転移高校生は転生魔王の甥っ子だった件   作:Many56

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久々の投稿です。
最近、頭文字Dの方ばっか投稿してたので、そろそろ書かないとと思いまして……。(またアルペジオの方が進んでねえ〜……)
早く11月22日になってまおりゅうリリースしてくれ!
さて、本作を連載始めて1年経ちました。
今までありがとうございます!
そして、これからもよろしくお願いします!


第22話 迷宮戦開始

 

 

 

「ただいま、ってどうしたんです?」

 

迷宮の管制室に戻ってきたら、複雑そうな表情を浮かべている叔父さんがいた。

 

「お、おう。いや、別に何でもない。ただちょっと、アイツらの暴れっぷりに少し驚いただけだ。特に、テスタロッサとウルティマがな……」

 

なるほど、確かに彼女らが戦うところを初めて見たが、アレはちょっと衝撃だよね。

だがしかし   

 

「もしかして、あの命令を出したのを後悔してます?」

 

「……ああ」

 

溜息のような声が叔父さんから漏れ出る。

やりすぎたというのが叔父さんとしての心境なんだろう。

 

「でも負けて仲間を大勢失うよりはいいでしょ。それに、あの2人を配置したのも正解ですよ。そうでなければ、ガビルとゴブタが危険でした。多分、あの約1名に倒されていたでしょうね」

 

「そうだな。そうだった」

 

これで叔父さんは納得した。

だが、納得していない者が1人いた。

 

「嘘だろ……。こんな結末だと俺の練った作戦が全く意味がなかったじゃねーか! 何なんだ、あの情報武官って奴らは⁉︎ ウルティマは俺の『黒炎獄(ヘルフレア)』を遥かに凌ぐ大爆発で敵の航空部隊を殲滅したし、テスタロッサはとんでもない光線を撃って敵の強者をあっという間に殺して、リムル様の直属って言ってましたけど、説明してくれますよね!」

 

半ギレしながらこちらに聞いてくるベニマル。

叔父さんとは別の内容だが、これは納得させるのは大変そうだ。

 

「いやいや、話してあっただろ? アレはディアブロが勧誘してきた新しい……」

 

「ディアブロの部下なのは知ってますよ」

 

叔父さんが誤魔化そうとしたけど、無理だよと言いたい。

ヴェルドラさんやラミリスさんに目配せしてたけど、どちらにもスッと目を逸らされているし。

ここはもう俺が話そうかな。

責任については叔父さんが取ることになってるし。

 

「ベニマル、“原初の悪魔”って聞いたことあるか?」

 

「“原初の悪魔”ですか? いえ、聞いたことありません」

 

どうやらベニマルは初耳だったらしい。

だが、シュナが言葉を挟んできた。

 

「悪魔の源流となった七王、七君主の事ですよね? この前の会話を聞いてしまって、気になって調べてしまいました。ディアブロさんがその内の1柱(ひとり)だったなんて、驚きでした」

 

俺らよりも詳しく知ってんのかよ!

しかもそれを穏やかな表情でサラッと言えるのがすごい。

そこにシビレもしないしあこがれもしないが、ちょっと尊敬するよ。

 

「えっと、つまり……?」

 

「テスタロッサ、ウルティマ、カレラの3人もそれなんだよ。因みに、ギィさんもその7柱の内の1柱だ」

 

シュナの言葉を引き継ぎ、俺が言った。

 

「そう、なのか?」

 

「はい」

 

シュナが眩しい笑顔をもって答えた。

ヤバい秘密を打ち明けると身構えたのに。なんだろう、この肩透かしは。

まあ、そのおかげで幾分楽な気持ちになったけど。

 

「ディアブロ、お前からも説明してやってくれ」

 

叔父さんがそう言い、ディアブロが説明を始めた。

 

「承知しました、リムル様。ベニマル殿、先ほど説明された通り、私は原初の1柱でして   

 

ディアブロの説明を聞き流しながら、俺は戦いが終わったドワルゴン正面入口前の様子を眺めていた。

いやはや、中々の惨劇である。

1ヶ所、エゲツない爆発の痕跡が地面にある。

うん、俺がやったやつだな。

だが後悔はしていない。

そもそも、向こうが攻めてきたのだ。

容赦する方が失礼ってもんである。

……どこかしらに罪悪感が残るが。

 

「なるほど、事情は理解した。それならあの強さにも納得がいきます。しかし、それならそうと最初から教えて欲しかったですね」

 

「ははは、悪いな。知ったら怖くなるんじゃないかと思ったんだ。俺やヴェルドラ、アユムとかはともかく、ベニマル達には余計な心配はさせたくなくてさ」

 

心配させたくなかった……ね。

確かにそれもあるだろうけど、一番はドデカいやらかしをやったからじゃないですかね?

