転移高校生は転生魔王の甥っ子だった件   作:Many56

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10巻後半戦です!


第4話 強欲の少女(マリアベル)

 

 

二度目の衝撃が来た。

その頃、アユムとリムルは顔を青ざめさせていた。

『魔力感知』でとんでもないモノが見えてしまったのだ。

空から迫りくる巨大で邪悪な(ドラゴン)の姿が。

 

「どうしたんすか?」

 

ゴブタが2人に聞いてくるが2人には答える余裕など無い。

 

「オイオイ…、ウソだろ…⁉︎」

 

「ヤバいな…、アレはかなりヤバいぞ…!」

 

「そんなにっすか?」

 

「ああ。ドラゴンっぽいけど、竜王(ドラゴンロード)なんて目じゃない。多分、ヴェルドラの兄弟かも…」

 

「竜種ならあの言葉に出来ない程巨大な魔素(エネルギー)量にも納得ですね…。最悪じゃあないですか…」

 

そんな中、ミリムがハッとした様な顔をした。

 

「リムルよ、ワタシには急用ができたのだ!アレは、あのドラゴンは   !」

 

そう言うと、虚空を睨みつけ空間転移した。

 

「そうか、どうやらアレは大昔にミリム封印したっていう友達だったドラゴンみたいだな。敵さんはとんでもないのを引っ張り出してきたな。何者かに操られているみたいだ」

 

「何ですって⁉︎リムル様、それは本当ですか⁉︎」

 

リムルの言葉に反応したのはカガリだ。

 

「ああ、滅茶苦茶強い波動を感じる。多分、俺でも勝てない」

 

混沌竜(カオスドラゴン)…!この時代に、あの暴君が…」

 

リムルの話しを聞いて、カガリは青ざめた。

だが、彼らにはそんな悠長にしている暇は無かった。

数十メートル先の通路からは大量のゴーレムが襲って来る。

 

「シオン、ゴブタ!お客さんがお出だぞ!」

 

シオンとゴブタはすぐに迎撃態勢に入る。

一方のアユムは地面から何かを取り出した。

ユニークスキル『製作者(ツクリダスモノ)』で形成したM60(ピストル)である。

アユムは銃を構えて、的確にゴーレムを撃ち抜いていく。

ゴブタもリムルからプレゼントされた拳銃(ピストル)でゴーレムを倒していく。

一方、シオンは大太刀を振り下ろそうとするが、天井につっかえている様子だ。

敵の数は多く、いくら撃破してもあっという間に距離を詰められていく。

 

「このままじゃまずいな。狭いし、最下層に降りた方がいいかも」

 

「では、扉の開封を急がせて   

 

「いや、こうなった以上俺がやるよ」

 

リムルはそう言うとあっという間に扉を開封した。

 

「さあ、早く中へ!」

 

リムルの合図で隊員達が一斉に階段を駆け下りる。

最下層には明るい光が溢れており、大地には草原が広がっている。

その後、アユム達が転がり落ちてくる様に階段を下ってきた。

先程の狭い空間とは違い、シオンが自由に動けるようになり、状況は持ち直し、次々とゴーレムを撃破し出した。

一方、リムルは禍々しい渦に包まれる。

そして、黒いコートを身に纏い、凄まじい覇気を発している魔王(リムル)の姿が現れた。

 

「本当に襲撃が起きたことは驚きなのですが、魔王2人を相手に仕掛けるなど、相手は何者なのでしょう?」

 

カガリがリムルへと問う。

 

「すまないね、巻き込んで」

 

「とんでもない!寧ろ、混沌竜(カオスドラゴン)が復活した今、リムル様方が味方で安心しておりますわ」

 

その言葉に隊員達もうなずく。

 

「…リムル様には敵が多いのですね」

 

「まあ、俺としては不本意なんだけどな」

 

「何故でしょう?」

 

「ファルムス王国は俺の逆鱗に触れた。魔王クレイマンの時は向こうが先に手を出してきたから。西方聖教会の時は、相手の誤解が発端で。いずれも相手から先に仕掛けてきたから相手をしただけ。要するに正当防衛だよ」

 

「では、リムル様からは仕掛けないと?」

 

「そうとも言えないかな。今回の相手は、利害が対立したから。互いの主義が食い違っていたから、遅かれ早かれこうなっていただろうね」

 

「武力に頼らぬ解決法は無かったのですか?」

 

「可能ではあったよ。ただし、俺達が相手を飲み込む形でしか決着はつかなかっただろう。それが嫌なら相手の出方は正しいのかもね」

 

