転移高校生は転生魔王の甥っ子だった件   作:Many56

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転スラ第二期放送開始されましたね!
魔王化エピソード楽しみです!
今回からは主人公視点中心でやっていきます。


第2章 覚醒
第5話 教師就任


 

 

 

「改めて自己紹介しておこうか。俺はリムル=テンペスト、前世の名は三上悟。まあ要するに、お前の叔父さんだ」

 

「はあぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

俺はあまりにショッキングなカミングアウトに叫び散らかした。

 

「はは、まあ驚くのも無理は   

 

「いやいやいやいや待て待て待て待て! そう、これは夢だ! 夢に違いない‼︎ 異世界転移したことまではともかく、そこで死んだ叔父さんに会って、しかも魔王になっているなんて夢に違いない‼︎ ほら、頬をつねっても全然痛くないし、そもそも異世界転移したこと自体が夢で   

 

 

 

 

 

30分経過

叔父さんに宥められ、俺はやっとその事実を受け入れた。

 

「受け入れられたか?」

 

「はい…」

 

「やれやれ。お前、いくらなんでも騒ぎすぎだろ?」

 

「騒ぎますよ、そんな話聞いたら。それに、そんな都合の良い話をすぐ信じられる方がおかしいですよ」

 

「まあ、確かに……」

 

「さて、とりあえず話して貰いましょうか、こうなった経緯を」

 

俺の言葉に叔父(リムル)さんは頷いた。

そして、魔王になるまでの2年間に何があったのか話し始めた。

“暴風竜”ヴェルドラと出会った事。

ゴブリン達の守護者となって、まちづくりを始めた事。

これがきっかけとなり、今の国が出来上がった事。

初めて出会った同郷の人であるシズとの出会いと別れ。

シズの未練であった、異世界人の子供達を救った事。

人間の国(ファルムス王国)から襲撃を受け、守るべき多くの市民を死なせてしまった事。

そして、殺されてしまった彼らを生き返らせるために魔王になった事。

 

   こうして、俺は魔王へとなったのさ」

 

その言葉でリムルの話は締め括られた。

 

「なるほど。だから魔王に……」

 

「やっぱり、2万人を殺した事が気になるのか」

 

「まあ、思う所はありますよ。自分の叔父さんが戦争とはいえ、仲間達を救うためとはいえ、とんでもない数の人々を虐殺したんですから。でも、責める気にはならないですね。俺も身内を失う喪失感も再会できた喜びも良く分かりますからね。俺だって、叔父さんを殺したあのクソ野郎を殺して、叔父さんを生き返らせるのであれば、そうするかもですしね」

 

「そうか。さて、辛気臭い話しはこれまでにしよう。聞かせてくれないか、今の地球(向こう)のこと」

 

「ええ。漫画やアニメの話をモリモリで、ですよね」

 

「分かってるじゃねーか!」

 

そこからは明るい空気が広がった。

叔父(リムル)さんが転生した2年前から起こった事、特に漫画やアニメの話で盛り上がった。

1時間程、そんな楽しい時間を過ごした頃、気付いたら涙が溢れた。

 

「おい、どうした?」

 

「あ、いや。ちょっと嬉しくて思わず……。うぐ、死んだって聞いた時、本当に悲しくて、けど今、こうしてまた出会えて、こういう事で盛り上がって…」

 

そこから様々な思いがこみ上げ、エグエグと泣き出し、俺の涙は止まらなくなった。

リムルは、またしても俺を宥めるのに苦心したのだった。

 

 

 

俺が泣き止むと、リムルは顔色を変えた。

 

「さて、一つお前に頼みたい事があるんだが、聞いてくれるか?」

 

「ええ、俺にできることなら」

 

「異世界人の子供達の事は話しただろう?アイツらの先生になって欲しいんだ」

 

「先生、ですか?」

 

「ああ。最近、魔国連邦(テンペスト)に新設された学校で学ばせているんだが、アイツらはかなり強くて、開国祭の時点でA-の人が負けそうになるレベルなんだ。戦闘訓練の相手は大体、軍の指南役を任せているハクロウか西方聖教会の聖騎士団長をしているヒナタに頼んでいる。だけど、2人は他の仕事で忙しいから、いつも面倒を見てやれるって訳じゃないんだよ」

 

「だから、教師として学校に赴任してほしい、と」

 

「頼めるか?」

 