そんな視線を送ったら、サッと目を逸らされた。

こりゃ確定ですね。

だが流石に、コレをバラしたら面倒ごとになりそうだから黙っておこう。

 

「アタシだって怖くなかったもんね」

 

「ま、要らぬ心配ですよ。俺達はリムル様が認めた者であれば、仲間として受け入れますよ」

 

「うむ、ベニマル殿の言う通りです。見た目や強さで差別をするような者など、オレ達の仲間にはいません」

 

ベニマルは苦笑し、ゲルドも至極当然といった感じで答えた。

まあ、彼等が差別なんて考えられないよな。

そもそも、この国には多くの種族がいる。

そんな多民族国家が成り立つのに、種族間や実力による差別があってはならないだろう。

 

「そうだな、それなら良かった。心配して損したよ」

 

「ははは、もっと俺達のことを信用して下さいよ」

 

「ええ。もっとも、リムル様がオレ達を心配して、カレラ殿達を配置して下さったのは感謝しかありませんがね」

 

事情説明を終わらせて、状況確認と反省会が始まった。

 

「皆も気付いている通り、テスタロッサ達を配置したのは敵軍に魔王クラスの実力者がいても対処できるようにするためだったんだ。そしたら、少し張り切りすぎたみたいだな……」

 

張り切りすぎというかやり過ぎというか……とにかく凄まじい暴れっぷりだった。

なんの躊躇いもなく、あっさり敵軍を殲滅しやがった。

 

「クフフフフ。張り切りすぎるとは、少し調子に乗っていたようですね。後でしっかり教育して(シメテ)おかねばなりませんね」

 

とか不穏な事を言うディアブロ。ちょっと怖い。

叔父さんは「ほどほどにな」と注意はしていたけど、あんまり意味ない気がする。

というか、シメなくていいだろ。

 

「その必要はないんじゃないかな、ディアブロ。魔王クラスの実力者を潰すっていう仕事はちゃんと果たしてくれた訳だし。なんなら残りの雑魚も処理してくれた訳だしね」

 

俺はそう言った。

何でこんな事を言ったかというと、テスタロッサとウルティマの次にヤバい事をしたのは俺だからだ。

流石に核撃魔法をぶっ放したりしてないが、敵軍のど真ん中で超大型爆弾を爆裂させたのだ。

先ほども思った事だが、地面に分かりやすくエゲツない爆発の跡がある。

この流れで、俺も叱られるのはごめんである。

 

「そう、でしょうか……?」

 

「うーん……。でもまあ、お前の判断に任せるよ。ただ、やるにしてもほどほどが一番だからな」

 

俺の言葉で戸惑ったディアブロに叔父さんが言った。

さて、この話題はこの辺にして、次の損害確認に移る。

傍目から見ればかなりの損害被ったように見えるだろう。

叔父さんも、損害についてはかなり心配そうだしね。

 

「現在、怪我人は回復薬(ポーション)を使用して全員回復したとの事です!」

 

そのオペレーターの声を聞いて、管制室内には安堵の声が響いた。

当然である。

出撃した者達には全員、上位回復薬(ハイポーション)を10個ずつ与えていた。

また、完全回復薬(フルポーション)も用意したので、四肢の欠損からの回復も容易である。

この結果、人的被害は皆無であった。

回復薬を大量に消費したが、魔国連邦(この国)ならば回復薬を湯水の如く生産できるし、何より犠牲者が出るよりかはマシである。

という訳で、死者や怪我人はいない。

まあ、動けなくなってしまった者達がいるけどね。

それは、ガビルを始めとした“飛竜衆(ヒリュウ)”だ。

コイツらは奥の手の固有スキル『竜戦士化(ドラゴンボディ)』を使用して暴れまわってくれた訳だが、強力な力にはもちろん代償が伴う。

周囲の魔素を取り込んで戦闘能力を大幅に強化する能力だったらしいが、その反動で全身を麻痺したかのように動けなくなってしまったのだ。

ポ○モンにおける『ギガイ○パクト』あたりをイメージしてくれれば分かりやすいかもな。

もちろん怪我ではないので回復薬も意味を成さない。

因みにこの反動は、約24時間続いた。

使い所を間違えたら自滅してしまう諸刃の剣だったのだ。

なので、その後叔父さんがその辺の事を注意することとなった。

 