「それでは、相手の正義を認めると?」

 

「うーん、それとはちょっと違うかな。立場の違いで正義なんて無数にある。俺が絶対正しいとは言わないが、ここで退いたら俺達の立場が危うくなる。だったら、全力でぶつかり合う道しか無くなる訳で…」

 

「…それでも、相手の立場を尊重して、もっと意見を交えてより良い関係を模索すれば、敵対せずに済んだのではないでしょうか?」

 

その質問に答えたのは少女の声だ。

 

「無理ね、無理なの。人の欲望は果てしなく、自分が我慢すれば良いというものじゃないのよ。相手が折れれば、より要求が大きくなるのが人間なのよ」

 

ゴーレムが全て壊された頃、扉の奥から金髪の幼女が現れた。

 

「俺も同意見だよ。俺は魔王リムルだ。君は?」

 

リムルに対し幼女が答える。

 

「初めまして、私は“強欲”のマリアベル、貴方の敵なの」

 

マリアベルの後ろには、3人の男が居た。

1人目は変わり果てた姿となった“流麗なる剣闘士”ガイ。

2人目は騎士の服を着た男。

そして、最後の1人は   

 

「ぐ、グラマス⁉︎どうして貴方がここに?」

「まさか、魔王を狙ったのは貴方なのか?」

「嘘でしょ?どうして私達に遺跡調査を命じたのですか⁉︎」

 

自由組合の総帥たる神楽坂優樹(ユウキ・カグラザカ)だった。

口々に疑問を投げかける隊員達だが、ユウキは反応しない。

 

「ユウキ様、これは一体どういうことなのです?貴方は、ワタクシ達を裏切ったのですか⁉︎」

 

カガリから怒りに満ちた声が聞こえる。

だが、ユウキはそれにも無反応である。

 

「カガリさん、ユウキさんは裏切った訳じゃない。ユウキさんは今、あのマリアベルって奴に操られているんだ」

 

答えたのはアユムであった。

 

「何ですって?そんな馬鹿な…!」

 

その言葉にカガリや隊員達が驚愕する。

リムルはそんな彼らを尻目にマリアベルへと話しかける。

 

「なあ、戦う前に一つ聞きたいことがあるんだが、いいかな?」

 

「何かしら?」

 

「俺の傘下に入れ。そうすれば無用な争いは回避できる」

 

「笑止、笑止なのよ。それは私のセリフなの。魔王リムル、貴方はここで敗北する、それが嫌なら私の支配下に入るのよ」

 

「お前の方針は、俺のやり方とは相入れない。そのやり方では、それこそ無用な争いが生じる。一部の者達の為に、多くの罪なき人々が苦しむじゃないか」

 

「そうね、認めるわ。でも、それがなんだと言うのかしら?力無き者は搾取されるのは自然なことなの。魔物だって弱肉強食でしょう?」

 

「そうだな。だが、俺はそういうのは嫌いなんだ」

 

「馬鹿ね、馬鹿なのよ。誰もが平等だなんて、そんな甘いことを信じているの?」

 

「いいや、俺もそこまで馬鹿じゃない。だが、誰もが一度は機会を与えられるべきだ。何をやっても駄目な奴もいるが、人の価値はそう簡単に捨てていいものじゃないだろう?」

 

「くだらない、クダラナイのよ。まさか、こんな子供じみた夢想家が魔王だなんて、信じられないの」

 

リムルとマリアベルの交渉は決裂した。

 

「そうか。なら、仕方ない。たった一つの簡単な方法で決着をつけよう」

 

「望むところなの。現実を教えてあげるのよ」

 

交渉を終えたリムルにアユムが話しかけた。

 

「リムルさん、1人受け持ちます」

 

「いや、お前は後ろの調査隊の人達を守ってくれ」

 

「いいんですか、相手は4人ですよ?」

 

「敵の狙いは俺だ。それに俺は強いからな!」

 

「分かりました、絶対勝って下さいよ?」

 

そう言うと、アユムは引き下がった。

 

「叩きのめすのよ!」

 

マリアベルの合図でガイが真っ先に動いた。

 

「ふん、貴様如きがリムル様に挑むなど  

 

「君の相手は僕がしよう」

 

シオンの前に立ち塞がるのはユウキだ。

 

「ほう、面白い。そこの女に支配されるような軟弱者など私が成敗してくれる!」

 

そして、ゴブタも  

 

魔狼合一(ヘンシン)!」

 

ランガと合体し、騎士服男の相手に立ち向かい、戦闘が始まる。

 

「死ネ!魔王リムル‼︎」

 