「勿論ですよ。あ、ついでに自由組合の冒険者登録を本部から魔国連邦(テンペスト)支部に移しておきます」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 

 

 

数日後、俺は所属を本部から魔国連邦(テンペスト)へと移した。

そして、魔国連邦(テンペスト)へと移住した。

叔父さんが手を回していたおかげで、かなりスムーズに移住と学校への教員登録が済んだ。

 

職員室

 

「初めまして、今日からここで働かせてもらう三上 歩(アユム・ミカミ)です。宜しくお願いします!」

 

アユムの爽やかな声が職員室内に響いた。

 

「おう!」

「こちらこそ宜しく」

 

そういった声がちらほらと聞こえる。中には   

 

「ホッホッホ、こんな若い子が入って来るとはね」

 

そう。この学校の教師は商人や引退した冒険者達なので、中高年者ばかりなのだ。

だが、俺はそんな彼らにあっさり受け入れられた。

礼儀正しかったのが1番の要因だろう。

 

 

 

翌日、アユムは地下迷宮(ダンジョン)に向かった。

待っていたのは騎士服を着た女性と、6人の子供達だ。

 

「待っていたわ。貴方が三上 歩(アユム・ミカミ)君ね。私は坂口 日向(ヒナタ・サカグチ)。宜しく」

 

「こちらこそ宜しくお願いします」

 

その後、ヒナタは俺に子供達を紹介してくれた。

やんちゃな性格の三崎 剣也(ケンヤ・ミサキ)、大人しい性格をした関口 良太(リョウタ・セキグチ)、勝ち気な性格のアリス・ロンド、最年長で子供達のまとめ役をしているゲイル・ギブスン、絵本が好きなクロエ・オベール、地下迷宮(ダンジョン)の90階層の階層守護者(ガーディアン)をしているというクマラの6人だ。

その後、アユムと子供達で一対一の訓練が始まった。

訓練を終えた俺から出た第一声は、

 

「皆強過ぎない⁉︎ 叔父(リムル)さんからA-くらいって聞いていたんですけど、明らかにAランクに匹敵しているよ‼︎」

 

一応、全員に勝った。

勝ったのは良いのだが予想以上に苦戦させられたら。本気でなかったからまあ当然なのだが。

ケンヤは光の精霊と変幻自在の剣技のコンビネーションによる攻め主体の戦い方、リョウタは水と風の精霊魔法を使い分ける攻防一体の器用な戦い方、ゲイルは盾と剣に土の精霊魔法を駆使した鉄壁の守りが中心、人形使役者(ゴーレムマスター)のアリスは魔鋼製の人形や大量の剣の操作といった戦法で相手を撹乱させる戦い方、クロエは細剣(レイピア)による正統派剣術、クマラは尾獣を使役すると様々な戦い方であり、全員がAランクに匹敵していた。

特に俺を驚かせたのはクロエとクマラだ。

クロエの剣術はヒナタが扱っているのを目で見て真似たものらしい。しかも、剣を本格的に始めてからまだ1ヶ月ほどしか経っていないとの事だ。にも関わらず大分前から剣を使って戦っていたというケンヤを上回りかけてる。

嘘だろ、オイ…!

1ヶ月とかどうなってんだよ‼︎

そしてクマラは間違いなく特A級(カラミティ)であった。

どうやら地下迷宮(ダンジョン)の下の方の階層はシャレになって無いらしい。

下手したら魔王に匹敵する実力者なのでは……いや、やっぱり違う。

叔父(アレ)を見たら、“真なる魔王”がどんだけヤバいかが分かる。

だが、それでも希少な魔物である九頭獣(ナインヘッド)の実力というのは伊達ではない。

という訳でクロエとクマラが大人気なく全力で相手をした。

そうしなければ、大人としてのプライドが保てなかっただろう。

因みに、ヒナタさんもクロエと戦う時は本気になるらしい。

俺と同じく、下らないプライドのために大人気なくなっているそうだ。

 

「いやいや、アユム兄ちゃんもすげえって!」

 

「そうよ、多分リムル先生と同じくらい強いと思うよ!」

 

「そうか、そりゃどうも」

 

