を請け負っているでしょ? その時はどうしてるんだ?」
「ああ。それはね、僕の仲間達が凄く強くて、大抵どんな相手でも勝てるんだよ」
「ああ、そういう事ね」
「ところで、さっきパクったって言っていたけど、あれはどういう意味?」
「文字通りさ。俺はこっちに来る際、『
「何それ⁉︎ 羨ましい!」
「そのおかげで、メチャクチャ強くなったな」
「いいなあ、僕もそんな能力があれば……」
「あはは……。それで、いつ頃こっちに?」
「高校一年の時、もう2年近く前になるかな」
「同い年じゃん! 俺は、半年くらい前の高二の二月くらいの時にに来てさ」
「え、本当? あ、趣味とかは?」
「アニメとか漫画だな。特に暗○教室とかが一番好きだな」
「ああ、僕も漫画が大好きなんだよ」
そして、そこからは漫画やラノベ、アニメの話で盛り上がり、小一時間ほど語り合う事となった。
「いやあ、こんなに楽しい話ができたのは久しぶりだよ」
「スキルの影響で、まともに話せる相手がいなかったからか?」
「うん。まあ、リムルさんにも僕の能力は効かないから、本音で話せるんだけどね。でも、リムルさんと話せる機会ってあまり多くないからさ。そういえば、リムルさんの前世の苗字って、君と同じ三上なんだよね」
「知ってるよ。だってあの人、俺の叔父さんだし」
「……え?」
「初めて教えられた時は、マジで驚いたな」
「えええええ‼︎」
「……びっくりした。いきなり大きな声出すなよ」
「そんな事聞いたら、大きな声も出したくなるって!」
「それもそうか。それはそうと、最近の叔父さん人使いが荒くなってんだよねー。こっちに来る前はそうでも無かったんだけどね」
「本当にね! 凄く荒いよね! 僕も色々と無茶振りされてさ、この間だって 」
そこからはリムルさんに対する愚痴が始まった。
彼も、好き放題やりすぎてるって思っているらしく、それなりに不満があったそうだ。
「いや〜。ありがとう、アユム君。かなり気が晴れたよ」
「こっちこそ、ありがとう。ああ、俺の事は呼び捨てでいいよ」
「そう? それじゃあアユム、僕の事も呼び捨てで呼んでくれないか」
「分かった。そうさせて貰うよ、マサユキ」
とまあ、これが僕にとっての親友である、アユムとの出会いだった。
彼のおかげで、心の中にあったモヤモヤがかなり晴れて、一日一日が少し楽しくなった。
今では、漫画やアニメの話で盛り上がったり、リムルさんの愚痴を言い合ったりと、凄く仲良くなった。
彼と出会って1ヶ月ほどが経った頃だ。
この前と同じく、スナック樹羅でアユムと話をしていた時だった。
「あれ? 珍しい組み合わせだな」
入店して来たのはリムルさんだ。
「いよーっす、叔父さん」
アユムが軽い感じに挨拶をした。
僕もそれに続く。
「どうも、リムルさん」
「ああ、にしてもいつ仲良くなったんだ?」
「つい最近だよ。同郷で同年代でしかも趣味が同じ。あっという間に意気投合したよな」
「そうだね」
「なるほど」
リムルさんはそう言って席に座ると、ビールを注文した。
「あ〜、やっぱりビールは美味い!」
そんな風にしているリムルさんをアユムはジト目で見つめている。
「思ったんだけどさ、叔父さんってお酒飲んだらダメじゃね?」
「何言ってんだ? ダメな訳ないだろ」
「いやだってさ、貴方転生してまだ2年かそこらだよね?」
「そうだけど……」
「はいOUT」
「ハア⁉︎」
「精神年齢アラフォーでも、肉体年齢2歳児じゃダメでしょ!」
なるほど、確かにダメかもね。
「初めて言われたよ、そんな事! ていうか、最近のお前辛辣じゃないか?」
「そんな事ありませんとも。転生して楽しそうだなとか、好き放題やってるなとか、そんな事思って嫉妬してるとかありませんよ」
「いや、絶対それだろ‼︎」
そんな2人の会話を聞いていると、流石に笑いが堪え切れなくなってきた。
「マサユキからも何か言ってやってくれ、って何笑ってんだよ?」
「いや、すみません。どうしても面白くて」
「叔父さん、面白いだって」
「このヤロー!」
そんな明るい会話しながら、夜はふけていった。
もうすぐ、帝国との戦争が始まるとの事だ。
その時どうなるのか、正直全くイメージできないけど、起きてほしくは無い。
けれど、多分起こるとリムルさんは言っている。
だから願わくば、この平和が少しでも続いてほしいな。