戦闘が終わったので、現在はゴブタ達は回収作業を行なっている。

もちろん、墜落した飛空船や無事な戦車を後で調べるためだ。

まあ、すでにスキャンは済ませておいたんだけどね。

動けなくなってしまった飛竜衆(ヒリュウ)は、飛空龍部隊(ワイバーンライダー)にドワルゴンに運んでもらった。

今から戻っても間に合わないだろうから、戻ってくる必要はないとベニマルが指示を出した。

その後、ドワルゴンから援軍の必要を問う申し入れがあったが、やっぱり間に合わないだろうとの事なので断ったそう。

それに、まだドワルゴンの東側入口のイースト付近にはユウキ率いる混成軍団が展開している。

まあこちらは陽動だし、ユウキとは一時休戦して手を組んでいる。

だがそれでも油断できないので、そこをドワルゴンに任せるとの事だ。

もちろんこちら側のこともちゃんと考えなければならない。

こちらにはおよそ70万の大戦力が向かってきている。

数だけ見れば圧倒的に不利だ。

だが緒戦の大勝利を受けたからか、幹部達の士気はかなり高い。

まあ高すぎるのも考えものなんだけどね。

 

「あの悪魔共、自分達ばかり目立ちまくるなんて! 私も出て、真の強さというものを見せつけやりましょう‼︎」

 

そんな事をシオンが悔しそうに呟いている。

お前は一体何と戦っているんだ?

士気が高くなりすぎて叔父さんの秘書兼護衛って事を忘れてない?

 

「お前は俺の護衛だろうが!」

 

という叔父さんのツッコミを受けて冷静さを取り戻したようだけど、まだ他にも高すぎる士気の持ち主がいた。

 

「我が君! ウルから自慢されたよ、ドワルゴンでの緒戦は大勝利だったそうじゃないか!ああ、早く私にも出番を用意してくれないだろうか。なんなら、今から敵軍の方に出向いて軽く挨拶したいのだが!」

 

興奮しながら管制室に飛び込んできたのはカレラだ。

第2軍団と共に待機していたのだが、どうやらウルティマあたりに自慢話をされた様子だ。

それで我慢ができなくなったようだが、勝手に動かれるのは困るんだよな……

 

「挨拶?」

 

ベニマルがカレラに問い返した。

 

「ああ、奴らにちょっと核撃魔法でもプレゼントしてやろうかと思ってね」

 

その笑顔は女子高生のように可愛らしいものだが、発言の内容がエグすぎる。

 

「却下だ!」

 

速攻でベニマルが答えた。

そりゃそうだ。折角立てた作戦がいきなりパアになってしまう。

 

「カレラ殿、ここは命令が下るまでは我慢して頂きたい。ここぞというときに働いてこそ、その行動に意味が生まれることもあるものですよ」

 

カレラは不満そうではあるが、渋々それに頷いた。

 

「分かったよ。私の活躍を我が君にお見せしたかったのだが、効果的な“機”というものがあるのなら、大人しくそれを待つとしよう」

 

カレラが落ち着いてくれた。

意外にもゲルドとカレラの組み合わせは良いみたいだ。

さて、皆のやる気   というか()る気は十分だ。

こちらの戦力は、迷宮十傑をはじめとした迷宮内の戦力にとゲルド率いる第2軍団だ。

幹部達はもちろん、末端の兵士達の士気もかなり高い。

自分達の主である叔父さんの言葉を聞いて、士気旺盛となっているようだ。

数では遥かに劣るものの、質においてはかなり自信を持てる水準だ。

それに、敵に強者が隠れ潜んでいたとしても、迷宮という切り札があれば問題ない。

 

「勝負のカギは、迷宮にかかっている。ヴェルドラにラミリス、頼んだぞ!」

 

「無論だ。安心して我に任せるが良い!」

 

「そういう事よね。アタシ達がいる限り絶対負けない。大船に乗ったつもりで構えてて欲しいワケ!」

 