顔には出してないけど、ちょっと戦慄した。

俺が叔父(アレ)と同じくらい? んな訳あるかボケ‼︎

戦ったら、一瞬でチリも残さず消し飛ばされるわ‼︎

その後、“勇者”マサユキを含めた4人の強さ比べに発展した。

子供達としては、

マサユキ<俺≦叔父さん<ヒナタさん、らしい。

俺としては、というか間違いなく

マサユキ<俺<ヒナタさん<叔父さん、なんだけど。

そんなやりとりをした後、子供達は教室に戻って行った。

 

 

 

子供達が去った後、俺はヒナタさんと2人きりになった。

 

「それで、どういう用なの?」

 

ヒナタさんが、俺が2人きりになりたかった理由を聞いてきた。

 

「単刀直入に言います。俺と手合わせして頂けませんか?」

 

「別に構わないけれど、どうして?」

 

「人類最強と呼ばれるヒナタさんの実力がどれほどのものか、この目で見て、肌で感じたいんです」

 

「私は貴方より強いわよ」

 

「百も承知ですよ」

 

「そう。分かったわ」

 

そう言うと、ヒナタさんは腰に下げていた細剣(レイピア)を抜いた。そして、彼女から凄まじい覇気が発せられる。

俺も対抗する様に直刀を抜いて、『英雄覇気』を発動する。

 

「では、行きますよ!」

 

俺のその言葉が開戦の合図となった。

 

 

 

数分後

ギャイィン、という音を立てて直刀が弾き飛ばされる。

そして直刀を振るっていた青年が倒れ伏す。

 

「ゼェ…ゼェ…ゼェ…」

 

息を上げているのは言うまでもなく俺だ。

ヒナタさんクソ強えじゃねえか!

そして魔王リムル(あの美少女と化したオッサン)はコレに勝ったと言うのだから恐ろしい。

まあ、遺跡での戦いの時点でヤバ過ぎるとは思っていたけどね…。

 

「私の勝ちね」

 

ヒナタさんはそう俺に告げると、レイピアを収めた。

苦悶の表情を浮かべる俺だが、内心ではほくそ笑んでいた。

俺としてはむしろこっちの勝ちなのだ。

確かにこの手合わせは俺の負けだし、そもそも勝つつもりなど毛頭無かった。だって明らかに実力差が天と地ほどにあったからね。

俺の本当の目的、それはヒナタさんの剣術を盗む(パクる)事だ。

何しろとてつもなく高い学習能力を持つユニークスキル『学術者(マナブモノ)』が俺にはある。

『複写』で技を盗み、『強化成長』でものにする。

これで俺はかなり強くなれる。

あわよくばヒナタさんを超えたいものである。

 

「それにして、本当に凄いわね。間違い無く聖騎士団(クルセイダーズ)の隊長格と互角だわ」

 

「ハハハ。ありがとうございます」

 

「私と同系統のスキルを持っているわね」

 

「はい?」

 

「だって貴方、こっちに来てまだ半年も経っていないでしょう?それなのに既に“仙人”級の実力。私にはね、『簒奪者(コエルモノ)』という相手のスキルやアーツを奪うユニークスキルがあるのよ。貴方にも似たようなスキルがあるのでしょう?」

 

「‼︎」

 

思わず凍りついた。

 

「あら、図星かしら?」

 

「よく気付きましたね……! 俺には、『学術者(マナブモノ)』というユニークスキルがあります。その名の通り、学習能力に秀でたスキルです」

 

「手合わせをお願いしたのは、私から力を学び取る為でもあったのね」

 

「ええ。という訳で、空いた時間に俺を鍛えてくれませんか」

 

ダメ元でのお願いである。

OKは多分出ない   

 

「構わないわよ」

 

「まあ、無理ですよねって……えっ?いいんですか⁉︎」

 

「あら、まさか嫌って言うと思っていたの?私は教えるのは割と好きよ。ただし、かなり厳しめでいくけど」

 

「ありがとうございます!」

 

こうして、俺はヒナタさんから剣術を学ぶことになった。

しかも、後日ハクロウさんまでも仕事の合間に剣術を教えてくれることになった。

 

 

 

 

 

学校で授業をしつつ、子供達の訓練の相手をし、時々ヒナタさんやハクロウさんに扱かれる生活が始まって2ヶ月ほどが経過した。

おかげさまで、既に聖騎士団(クルセイダーズ)の隊長格より遥かに強くなった。

もうね、隊長格が2人がかりでいい勝負ってとこまで来ちゃいました。ヤバいよねw

俺も人外への領域に足を踏み入れ出したという事だろう。

だけど、これでもまだヒナタさんには勝てないんだけどね…。

でも、ヒナタさん曰く『もう直ぐ、“仙人”から“聖人”の領域に入りそうね』との事だ。

さて、今日はなんと、リムル様(叔父さん)が学校に来るのだ!

