小説19巻購入して早速読んだのですが、「ゑ……?」というのが率直な感想です。
だってもう色々とオカシイもん!
マサユキ君がバランスブレイカーどころの話じゃなくなってるもん!
チートという言葉さえ生易しいレベルだったもん!
シエルさんも相変わらずエグい……というかエグすぎるしね。
そして、レインがやっぱり面白い。
それにしても、まさかラストでああなるとは……。
15巻16巻以降の展開ホントにどうしようかな?
さて、お待たせしました、23話です。
今回はほぼ帝国軍視点です。
帝国軍機甲軍団軍団長のカリギュリオ大将は、予定通りに進む状況に笑みを浮かべずにはいられなかった。
絶対的な自信を持って、自軍を眺めている。
迷宮へと向かう精鋭達は、莫大な富をカリギュリオにもたらすだろうと。
そして未だに本隊に気付いていない魔物達は、新時代の軍事力に蹂躙され、その力に気付いた頃には趨勢は決しているはずだと。
それはどれも、入念に考えた侵攻計画とそれに応える将兵達の実力の賜物だ。
悠然と構えたカリギュリオは、部下達に想いを馳せていた。
(英雄王ガゼルの首をガスターにやるのはもったいないが、飴を与えねば部下はついては来ぬ)
そんな頃、魔導戦車師団や空戦飛行兵団との通信を行っている通信士から報告が来た。
「ガスター中将より報告! 先程、魔物共の使者が訪れ、これと交渉したものの決裂。交戦状態に入ったとの事です!」
待ち望んでいた報告であった。
それを聞いたカリギュリオは、不敵な笑みを浮かべた。
「ふむ、予定通りだな。これより進軍を再開する! 目標、
「「「ハッ‼︎」」」
そして、帝国軍の本隊は陣地を畳み、首都リムルを目指し始めた。
だがその直後、再び報告が入った。
それも、余りに衝撃的すぎて自身の耳を疑った。
「何⁉︎ それは本当か!」
「は、はい! 何度も問い直しましたが、敵軍に戦車を確認したとの事。また、
これは余りに想定外であった。
帝国が得た異世界の技術体系である科学という概念は、帝国に新たな力を与えた。
それが帝国軍機甲軍団の強さの根幹であり、事実上の専売特許であったが、相手も科学技術から得た兵器を使ってくるとなると話は別だった。
特にロケットランチャーを使用してきたというのが最悪だった。
帝国の運用する魔導戦車には常に対魔法結界が張られ、生半可な魔法やスキルによる攻撃を一切通すことはない。
物理的な攻撃をしてきたとしても、剣や槍、弓矢程度だと考えており、それならば戦車の装甲を撃ち抜くのは不可能だろうと考えていた。
だがしかし、報告にあったロケットランチャーは、異世界において戦車の装甲を撃ち抜くためだけに作られたような兵器である。
もちろん魔法的な物ではなく物理的な攻撃なので、これに対して対魔法結界は意味を為さない。
ロケットランチャーに対して、所謂複合装甲や爆発反応装甲を搭載すれば防御する事も可能であった。
しかし、敵が異世界の兵器で攻撃してくるなどと想定していた訳もなく、もちろんそんな物は非搭載であった。
つまり、少なくとも空戦飛行兵団が到着するまでは、ほぼ一方的に部隊を潰される事を意味していた。
(どうする。魔導戦車師団は一度引かせて、空戦飛行兵団のみで仕掛けるべきか? いや、ロケットランチャーを使用してきたとなると、最悪ミサイルの類もあるやもしれん……)
そんな事を考えていたカリギュリオに通信士が言葉を紡ぐ。
「あの、閣下。報告には、まだ続きがございます。戦車は20両と数が少なく、ロケットランチャーも同様に数は多くないので、さほど問題ではないと思われるとの事です」
その言葉で、カリギュリオは冷静さを取り戻した。
「ふむ。となると、敵の数少ない切り札という事か。つまり、敵も異世界の技術体系を手に入れたが、開戦まで間に合わせる事が出来なかったという事だろう」
実際、
国家として成り立ってからまだ日が浅い。
早い段階で科学の有用性に自力で気付けた事は賞賛に値するが、間に合ってないのであれば問題無い。
そのまま魔物共は抵抗虚しく蹂躙されるだけであろうと、カリギュリオは考えた。
「それならば問題無い。予定通り、このまま進軍する」
そして、この後の地獄を知らぬまま、帝国軍の本隊は歩みを続けるのだった。
そして今、帝国軍本隊は魔王リムルの本拠地、
今頃迷宮の中の魔物共は、予想外の大軍の出現に大慌てしているだろう。
(だが、今更気付いたところで遅い。ドワーフ王国は魔導戦車師団と空戦飛行兵団によって蹂躙され、この迷宮も我らが頂く!)