普段の2人だとアレだが、今回ばかりは本当に頼もしい限りだ。

迷宮の中ならば犠牲をゼロにできる上に大量の雑魚魔物もいるので、これも数に計上すれば数十万に達する。

 

「あとはユウキの口車に帝国がどれだけ乗ってくれたか、だな」

 

叔父さんがポツリと呟いた。

 

「いや、それは逆だと思いますよ。信用出来ないからこそ、上手く自分を疑うように誘導してこちら側の思い通りになるようにしたんじゃないですか?」

 

「ああ、なるほど。それならすごく納得出来る!」

 

確かにベニマルの推測が正しいかもな。

ユウキは敵として非常に厄介な相手だ。

そして、味方としても信用することが出来ない人物でもある。

これは帝国としても同じ感覚のはずだ。

 

「ああいう胡散臭い手合いは、味方として共に戦うよりも敵の中に潜り込んでくれた方が安心ですからね」

 

珍しくシオンが的を得た発言をした。

 

「裏切られる心配がない分、余計な労力を割かずに済むからな」

 

ベニマルも頷いている。

 

「帝国も、ユウキ達のことを完全に味方だとは考えていないだろうな。警戒もするし、その発言にも疑ってかかるという事だ。となると、ドワーフ王国のイースト前に展開している6万の軍勢も、どう動くか不明となる。帝国がこれを叩く可能性もあるし、ガゼルには要注意するように伝えておこう」

 

「まあ、ガゼル王の事です。そういった心配は無用かと。しかし、信用できない味方ほど厄介な相手はいません。俺なら、真っ先に叩き潰しますよ」

 

「ベニマルは事実上の敵として考えるんだな。俺だったら敵でもなく味方でもない第三勢力として考えるけどね」

 

「なるほど、第三勢力……か。アユムの考え方はかなり的確かもな」

 

さて、そろそろ話を帝国軍本隊に戻そう。

現在、敵軍はこの中央都市リムルを目指して攻めてきている。

一番心配だったのは、こちらを無視してファルメナス王国を攻められる事だった。

あの国は、先代のバカ王様のせいで滅び、新しく生まれ変わった国だ。

現状、戦争をする余力などない。

もし帝国軍がこちらを攻める選択をしていたら、迷宮戦が起きなくなり、分が悪い戦いを強いられていただろうね。

ただ、まだ心配な要素はある。

それは、帝国軍がこの国を素通りする可能性だ。

そうなれば後背から仕掛ければ良い話なのだが、それでもやはり分が悪くなる。

やはりこの戦いに勝つには、絶大な迷宮の恩恵を受けられる状況でなければいけない。

実際、ベニマルもいくつか他の作戦を立てているようだが、最善は迷宮に敵がハマってくれる事だった。

帝国がファルメナスに向かうにしろ、この国を素通りするにしろ、地上戦になってしまうとわざわざ互角の条件で戦わなくてはならない。

本来ならそれが普通なのだが、兵法第十五計『調虎離山』というように味方に有利な状況を作るのが戦争の定石である。

だが地上戦となると、せっかく絶対的に有利な状況を生み出せるリサールウェポンがあるのに、それを使えないという事になる。

願わくば、上手くこちらの策にハマって欲しいものである。

地上戦になった場合は、最優先に敵の中の強者を探る事になる。

何せクロエからの事前情報で、叔父さんやヒナタさんを殺せるほどの強者が帝国にはいると分かっているからだ。

ベニマルをはじめとして、皆にとって最も大切なのはリムル(叔父さん)だ。

もちろん、俺もこの人にまた死んでもらうなんてごめんである。

この1年、そのために腕を磨き続けてきたのだから。

 

さて、帝国軍本隊はドワルゴンでの戦闘が始まってから動き出したのを既に確認していた。

そして、森の中からその軍勢が姿を現した。

 

「敵軍、地上の大門前にて展開しています!」

 

オペレーターから報告が上がってくる。

スクリーンには、整然と並ぶ帝国軍将兵の姿が映し出されている。

流石は70万、壮観である。

叔父さんの『神之瞳(アルゴス)』に俺の監視装置に加え、外からソウエイの部下が直接監視も行なっているので、幻覚魔法などによる欺瞞ではもちろんない。

上手いことエサに食いついてくれたようだ。

状況は完全に理想的な形となった。

 

「勝ったな」

 

「ええ、最早勝利は確定しましたよ」

 

叔父さんの言葉にノリよくベニマルが答える。

あとは想定外の強者でもいない限り、絶対的な優位が覆ることはない。

 

「強欲なアホが迷宮に釣られてくれて良かったよ」

 

「リムル様の撒いたエサはあからさますぎるとも思いましたが、上手く食いついてくれたみたいですね」

 

と、叔父さんとベニマルは安堵した様子だ。

それにしても、どうしてこんな思い通りに進むんだ?