 

「どうも、待ってましたよ」

 

「うむ、子供達の様子は?」

 

「相変わらず元気ですよ。ところで、校長先生あたりには今日来ること言ってますよね?」

 

「いや、言ってないけど」

 

「は? 言ってないんですか⁉︎ いきなりこの国の王様が来たら絶対大騒ぎになりますよ!」

 

「ははは。すまんすまん」

 

「もうちょっと国王としての自覚持って下さいよ…。まあ、それは置いておいて、案内しますよ」

 

苦笑いを浮かべている叔父私をジト目で見ながらも、俺はケンヤ達のいる教室へと案内した。

 

「ちょっと男子!遊んでないで、教室の掃除を手伝ってよ‼︎」

 

教室内からアリスの怒った声が聞こえた。

最近では完全に委員長キャラが定着している。

クラス内じゃあ最年少なのにね。

 

「あん?何で俺らがそんな面倒なことをしなきゃいけないんだよ⁉︎」

 

それに対してガキ大将のケンヤが反発している。

こういう感じのやり取りは、もう日常茶飯事と化している。

 

「ちょっとケンちゃん、アリスちゃん怒らせるのはマズいよ!」

 

「うるせえ、リョウタ!今日こそ俺がアリスを倒して真のボスになってやらあ!」

 

騒がしくなってきた。

やれやれ、相変わらず大人しくできない子供達である。

普段からのやり取りだから、周囲の子供達も慣れた反応である。

 

「今日はどっちが勝つと思う?」

「女帝アリスだろ」

「だよな。ケンヤも強いが、女帝相手じゃ分が悪いよな」

 

と、好き放題言われている。

 

「へえ、クラスのボスはケンヤじゃなくてアリスなんだな」

 

俺の隣でクラスの様子を眺めている叔父さんはちょっと意外そうな雰囲気だ。

 

「気づいたら、アリスが委員長兼ボス、ケンヤがガキ大将って関係性が出来上がってましたね」

 

「それにしてもケンヤの奴、アリスに食って掛かっているけど、もしや…」

 

「ええ、ケンヤってアリスのこといつの間にか好きになってるっぽいですね」

 

「アレだな。好きな女の子にチョッカイ出して、興味を持たせたいってあれ」

 

それを聞くと、俺としては半年程の間だけ週間少年ジャ○プで連載されていた、学○法廷という漫画の第4話を思い出す。

少年漫画なのに、少女漫画じみた絵になると、魚澄泳介というキャラの吐き気がする程メルヘンチックな愛の告白がもう爆笑だった。

気になったのなら、実際に読んで欲しい。

さて、話が脱線してしまったな。

こんなたわいも無い話を叔父としている間にも子供達はギャーギャーしている。

こうして見ていると楽しいのだが、そろそろ止めなければならない。

もう直ぐヒナタさんが来るのだ。

という訳で   

 

「お前ら、教室で暴れるのは禁止な」

 

そう言いながら教室に入る。

そして、俺に続いて叔父さんが入ってくる。

 

「先生!」

 

ゑ?

ちょっと待って、クロエじゃないか!

何処にもいないなあって思っていたけど、まさかガッツリ気配を消して隠れていたとは…!

しかも、俺達が来ていた事にかなり前から気付いていたみたいだ。

つくづくこの子には驚かされる…。

それはそれとして、コレはどうなんだろう?

少女が姉に抱きついているように見えるが、リムル(この人)の中身は俺の叔父(アラフォーのオッサン)なのだ。

それを考えると、中々ヤバいくないか…?

 

「あっ、アユム兄ちゃん、それにリムル先生! クロエ、抜け駆けズルイ!」

 

遅れて、アリスも気付いたようだ。

そして、こちらも叔父さんに抱きついて来る。

さらにヤバい状況と化したな。

 

「リムル様! お久しぶりでありんす!」

 

続いてクマラも叔父さんに近づいていく。

クマラに一瞬戸惑っていたが、すぐに気付いたみたいだ。

もしかして、幼女姿は初めてだったのかな?