ドワーフ王国へと向かったガスター中将やファラガ少将は機甲軍団の中でも屈指の実力者の為、必ず勝利してくるだろうと疑っていない。
この時点では、既に魔導戦車師団も空戦飛行兵団も全滅して、その司令官である2人も戦死しているのだが、それを察するなどカリギュリオには到底不可能であった。
「それで、ガスターから続報はあったかね?」
「いえ、まだ連絡は取れておりません」
「ふむ、腐っても魔王軍という事か。数が少ないとはいえ異世界の科学技術体系を組み込んでおるし、配下の魔物共もそれなりの強者という事か。思いの外、手こずっているのやもしれんな。ならば、ファラガからの報告は?」
その問いに通信士は答えられない。
今必死に連絡を取ろうとしている。
良い気分だったカリギュリオは水を刺されて不機嫌になる。
それに焦った情報将校が答えた。
「ファラガ少将からですが、邪竜ヴェルドラらしき魔物と遭遇したとの報告がありました! 確認でき次第、続報を上げるとの事でしたが……その後、連絡は取れておりません」
一度目の報告以降、ファラガとは通信が通じなくなっていたのだ。
それはガスターも同様であった。
部下の通信魔導士曰く、ジュラの大森林は魔素濃度が高いため、通信念波が阻害されやすいとの事だった。
実際、ジュラの大森林は宿敵たる邪竜ヴェルドラが生み出した森であり、現在では魔王リムルの支配下となっている。
通常よりも魔素濃度が高くなるのはむしろ自然であった。
さもありなんと、納得する他なかった。
通信魔導士の言う通り、周囲の魔素濃度が影響して魔法通話が通じなくなる事態は考えられた。
その上、現在はドワルゴン方面で戦闘中。それも、当のヴェルドラ戦場にいるのならば報告などままならないだろうし、仮に出来たとしても魔法による通話など不可能であろう。
その考えに至ったカリギュリオはすぐさま思考を切り替えた。
「フンッ! 邪竜ヴェルドラと遭遇したのであれば、向こうから連絡がないのも頷ける。ならばいずれ、勝利の吉報が来るだろうから、それを待てば良い。こちらも負けてはおれぬな。さっさと迷宮の攻略をしてしまえ!」
(いくらあの邪竜ヴェルドラが相手だろうと、ドワーフ王国に向かった軍勢は合計24万人。それも帝国の技術の粋を集めた部隊だ。魔物共が我らと同じ異世界の技術による兵器を使ってきたのは予想外だったが、大した問題ではない。多少手こずる事になるやもしれんが、少なくとも負けるはずはあるまいて。むしろ、好都合だ。囮にヴェルドラが食いついたのであれば、魔王が迷宮の中にいる最高戦力だろう。それに次ぐ実力者であろう四天王とやらも、機甲改造兵団の精鋭達ならば問題あるまい)
カリギュリオはそう考えて、迷宮攻略に集中する事にした。
現在、機甲改造兵団が陣を引いている場所は、何も無い更地となってい。
それも、都市1つがスッポリ入ってしまう程の広大さを誇る。
そして、その中心部には迷宮へと繋がるであろう大門が聳え立っている。
正に、カリギュリオ達帝国軍の挑戦を待ち受けているかの様だ。
報告通りの内容であった。
そして、その大門に刻まれて言葉を読む。
(やはり俺の考えは正しかった。それにしても、我々に
実際、戦争を行う際は現地調達という名の略奪を行う国家はそこかしこにある。
事実、第二次世界大戦中の日本陸軍も中国などで食糧を略奪していたし、人材さえも略奪されていた程だ。
そして、それを恐れるというのも全ての国家で共通であった。
そして、何故にそうも略奪が行われるかというと、補給物資の不足など戦時下では当然のように起きるからだ。