まさかとは思うが……

 

「帝国軍の指揮官は脳味噌チンチクリンが多いのかな? 戦車部隊の指揮官もそれなりに優秀だったけど、肝心の引き際を分かっていなかった。もしかして、自分達よりも自力が強い相手との戦い方を知らないんだろうか?」

 

ふと俺はそう呟いた。

 

「まあ、引く時間を与える前に殲滅したんだけどね」

 

「だとしても、あの棒立ちの仕方は酷かったです。いくらなんでも、こちらが猛攻を開始してからの対応が焼け石に水程度すら無かった」

 

「アユム様の言う通り、周囲の国々の中では自力が最も高かったが故に、他国を圧倒していたのでしょう。最終的にはゴリ押しでもすれば勝てますしね」

 

やっぱりそうなのかもね。

最初的に自力の差でゴリ押したのであれば納得である。

 

「でもまあ、ガドラが上手く仕事をしてくれたからってのもあるだろうね」

 

確かにあの人にも感謝だね。

話を戻そう。

帝国軍本隊は、その全容を見せつけている。

戦力の分散をされると強者の特定が難しくなってしまうが、基本的には戦力の分散は悪手のためにしていないらしい。

問題は、相手が地上にどれだけ戦力を残すつもりなのかという事だ。

 

「一番厄介なのは、このまま地上の大門を封鎖して、そのまま西側諸国に向かわれる事なんだよな」

 

「ええ。70万の内、10万も残せば十分包囲出来ますからね」

 

叔父さんとベニマルの言う通りなんだよな

ほぼあり得ないとは思うが、地上に一部戦力を残して門を包囲し、残りの戦力で西側諸国へと向かうという策を取られる可能性もある。

これをやられたら、無理にでも出撃する必要が出てくる。

ま、対策済みなんだけどね。

 

「アユム、頼んだいたやつの仕込みは万全か?」

 

「ええ、各地に20mm多銃身回転機関砲(ファランクス)や地雷はは設置済み。それなりに時間稼ぎは出来ると思いますよ」

 

今言った通り、中央都市リムル以西には、万が一にも帝国軍がこの国の迷宮攻略に乗り出さなかった場合に備えておいた。

これらで時間稼ぎをしている間に、無理にでも出撃して帝国軍を打倒するという訳だ。

だがそれでも、結局は地上戦にはなる。

迷宮でごっそり戦力を削ぎ落とした後ならば問題ないが、西に向かわれたら削ぎ落とせる戦力が余りにしょっぱいものになる。

願わくば、無駄に戦力を迷宮に投じて欲しいものである。

 

「地上にいる帝国の者共に警告などはしないのか?」

 

「煽って怒らせれば、ムキになって戦力を多めに投入してくれるんじゃない?」

 

ヴェルドラさんとラミリスさんがそんな意見を出してくれた。

 

「警告はナシさ。ラミリス、代わりに門に文言を書き記しただろ?」

 

「あ! そういえばそうだったね」

 

地上には、あるメッセージを刻んで置いたらしい。

 

  弱き者、この門をくぐる資格無し  

 

だとさ。

 

「アレを見た敵の反応を知りたくてな」

 

「俺なら切れて突っ込みますね。もっとも、部下は下げますが」

 

ベニマルがそう答えた。

こいつは罠だと分かっていても突っ込むタイプだろう。

 

「我は気にせぬな。強いから」

 

でしょうね。

ヴェルドラさんは別に答えなくても良かったと思うよ。

 

「アタシはアレかな。トレイニーちゃんやベレッタちゃんが行きたいって言ったら、ついて行く感じ?」

 

うん、怖いんだね、ラミリスさん。

ちなみに、あんたの配下で行きたいと言う者はいないと思うよ。

 

「俺の場合は行かないかな。そんな『入ってきてください。中に罠がありますからw』って匂いがプンプンするような場所に突っ込みたくないですね」

 

「クフフ。リムル様の慈悲、その警告を無視するような愚か者は、どのような目に遭っても文句は言えませんね」

 

何故か嬉しそうにディアブロが言っている。

 

「まあもっとも、門をくぐれぬような臆病者には戦場に立つ資格などありません。容赦なく殲滅し、リムル様に敵対した愚かさを理解させなければ!」

 

それを言っちゃダメでしょ、シオン。

これじゃ帝国軍に救いようがない……いや、そもそも敵だから救いようがない方がいいのか?