 

「ちょ、リムル先生来てたのかよ!」

 

ケンヤ達男子勢も気付いたようだが   

 

「わぁ!リムル様だぁ‼︎」

 

「スゲェー!本物だ!」

 

「家に帰ったら、父さんに自慢しよ!」

 

教室の子供達が大騒ぎになり、その声は遮られた。

だから連絡すべきだって言ったんだ。

そして、廊下からはドタバタという音が聞こえる。

他の先生方が猛ダッシュで教室に入ってきた。

廊下は走ってはいけませんって子供達を叱る立場ですよね?

それが走ってきてるよ、オイ……!

 

「こ、これはこれはリムル陛下⁉︎事前にお知らせして頂ければ、私がご案内致しましたのに」

 

「何を言う!リムル陛下を案内するのは、教頭であるこのワシだ!」

 

「勝手な事を!教頭風情は引っ込んでおれ!私は陛下から校長という名誉を賜ってあるのだぞ‼︎」

 

教師達は子供達以上の大騒ぎだ。

だから連絡すべきだって(ry

 

「ちょっと皆、静かに!先生方も落ち着いて下さい!」

 

とりあえず、この騒動を止めなければならない。

それなのにだ。

 

「せっかくですので、私のクラスの子供達の学習風景をご覧になってはいかがでしょう?」

 

「いいや、私が先です!完璧な授業をお見せしますぞ‼︎」

 

ドウシテコウナッタ?

一向に収まる気配が無い。

だから連絡(ry

 

「おいおい、リムル陛下が困ってるぜ」

 

現れたのは、フリッツさんだ。

こうして、フリッツさんと一緒になんとかして皆を宥めた。

フリッツさんがいなければ、もうしばらく続いただろうな。

俺1人じゃ止められそうに無かったから。

 

「ああ、やっと落ち着いた」

 

「今日はフリッツさんが教師を?」

 

「“さん”はやめて下さいよ。リムル陛下、呼び捨てで構いませんって」

 

「あ、そう?それじゃあフリッツ、お前も陛下呼ばわりはやめてくれ」

 

「そんな訳にはいかんでしょ!」

 

思わず叫んでしまった。

何言ってんだよこの人!

アナタ、この国の王様だよ⁉︎

誰もいない所ならともかく、こんな所でそれを実行した瞬間、不敬罪で一発アウトだっての!

 

「そうですよ。せめて“様”くらいつけないとこの国の住人から白い目で見られちまいますよ」

 

フリッツさんも同意見らしい。

一番身分とか気にしない感じなのにね。

 

「はは、それもそうか」

 

「ご理解、ありがとうございます」

 

「まあ、それはそれとして。学校行事への協力、感謝するよ」

 

「よして下さい。ぶっちゃけ、ヒナタ様の過酷な訓練に比べて、ここの任務は天国なんですって。飯は出るし、子供達からは尊敬されるしでね。実は、団員の中でも取り合いなんですよ?」

 

「「……」」

 

俺と叔父さんは無言でフリッツを見やる。

へえ、要らない情報どうもありがとう。

なんだろう?急に気温が下がった気がする。

『魔力感知』を使わずとも分かる、液体窒素並の冷た〜い怒気を感じ取ったからだろうな。

 

「ほう、それは良かったわね、フリッツ。私の過酷な訓練?あなた達の力量に合わせて手加減してあげていたのだけど、要らないお節介だったみたいね」

 

ヒナタさんが来た瞬間、その場に緊張が走った。

子供達のみならず、大人達までも背筋をピンと伸ばして直立不動になったのだ。

やっぱり気温は下がっていた。

 

「げぇ、ヒナタ様⁉︎誤解、そう、誤解です!これは言葉の綾と申しますか…」

 

言い訳を始めた哀れなフリッツさんに対し、俺はこう言った。

 

「フリッツ君、君の事は忘れない」

 

えっ? 俺死ぬの⁉︎   という顔をフリッツさんはしていた。

すまない、貴方を助ける事はできそうにないのだ。

 

 

 

学校から場所を移して、地下迷宮(ダンジョン)に来た。

因みに、フリッツさんについては余り触れないであげてね。

俺達を出迎えたのはハクロウさんだ。

 

「お待ちしておりましたぞ。リムル様、ヒナタ殿、アユム様」

 

ハクロウさんって俺のこと“様”って呼ぶんだよね。

何度かやめて下さいよと言っているんだけど   

 

『いえいえ。リムル様の甥御様なのですから、そういう訳にはいきますまい』

 