「ほれ」

 

「ギヤァァァァァ!」

 

リムルに対し凄まじい憎悪を向けて攻撃してくるガイだったが、リムルによって一瞬にしてチリも残さず消し飛ばされた。

 

「俺と戦いがっていたよな?良かったな、死ぬ前に念願が叶って」

 

「嘘っ‼︎何よ、何なのよ、その力は⁉︎」

 

マリアベルがこれに驚く。

自身の力によって限界まで強化したガイが鎧袖一触にされたからだ。

そんなマリアベルに対し、リムルは何でもないことのように告げる。

 

「何って?これが俺の本気だよ。次はお前だ。お前が誰を敵に回したのか理解する必要は無い。二度と転生出来ないよう喰らい尽くしてやるから、精々俺の糧となれ」

 

リムルはマリアベルに向けて前に出た。

 

「そう、ガイがやられたのには驚かされたの。でも、大口を叩く前に知るといいのよ、人間と魔物の知恵の差を!」

 

マリアベルは魔法通話で外にいる部下に何かを命じた。

すると周囲の魔素が一瞬にして消滅した。

神聖魔法『聖浄化結界(ホーリーフィールド)』だ。

 

「あれ、何か身体が重いっすね?」

 

「この感覚、覚えがあります。あの時よりも強力、これが本物ですか」

 

ゴブタは少し戸惑い、シオンは不敵に笑う。

それを見て、マリアベルは心底忌々しく思った。

 

(この2人以外にも多くの上位魔人がいる。馬鹿げた戦力なの。正面からではヴェルドラが出なくても勝ち目はないのよ。でも、自らを過信しすぎなの。こんな無防備に姿を晒すなんて、それが命取りになるのよ!)

 

だがしかし、それは余りに甘い考えだった。

 

「やっぱりな。こんな手は当然取るだろうと思っていたらさ。だから、俺がその対策をしない訳がないだろう?」

 

リムルはそう言って、不敵に笑う。

直後、展開したばかりの『聖浄化結界(ホーリーフィールド)』消滅した。

 

「な、何をしたの⁉︎」

 

「何って、簡単な話さ。外にいる俺の配下達がお前の部下を倒して、結界を破壊したんだよ。こんなあからさまに襲撃して下さいとばかりに出歩くんだから、城の周囲を配下に警戒させるなんて当たり前だろう。お前は俺を罠に嵌めたつもりだったんだろうが、それは逆だ。こっちが、俺をエサ(おとり)にしてお前を釣った(誘き出した)んだよ。俺を支配するには、“強欲”の能力者たるお前自身が出向かなきゃならないだろうからね」

 

「そう、なら仕方ないないわね。本気でいくわ。私の全てを懸けて、貴方を殺す‼︎」

 

「ああ、俺も全力では応じるさ」

 

マリアベルは魂の力を削り、自身を強化する。

そして地面を蹴り、一瞬でリムルと距離を詰める。

そして、戦車砲の如き威力の蹴りをリムルへと打ち込んだ。

しかし、それは何の痛痒をも与えずその勢いを利用して投げ飛ばされた。

マリアベルは手をつき、その反動でリムルと距離を取り、リムルの追撃を回避する。

そして、自身のユニークスキル『強欲者(グリード)』を発動した。

 

「死ね!『死を渇望せよ』」

 

黒い波動がリムルを襲う。

このマリアベルの奥義は生きとし生ける者が本能的に持つ生への渇望を反転させるという技だ。

その技を受けたリムルは、抗う様子も無く立ち尽くしている。

 

「呆気ないものね。どんな強者も生への渇望は捨てられないのよ。だから私は無敵なの」

 

だがしかし   

 

「残念だったな、解析終了だ。俺に精神系の攻撃はほとんど通用しないんだ」

 

アユムはその戦闘が余りに規格外な事に衝撃を受けていた。

 

(アレを無効化するとかどんな能力(スキル)だよ!参加しなくて良かった…)

 

「さて、どうする?お前じゃ俺は倒せないぞ」

 

リムルは最後の警告としてマリアベルに告げた。

 

「ふざけないで!もっと、もっとなのよ!わたしの全てを費やしてでも、ここで勝利をもぎ取るのよ‼︎」

 

しかし、マリアベルはそれを拒んだ。

 

「そうか。それじゃあ俺の中で反省しろ   

 

リムルがマリアベルにトドメを刺そうとした時だった。

ドゴン!という凄まじい音を立てて、シオンが蹴り飛ばされた。

 

「シオン⁉︎」

 