まあいいや。皆がやる気ならそれでいいです、ハイ。

倒した敵の魂を献上するとか言い出してるしね。

なんでも、テスタロッサ達がやったのを真似しようと考えてるらしい。

叔父さんの持ってる究極能力(アルティメットスキル)暴食之王(ベルゼビュート)』は、魂を喰らい完全にエネルギーに還元することができる。

そうなるとおよそ100万人か……。

確か、魔王種が覚醒魔王に至るためには大量の魂を糧にする必要があると前に叔父さんから聞いたな。

叔父さんが覚醒するの時で約2万人だったから、それのおよそ50倍……あ、コレ想像しちゃアカンやつや。

俺は思考を放棄してスクリーンに視線を移した。

 

「動き出したな」

 

叔父さんが言ったように、帝国軍が隊列を組み、迷宮の門に突入し始めた。

 

「取り敢えずは計画通りだな。門を塞がれて西側諸国に攻められるという最悪のシナリオは無くなった。半数以上突入してくれれば、後々かなり楽になるんだが……」

 

「安心して下さい、リムル様。一兵たりとも逃がしはしません。状況次第では、俺も出撃しますよ」

 

ベニマルが不敵に笑った。

 

「俺の第2軍団の実働数は1万7000ほどであり、数の上では劣ります。しかし、実力では負けません。地形を変えて、敵軍の動きを封じ込めて見せましょう」

 

それにゲルドが頷いた。

 

「流石はゲルド、頼もしいな。あとは、俺がその内側を焼き尽くせば、残った者達が戦うに値する強者という事になる」

 

「それについては、カレラ殿も喜んで協力してくれるだろう。先程から暴れたがっている様子だし、その実力を遺憾無く発揮してくれるだろう」

 

何この勝ち確ムード。

いやまあ、これだけ優位な状況になった以上勝って当然なんだけどね。

それでも多少不安になったりしないのかな?

 

「ズルいですよ、2人とも。殲滅戦なら私の出番でしょう!」

 

いやだからシオンさん、あんた叔父さんの護衛だろ?

というか、他の皆も白熱しすぎだ。

 

「落ち着け、シオン。今は敵がどう動くのか見極めるのが先決だ。場合によっては、お前にも出撃してもらうからな」

 

と、叔父さんがシオンを宥めた。

 

「クフフフフ。リムル様の護衛ならば、私がいれば十分でしょう」

 

「ディアブロもこう言ってるし、最悪の場合はテスタロッサやウルティマを呼び戻せばいいさ」

 

「なるほど、リムル様がそう仰るなら。よし、その時はお前にも出撃してもらうぞ、シオン!」

 

「うむ。ベニマル、任せておくといい!」

 

皆、気合い充分といった様子だ。

少し不安は残るが、士気は高い方がいい。

彼らの活躍に期待しよう。

 

「さてと、それではリムルよ。我はそろそろ準備に取り掛かるぞ!」

 

「アタシも行くよ。迷宮の恐ろしさを帝国の奴らに教えてやるのよさ!」

 

「うむ、最後の守りには我がいる故、安心するがいい」

 

「ああ、期待してる」

 

気合いが入った様子で、ヴェルドラさんとラミリスさんが管制室を去った。

その後ろ姿は頼もしく思えるものだった。

 

「さてと、それでは敵のお手並み拝見といこう」

 

叔父さんの言葉に全員が頷く。

かくして、迷宮の攻防戦が始まった。

 

 

 




そういや『とあるif』が転スラとコラボしてたけど、リムルの必殺技が黒炎てどう言う事?
使用頻度と威力から考えて、通常技って感じじゃね?
もうちょいあるでしょう、神之怒とか暴食之王とか。
ミリムの竜星拡散爆はまだ納得できるけどさ。
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