設定は大体決まっているけど、第一話の内容が定まらないんだよなあ……
第13話 開発と不穏な気配
俺がこの世界へと転移して、1年が経過した。早いものである。
最近は迷宮内にて色々と研究開発を頼まれたのだ。
無論、戦争準備のためのね。
因みに、学校の方でも教師として働いているよ。
ただし、非常勤講師としてだけどね。
さて、未来で
量も考えたが、この世界では量より質なのは明らかだし、帝国の人口的にも考えにくい。
そこで考えついたのが、近現代兵器とそれを利用した戦術戦略である。
叔父さんはこの世界でそういった兵器はどうなんだろうと言っていたけど、あった方が楽に終わらせられるはずだ。
少なくとも帝国にも異世界人はいるはずだし、そこから得た知識で作っていたとしてもおかしくないのだ。
そういう事を力説して、叔父さんからOKを貰ったのだ。
という訳で、俺は現在絶賛現代兵器を製作中である。
基本的には、俺の記憶の中にある物を魔法やスキルで強化したものだ。
それにしても、こういう時の『
イメージした瞬間、あっという間に製作が完了する。
そのおかげで、かなり色々と試せている。
最近では、ちょっとふざけた物なんかも作っている。
というか、最早俺のミリオタ空間と化し始めているな……
「よう、どんな感じだ?」
そう言って研究所内に入って来る叔父さん。
ついでにヴェルドラさんやラミリスさんまでいる。
「どうも、待ってましたよ。それじゃあ案内します」
俺はそう言って、3人を案内する。
「まずは戦車からです」
そう、現代陸上戦の花形である戦車だ。
様々な形状の戦車が並べられているが、その前に俺が作った戦車に共通する事を解説しておこう。
まず、主砲は全て滑腔砲となっております。
滑腔砲というのは、現代戦車に多く採用されている形式の砲である。
通常、銃身や砲身の内部には
しかし、
そこで、砲身内部の
これに加えて、砲身に弾速を強化させる刻印魔法も折り込んでいるため、モノによってはマッハ10を超える弾速を弾き出すし、弾自体にも気流制御の刻印魔法を取り付け、凄まじい射撃精度を誇る。
次に、装甲には俺が開発した
勿論、向こうの複合装甲とはまるで内容は別物である。
叔父さんが開発したという
これを利用した特殊複合装甲ならば、厚さによっては核撃魔法『
「 とまあ、共通点はこんな感じですかね」
「ふむ。それで、違いは?」
そう叔父さんが聞いてくる。
「主砲性能から走行性能まで色々ですね。まあ、基本的に見た目は向こうの世界の戦車となっています。性能はまるで別物ですがね。第二次世界大戦時にイギリスの17ポンド砲が登場するまで連合国軍では撃破不能だったが故に“無敵戦車”と恐れられたティーガー、大戦末期に登場して一度も撃破されなかったケーニッヒスティーガーことティーガーⅡ、パンターやティーガーが無かった頃の大戦初期にてドイツの戦車部隊を一夜で無力化したT-34、街道上にてたった一両でドイツ軍の侵攻を抑え込んだ“街道上の怪物”ことKV-2、大戦末期に開発され現代の
「待て待て待て!」
叔父さんが説明中に止めてきた。
ここからが面白いというのに。
「何ですか? まだあと100近くの種類があるんですけど?」
「お前の悪癖が出てるぞ。一度ハマりだしたら止まらないところ。ヴェルドラやラミリスなんか、もうポカーンってなってるぞ」
「あ、すいませんね。戦車が兵器の中では大好物なもんでして……」
「う、うむ。構わないぞ」
「そ、そうだね。取り敢えず、凄いモノが作れたっていうのは分かったのよさ」
ヴェルドラさんとラミリスさんがフォローしてくれた。
「話は変わりますが、カタログスペック的にはやはり10式が一番高性能ですね。これを元に色々改良を施したのが、コイツですね。開戦して、相手側に戦車があった場合はコイツで対応する事になります」
俺は一両の戦車の前へと出た。
見た目は大して変わっていないが、中身は色々と手を加えてある。
まず、主砲を44口径120ミリ砲からより砲身の長い55口径120ミリ砲へと換装している。
刻印魔法の付与もあり、弾速はマッハ12.5を叩き出す。
また、ガスタービンエンジンやターボプロップエンジンを参考に製作した魔導制御動力炉を採用しており、44トンから40トンへの軽量化によって、最高速125km/hとなっている。
流石に森の中でそんな速度は出せないけどね。