大部隊であれば、なおさら多くの補給物資を必要とする。
近世以前の戦争では、食料は
なので、70万の大部隊である帝国軍本隊に対して
(だがしかし、その程度で我々を止められると思うなよ)
機甲改造兵団の兵士はほぼ全員が科学と魔法を融合した技術によって、1週間は飲まず食わずで活動が可能であった。
さらに、帝国で新開発された携行食は1つあるだけで1日分活動するだけのエネルギーが確保出来る。
小型軽量化されたそれは、兵站を限りなく容易なものにしていた。
飲料水においても、魔法で容易く生成が可能であった。
この結果、大軍での軍事行動における最大の弱点たる、補給不足への対策は万全であった。
「まさか、我らの補給を絶ったくらいで勝った気になった訳ではあるまいな? もしそうだとしたら、余りにも愚かな事よ」
その言葉に参謀の1人が同調する。
「ハッハッハ! そのような可哀想な事を仰る物ではありませんぞ、カリギュリオ様。魔王リムルは、初手から間違ってしまったのです。我らが栄光の機甲改造兵団を見落とし、囮部隊に向けて最強の切り札である邪竜ヴェルドラを向かわせてしまった。それに気付いた頃にはこれだけの英雄に囲まれてしまったのですからな」
そして、その言葉に他の参謀達も追従する。
「まあ、その考えも責められませんな。囮とはいえ、あちらも大部隊であるのは間違いありません」
「しかも、あちらは我が軍の最新兵器を集中運用しております。数少ない異世界の兵器も持ち出さなければと考えたのでしょう」
「最大戦力で対処しようという気持ちは、私にも理解はできます」
「フンッ! 魔王だなんだと息巻いても、所詮はその程度という事だ。今頃、迷宮の奥で小さく縮こまっておるやもしれんな!」
「その通りですな! あとはカリギュリオ様の目の前にまで魔王を引き摺り出し、その首を刎ねるのみ。これでカリギュリオ様も魔王殺しの英雄ですぞ!」
その会話で、カリギュリオも気分を良くした。
先ずは迷宮を陥落させ、西側に攻め込むための土台を作る。
そして、そこからは勢いに任せて西側諸国を蹂躙するのだ。
急がなければ、イングラシア王国北方を目指している魔獣軍団に先を越されて、西側諸国を蹂躙し尽くされてしまう。
その前にジュラの大森林を突破したいのが本音であったが、それでも問題無いとカリギュリオは考えていた。
自分達の功績が減ってしまうのは確かだが、暴風竜ヴェルドラの討伐という功績があれば、他の武勲など大した物ではない。
その上魔王リムルの首も上げれば、間違いなくカリギュリオが最大功労者になるだろう。
カリギュリオはもちろん、他の参謀達も敗北するなど微塵も思っていない。
70万の大軍の威容を見れば、誰もがそうなるというものだった。
「では予定通り、この地に結界を張り巡らせて宿営地とする。その後、迷宮内に逐次部隊を投入せよ!」
「「「ハッ!」」」
この場にいる全員がカリギュリオの言葉に呼応する。
反対意見など出るはずも無かった。
西側攻略の武勲はグラティム達の魔獣軍団にくれてやれば良いというのが、この場にいる者達の共通認識であった。
むしろ、迷宮内で手に入るであろう金品に対する欲求が大きかった。
物量で迷宮内を埋め尽くし、全てを根こそぎ奪うという単純明快な作戦だ。
それに対して反対意見が出ないというのは、目先の利益に目が眩んでる証拠であった。
かくして迷宮攻略が始まった。
愚かな者達は、二度と上る事ができない階段を嬉々として降っていく。
その先に待っているのは、この世の地獄である事を知らずに。
開戦初日深夜
スナック樹羅
「馬鹿め」
どこぞの世界最大の戦艦の形をした宇宙戦艦の艦長っぽく、カッコつけてそう言ってみた。