「「あははははははは‼︎」」

 

リムルの呼び掛けをかき消すように、マリアベルとユウキの狂った笑い声が同調する。

 

「流石ね、流石なのよ。魔王リムル、完全に見縊っていたわ。まさか、これ程の化け物だとは思っていなかったのよ」

 

「本当だよ。マリアベルに勝つとは思わなかった。でも、僕がいる事を忘れてもらっちゃあ困るぜ?」

 

シオンを下したユウキが、リムルの前に立つ。

その上、マリアベルの放っている波動がユウキへと降り注ぎ、その力を跳ね上げていた。

これに対し、アユムが動く。

製作者(ツクリダスモノ)』でユウキを牢獄の中に閉じ込めた。

 

「俺特製のカーボン素材を利用した牢獄です。リムルさん、マリアベルにさっさとトドメを刺しちゃって下さい!そうすれば、ユウキさんも元どおりになるはず!」

 

しかし、バキャッ!という音を立てて牢獄が一瞬にして破られた。

 

「なん…だと?」

 

「アユム君、死にたくないなら、そこで大人しくしてるんだね」

 

「チッ、死んでも恨むなよ?」

 

「コッチのセリフさ!」

 

そして、リムルとユウキによる一対一の戦いが始まった。

2人は猛烈な打撃の応酬をするも、リムルの方には余裕がある様子だった。

しかし、それは一瞬にして崩れ去った。

 

「本気でいくよ?」

 

その言葉と共に放たれた蹴りがリムルの左腕を砕いた。

 

「は?」

 

ユウキから距離を取ると、唖然とした様子で自身の左腕を見つめた。

 

「お前、こっちに来る時に特殊能力は手に入らなかったって言ってなかったか?」

 

「嘘はついてませんよ。身体能力は異常に発達したって言ったじゃないですか」

 

「はあ、手加減して勝てそうにはないな」

 

リムルはそう言うと、腰に下げていた直刀を抜いた。

 

「へえ…、凄い刀だね」

 

ユウキはそう言いながら、自身も腰に刺していたナイフを右手に、小ぶりの片刃剣を左手に持った。

そして、腰を落とした独特の構えをとる。

そこからは斬撃と刺突の応酬が始まった。

打ち合う事十数回、リムルが隙を見せた。

 

「はは、油断したねリムルさん!」

 

リムルの胸にユウキはナイフを突き出す。

その上、ナイフは伸縮して間合いを狂わせてリムルへと迫った。

しかし、ナイフはリムルの胸の前でピタリと静止した。

 

「はい残念!蹴られた方が痛かったよ‼︎」

 

「嘘だろ⁉︎」

 

計画通りと言わんばかりの笑みを浮かべてリムルはユウキに問答無用の一撃を叩き込んだ。

 

暴風黒魔斬(ストームブレイク)!」

 

その斬撃によって、ユウキの胸は大きく切り裂かれた。

 

「うっ…」

 

ユウキは呻きながらもリムルを睨む。

 

「俺の勝ちだ。マリアベルの支配を解いてやりたいが、できそうもない。少し強くいくぞ」

 

リムルは刀の背を前にして持ち替えた。

そして、気絶させようとしたその時、カガリがリムルの前に立ち塞がった。

 

「お、お待ち下さい‼︎ユウキ様を殺すのは御一考して頂きませんか⁉︎」

 

「おい、危ないって!ユウキはマリアベルに操られているんだよ!アユムだってそう言ってただろう?」

 

「そうですよ!それに、リムルさんは殺すつもりなんか   

 

「いいえ、大丈夫です!あれほど意志の強いユウキ様ならば、あの様な少女に心の強さで負けるなんてあり得ませんわ!」

 

リムルやアユムの忠告を無視して、カガリはユウキに縋り付いた。

そして、調査隊員達もそれに追随する。

 

「そうだとも!グラマスはそんな柔な人じゃねーって!」

「そうですよ!いつも飄々として、絶対に弱みを見せない人なんですから!」

「俺達の前でカッコつける為ならドラゴンにだって倒しちまう人なんだよ!」

 

そんな彼らの言葉にユウキが反応した。

 

「お…お前…ら…」

 

ユウキからは黒い波動が少しづつ消え始め、そして綺麗さっぱり無くなった。

 

「迷惑かけてすいません。でも、助かりましたよリムルさん」

 

「お、おう。無事で何より…」

 

急展開だったがためか、リムルは動揺する。

 

「自力で解除できるなら、さっさとそうして欲しかったですよ」

 

一方、アユムはユウキに対してそう愚痴る。

 