しかし加減速性能はかなり向上しており、殺人ブレーキに至っては、もうヤバい。人を乗せて走る際にはレーシングマシンに使われてる4点式シートベルトが必要になるのではと思えるレベルだ。
因みに燃料は魔素であり、車両自体が魔素を貯め込めるように設計してある。
転送魔法は物が異空間を通る際、大量の魔素を取り込むので有機物や生物の転送に向いていないとされる。
これを逆手に取って、戦場に転送すると同時に戦車の燃料となる魔素を大量に確保するのだ。
基本的に俺による遠隔操作で運用する予定なので乗員に関しては問題ない。
まあ、数を作りすぎると操作が難しくなるので、一度に運用できるのはせいぜい20両までという欠点もあるけどね。
「まあ、相手が戦車を使ってくるとは限らないけどな……。というか、相手がヤバそうな兵器を使って来なかったら使わせないから」
叔父さんの言葉通り、帝国が戦車を使用してくるかどうかは分からない。
それに、相手がヤバそうな兵器を導入しない限り、こっちもこれらは使わないというのが叔父さんの方針だ。
だが、『備えあれば憂いなし』と言うように準備しておけば対策は取れる。
だから予め作っておくのだ。
「次に、歩兵装備を紹介しますよ」
俺は次に、3人を倉庫の銃火器が並べられた一角まで案内した。
「こっちも色々あるけど、戦車ほどではないな」
「まあ、歩兵装備はあんまり詳しくないのでね」
多くて3、4種類だ。
ロケランなんかRPG-7の1種類くらいしかない。
まあ、こっち側には興味が薄かったからどうしようもないんだけどね。
「ロケランはともかく、銃は基本的に不採用かな。魔法の方が強いと思うし、お前の手を借りなくても作れるからな」
「了解です。じゃあ最後に、航空機及びミサイル 」
「はいはい、そろそろ俺の方の手伝いに来てくれないかな?」
このオッサン面倒くさがって話を切りやがったな!
せっかく“平成の零戦”ことF-2とかF-35ライトニングⅡとか作ったのに!
そう思いつつも、俺は叔父さんと一緒に執務室へと向かった。
執務館に着くと、待っていたのはディアブロだ。
「すまん、待たせたな」
「いえいえ、お気になさらないで下さい」
今、叔父さんが開発しているのは情報収集のための監視魔法だ。
この
だが、敵が攻めてきた際の動向を完璧に掴むには足りないのだ。
どうしても生まれてしまう“監視の穴”を埋めるために現在監視魔法を作ってるって訳だ。
一応、呪術系魔法の中に遠見魔法がある。
しかし、対象の姿を確認する程度と伝達される情報量が少ないし、効果範囲も狭い。
さらに、切り替えに時間がかかるし、相手が通り過ぎれば意味なくなる。
魔法障壁に簡単に弾かれ、魔法が消失さえする。
弱点が多い、というか弱点しかなくて使い物にならない。
これじゃあ話にならないからね。
さて、現在開発中の魔法はそんな弱点の多すぎる呪術系とは全く異なる発想のものだ。
叔父さんが開発した物理魔法『
高高度に巨大な水のレンズを作り、これによって映像を拡大して転写するというものだ。
とどのつまり、軍事偵察衛星を魔法で作り出すってところだ。
理論的には可能だし、大まかに構築も済んでいるので、後は細かいところだけだ。
因みに俺は衛星の制御システム担当で、刻印魔法と向こうの技術を噛み合わせた、魔鋼製のボックスを製作している。
叔父さんはモニターやらその他必要な部分を担当している。
さて、ディアブロも手伝ってくれたおかげでシステムもほぼ完成した。
叔父さんも既に魔法発動に必要な事は終わらせているので、後は試験運用だ。
その前に一息入れる。
いやホント、最近忙しすぎて疲れ気味なんだよね。
あ〜、シュナさんが淹れてくれた紅茶が身に沁みますなぁ。
そんな事をやっている中で、迷宮の司令室から一報だ。
何でも、50階層を突破した者が現れたらしい。
因みに、今回の件の者達を除いて50階層を突破したのは、マサユキ率いるチーム“閃光”と暇な時間にチマチマと迷宮攻略をしている俺くらいだ。
50階層の
スカウトに応じてくれなかったら敵対すると厄介になるので監視対象にするそうだ。
そういった理由で、彼らが倒されたら連絡するようにと叔父さんが命じたんだと。
という訳で、迷宮司令室に転移した。
「お、来たね司令! 状況は今のところ変化なしであります!」
ラミリスさんがそれっぽい事言っているけどドユコト?