ただの独り言だけどね。
現在首都リムルは迷宮内に避難していて、地上は更地になっている訳だが、迷宮内に隔離される範囲外の地中にはいくつか盗聴装置を仕組んで置いたのだ。
帝国軍本隊司令部のメンツの考えが知りたくてね。
因みに、敵さんが罠が仕組まれてないかを調べるために魔法による探査を行ったんだけど、その時には俺の
さて、それで帝国軍本隊の司令官や参謀達の会話を録音して盗み聞きした訳だが、どうやら負けるなんて微塵も思っていないようだ。
無知とはなんと哀れな事か……。
どうも迷宮に都市を移動させた理由を、補給不足の状態に陥らせるためと考えているようだ。
こっちはそんな事微塵も考えていなかったんだけど、なるほど確かに補給不足の状態に陥った時に現地調達できないというのは致命的だな。
まあ、それについての対策はかなりしっかりしているみたいだね。
まあ、どうでも良いけど。
こっちが考えているのは、日本海軍が考えていた漸減邀撃戦術に比較的近いかな。
アメリカ軍の主力艦隊に対して、駆逐艦や潜水艦などでじわりじわりと削っていき、最終的に戦艦などの主力艦隊で殲滅するという考え方だ。
俺達の場合は迷宮が駆逐艦や潜水艦の役割を、第2軍団と第4軍団が戦艦の役割を果たす感じかな。
向こうでは成功しなかったが、こっちならば間違いなく成功するだろう。
そんな風に考えていたら、隣の席に座る者が現れた。
「イヤホン? 何か聞いてるの?」
話しかけてきたのはマサユキだった。
どこか疲れたような顔をしてる。
「聞くか?」
俺はそう言うと、イヤホンをマサユキに渡した。
録音の内容を聞いたマサユキはかなり驚いていた。
「え、これって……?」
「帝国軍本隊司令部の会話を録音したやつだよ。地面に予め盗聴装置を仕込んでおいて、さっき転送魔法で回収したんだ」
「ええ……。あ、もしかしてもう戦いは始まってるの?」
「ああ、今日戦いが始まった。上の階層では帝国軍の頭数を減らしてるとこ」
「そうなんだ。そういえば、ドワルゴンには戦車や飛空船の部隊が来てたけど、どうなったの? アユムも行くって話だったけど」
「ドワルゴン方面の戦いは圧勝したよ。俺の兵器で上手いこと数を減らして、最後にゴブタとガビルが大暴れして殲滅した。というか、俺がいなくても勝てたと思うな、アレ」
特に、最後の方はテスタロッサとウルティマが核撃魔法ぶっ放してくれたからね。
俺らが手を出さなくても、あっという間に殲滅出来ただろう。
「あ、そう……」
マサユキはそれ以上は聞かなかった。
何となく悟ったんだろうな。
帝国軍の皆様へ。
この度は我が軍の災禍級の戦力に見舞われました事をお悔やみ申し上げます。
どんなに強力な兵器だろうと、こういった自我を持った災禍の前では無力ということですので、本隊のクソッタレ共もさっさと諦めて迷宮内にて早急にくたばって下さいますようお願い申し上げます。
貴方方が消えていなくなって下さったならば我々はとても幸福です。
俺はそう心の中でのみ、お悔やみの言葉を述べた。
とことん
敵であるにも関わらず、俺がそう考える程なんだから大概だ。
というか、叔父さんって新参の魔王のはずなのに、配下に旧魔王クラスがゴロゴロいるのはどういう事なんだ?
ドワルゴン方面に行ったメンツだけで4人、迷宮内に6人、他にもベニマルやディアブロなんかもいるし。
うん、やっぱ頭おかしいわ、あのオッサン。
そう考えて、俺はちょっと途方もない気持ちになった。
アニメ転スラ終わってから大分モチベ下がってきたな。
次回投稿いつになるのだろうか……。