「無茶言うなよ。カガリ達がいたからこそなんだからな」

 

その後、ゴブタと騎士服の男   元“三武仙”のラーマとの戦闘も終了する。

リムルが支配を解除したのだ。

ラーマは自身の元上官であるグレンダの敵討ちに燃えていた。

しかし、グレンダが今は魔国の諜報部の一員になっていると聞くと、グレンダの無事を喜んだのだ。

 

「さて、あとは逃げたマリアベルと外で暴れている混沌竜(カオスドラゴン)ですね」

 

アユムが切り替えるように言う。

 

「リムルさん、マリアベルは僕が追いますよ」

 

カガリの治癒魔法で全快になったユウキがリムルに提案した。

それをジト目で見つめながらアユムが言いつのる。

 

「何で怪我治ってんすか?どう考えてもユウキさん『能力封殺(アンチスキル)』っていう特異体質ですよね?でなきゃ俺の牢獄が破られた瞬間文字通り土に帰るなんてあり得ないと思うんですが」

 

カーボン牢獄だった土を指しながら言った。

 

「ああ、これはオンとオフの切り替えができるんだよ」

 

「……」

 

その回答に、アユムは言葉を失った。

それを横目にリムルが質問する。

 

「それで、勝てるのか?」

 

「油断しなければ余裕ですよ。というか、勝手に操られたなんて自由組合総帥(グランドマスター)の名が泣きますし、僕のプライドにかけても許せませんし」

 

「リムル様、ワタクシからもお願いします。マリアベルの狙いは恐らくこの遺跡の破壊かと。“ソーマ”にも、遺跡の運用のために使用したと思われる魔法の動力炉があったのです。この都市も似た構造のようですし、それを暴走させれば下手をすればこの地方一帯が消滅するでしょう。ワタクシならば、それを阻止できます!」

 

「マリアベルはそれを暴走させられると?」

 

「あれは、魔力を過剰に供給するだけでも不安定になります。長らく使用されていなかった遺物では、どのような作用が生じるのやら…」

 

「分かった、任せる。ユウキ、頼むぞ!」

 

「ああ、この屈辱は倍返しさ」

 

ユウキは自信満々という感じで頷いた。

 

「シオン、ゴブタ、アユムは隊員の皆さんと一緒にダークエルフ達と合流して、そのまま護衛しろ!」

 

「分かりました」

 

「了解っす」

 

「それで、リムル様は?」

 

「俺はミリムの援護さ。早くしないと被害がとんでもいことになるだろうからな」

 

シオンはそれについて行くと言ったが、リムルに却下される。

自身のスキルと隊員の魔法によって傷は治ったものの、内面にはダメージが残っていることを指摘されたのだ。

 

そこからは早かった。

ユウキとカガリは、すぐさまマリアベルを追った。

リムルは空間転移で外に出て、ミリムの援護へと向かう。

アユム達はそのままダークエルフ達との合流へと動いた。

アユムは出口へと向かいつつ、『魔力感知』で2人の美少女魔王(リムル&ミリム)VS混沌竜(カオスドラゴン)を眺めていた。

 

(ミリムさんの魔素(エネルギー)量半端ねえ…。そんでもってリムルさんのアレ何?ベルゼビュートって叫びながら発動してたけど、そのスキルだか魔法だかで混沌竜(カオスドラゴン)を飲み込んだんですけど…)

 

内心でそんなことを毒づきながら、マリアベルを倒したユウキやとダークエルフ達と合流を果たした。

城の外に出ると戦いを終えたリムルとミリムが遠くに見えた。

 

「リムルさん!」

 

叫びながら手を振ると、リムルもそれに応じた。

これをもって、マリアベルとの戦いは終わったのだ。

 

 

 

 

 

深夜

アユムはリムルに呼び出された。

 

(多分、今の日本のことだろうな)

 

そう考えながら、城の中のとある部屋に案内された。

 

「やあ、待ってたよ」

 

「それで、2人きりで話したいって何のことです?やっぱり向こうのことですか?」

 

「まあ、それもそうなんだが…。なんだか照れ臭いな。こうやってお前と2人きりで話すなんて久々だから」

 

「はい?」

 

そんな口ぶりを疑問に思うアユム。

 

「ほら、よく漫画とかゲームの話で盛り上がっただろう?」

 

「えっ、え…まさか…」

 

「改めて自己紹介しておこうか。俺はリムル=テンペスト、前世の名は三上悟。まあ要するに、お前の叔父さんだ」

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 




とりあえず書きたいとこまで来ました!
次回は新章です!

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