いや、この人の頭は基本子供なので理解するだけ無駄だ。
「状況は?」
「はい。50階層を突破したのは3名。それも、全員がユニークスキル保持者です。
叔父さんの質問に答えたのは“迷宮統括者(と書いて「ラミリスのパシリ」と読む。可哀想すぎ……)”のベレッタだ。
大画面モニターには3人の若者達が映し出されている。
破竹の勢いで迷宮を踏破しているけど、その戦いぶりは特殊を極めていた。
1人目はガッシリとした大柄の男で、茶髪に彫りの深い顔立ち、おまけにタンクトップにジーパンという出立ちだ。
どう考えても俺らと同じ“異世界人”だと思える。
2人目は黒ずくめのローブで全身を隠した、小柄で痩せた男。
3人目は鎖帷子の上から白衣を着ている男。
研究室や病院とかでよく見かける白衣だ。
これらは、こっちの世界ではあまり流通してないし、日本人っぽい顔立ちをしている。
こいつも“異世界人”だと思えるな。
3人中、少なくとも2人が“異世界人”だと思う。
いや、あの黒ローブも“異世界人”である可能性は高そうだ。
そんな事を考えている中でも戦いは続いている。
新たに6体の
普通の人間には反応できない速さで距離を一気に詰める。
因みに、
しかも、死霊系の魔物なので
油断しようものならAランクの冒険者でさえあっさり食い殺されるのだが……。
「舐めるなよ、犬ッコロが! うおりゃぁぁ‼︎」
そう叫び、背負っていた
その一振りで、3匹の
「あ、それ! 見覚えがあると思ったら
叔父さんがそう口にする。
確か、叔父さんが話していた50階層でドロップする
しかも、
「なるほど、
「うむ、あの武器はゴズールが落としたものだな。馴染みの武器のように使いこなしておる。あの者の戦闘センスも中々のものだな」
俺の呟きにヴェルドラさんも頷く。
彼らの戦いぶりを観ながら、今までの経過について話を聞いた。
今までの戦闘はほぼ全て大柄タンクトップが倒してきたらしい。
実際、そいつの実力は間違いなくAランクオーバーの実力者のようだし、納得である。
各種罠類はどうなったかというと、黒ローブによって発見され全て回避されている。
51階層以降は巧妙な罠や初見殺しの陰険な罠も配置されているというのに、的確に位置を指し示している。
これは間違いなく、探知系のユニークスキルだ。
迷宮攻略には欠かせない人物だろう。
最後の白衣は、50階層でゴズールと戦った時の1度だけしか出番が無かったそうだ。
ヴェルドラさん達もよく分かっておらず、上手く説明出来なかったので過去の記録映像を見せてもらった。
懐から注射器のような物を取り出して仲間2人にそれを打つ。
直後、ゴズールの動きが急速に鈍くなった。
恐らく、毒ガスの類いだ。
しかも、その場で自由自在に調合できるようだ。
動きが鈍ったゴズールはその後、タンクトップにボコボコにされた。
そして、白衣がトドメに首筋をメスのような物でバッサリと言った感じだった。
どうやらこの白衣はチームリーダーで、司令塔の役割を果たしているようだ。
しかも腕も良いので、いざという時の戦力にもなる。
そのため、前衛のタンクトップも自由に動けるという様子だ。
バランスの取れた良いパーティである。
その時、扉をノックする音が聞こえた。
扉が開かれ、シュナさんが部屋に入ってきた。
この3人の登録情報の書かれた用紙を持って来てくれたのだ。
「どうぞ。こちらが入国時の登録情報になります」
シンジー
年齢:23歳 職業:
マーク
年齢:26歳 職業:
シン
年齢:17歳 職業:
出身地の欄には、帝国側の小国である『アフモン』と書かれていた。
入国目的の欄には「
うん。嘘ですね、どう考えても。
ユニークスキルを持った3人がパーティを組んでやって来るなど、普通じゃない。
また、彼らの職業にも気になる点がある。というか気になる点しかない。
まずシンジーの
シンジーの場合は〈元素魔法〉と〈精霊魔法〉を習得している。
マークの
剣なら剣術、弓なら弓術、投げナイフや投石なら投擲術といったところだ。
マークの場合、格闘術に投擲術と矛術に長けているようで、かなりの多才っぷりだ。
シンの
弓術を極め、会得の難易度が高い“隠行法”を扱えなければならない上に、『危険察知』のスキルを習得していなければならない。
討伐ギルドでは最も頼りにされる職業なのだ。
この世界において、探索系で必須の罠や魔物を発見する技能を持つ者は少なく、
こんな珍しい職業の者が3名がパーティを組んでやって来た。
疑って下さいって言っているようなものだ。
「やはり、この3人がエサに食い付いたスパイに思えるんだよな」
「はい。ですが、このように堂々と自分の身分をひけらかすとは思えませんね」
叔父さんが呟くと、ディアブロがそれを拾った。
新型監視魔法の実験をとても楽しみにしていたらしく、今回の招集で中断されたのでかなり不機嫌そうだ。
「それは俺も疑問だったんだよね」
「リムルよ、考えすぎなのではないか? 正直が一番であると、貴様も常々言っておったであろう」
「師匠の言う通りだよ。そんな事よりさ、今は挑戦者達をどうもてなすかが大事だと思うのワケ」
叔父さんの疑念に対し、能天気にヴェルドラさんとラミリスさんが答える。
「スパイかどうかはともかく、3人とも“異世界人”と考えられる能力と出立ちだから、どっちみち油断は出来ない。要注意なんじゃないですか?」
「そうだな」
俺の意見に叔父さんが賛同した。
因みに、この間に彼らのスキルを
黒髪白衣のシンジー というか顔立ちと名前から考えて日本出身で本名シンジだな は『
当然、薬品などによって治癒もできる。医療用のナノマシンよりも優秀なので、汎用性の面でも凄まじく優秀なスキルだった。
マークのユニークスキルは『
文字通り、手に持てる物ならなんでも投げることができ、空気弾や魔物の死体、その辺に転がっている石だろうと持ち上げられるモノはなんでも投げることができる。
最後のシンは『
シンジーのウイルスまで探知できるようで、しかも個人の高い戦闘力も加わり、逃げるのがメッチャ上手い。
素早い上に罠にかからないという、迷宮の天敵とも言える存在だった。
しかも、51階層以降は魔物の強さ以上に凶悪な罠の方が脅威。
無酸素部屋とか毒水、酸性沼、腐食ガス等々肉体だけでなく装備にもダメージが入るエグすぎる罠が大量に仕掛けられている。
これでは上層階より少し難易度が高い程度だ。
方向感覚も良く、回転床にも騙されずに最短の道を進んでいる。
多少の怪我もシンジーの『
正に迷宮攻略に特化したような者達だった。
「あのイントネーション〜転スラコラボverその3〜」
『