いつもそう返されるので諦めた。

 

「これはこれは御老体、お元気そうで何よりです」

 

ヒナタさんはハクロウさんに言葉を返す。

“御老体”って、高齢の方を敬う言葉らしいね。

初めて知った時は少し驚いたね。

 

「忙しいのに時間を取ってくれてありがとうございます」

 

俺は叔父さんに礼を言う。

 

「いや、いいって。大きな問題は片付いたし」

 

「そういえば、誰を評議会に送り出すか決まったの?」

 

「ああ。ディアブロが勧誘してきた有望な新人さんに任せたんだ。テスタロッサって名付けたんだけど、今度紹介するよ」

 

「名付けた? それにディアブロが勧誘してきた? ……ってことは悪魔族(デーモン)かな」

 

「お、よく分かったな」

 

「「はあ」」

 

俺とヒナタさんの溜息が一致した。

 

「やっぱり、貴方は本当に非常識ね。まあいいわ」

 

本当にね!

ツッコミ出したらキリが無い…。

なんでこんな事簡単にできるんだろう?

災禍級(ディザスター)だからかな?

魔王だからかな?

 

「それよりも、今日時間を取って貰ったのは、この子達の成長ぶりを見て欲しかったからなのよ。ハクロウ殿やアユムと一緒に指導していたのだけど、貴方にも現状を知っておいて欲しいのよ」

 

「そこまで言うって事は、かなり成長したのかな?」

 

「かなり、ね」

 

もうさ、呆れ果てるよね。

かなりなんてもんじゃ無いんだよ。

それを身をもって感じて貰おう!

 

「実際に戦ってみれば分かるでしょう。迷宮って便利よね。全力で戦っても死なないもの」

 

相変わらず笑顔が怖い。

ヒナタさんって、間違いなくドSだよね…。

この人にも呆れさせられるよね。

 

「分かった。それじゃあ、『分身体』で相手をしよう」

 

叔父さんはそう言って、スライムの身体を分離させる。

そういえば、この人スライムだったね。

 

「よっしゃ、久々にリムル先生と戦えるぜ!」

 

「私がどれだけ成長したのか、見て貰うんだから!」

 

ケンヤとアリスがはしゃいでいる。

ゲイルも準備体操を始めているし、リョウタも目を輝かせている。

クロエとクマラはと言うと。

 

「わっちが先にリムル様と戦うでありんす!」

 

「えー、私が先よ!」

 

こっちもやる気満々だ。

 

「うーん。全員同時でもいいが、どうせなら一対一でやろうか」

 

子供達がその言葉に笑顔を見せる。

そして、模擬戦が始まった。

 

 

 

一時間後

「お前ら、強くなり過ぎだろ‼︎」

 

叔父さんの叫び声が迷宮内に響き渡る。

そりゃそうだ。だって俺も同じ反応したもん。

 

「かなりって言ってましたけど、かなりなんてもんじゃ無いでしょ?」

 

叔父さんは俺の言葉に頷いた。

 

「いや、本当に凄いよ!」

 

「だろ? 先生に言ってもらえると自信が出るぜ!」

 

「でもさ、本当に凄いのはクロちゃんよね。私、女帝とか呼ばれていても、まだ一度も勝てた事ないもん」

 

「まあ、クロっちは別格だよな。普段は大人しいけどさ、怒らせたら怖いもん。アリスは怒ってもあんま怖くないけど、クロっちだったら土下座もんだぜ」

 

何ですってと怒るアリスを尻目に、ゲイルとリョウタがケンヤの言葉に頷いた。

 

「ケンヤはやっぱり構えだな。アレが剣術と合致して無いのがネックだな。もっと上手く取り込めれば、連携が繋がると思うんだけど」

 

ずーっと言い続けているんだけどね。変えないんだよな、ケンヤの奴。

カッコいいんだけど、無駄でしか無い。

これを言うといつもこう返ってくる。

 

「だって仕方ないだろ?アレはマサユキさんの直伝なんだからさ!」

 

それを聞いた叔父さんは呆れた顔を浮かべた。

スキルを除けば、“勇者”マサユキの戦闘力は一般人並みだもんね。

それを考えるとダメな構えとしか思えないよね。実際そうだろうし。

俺としても、正直やめてほしい。

武道には“守破離”という言葉がある。

第一段階の“守”は師から教わった型を忠実に守り、それをきっちり身につける事。

第二段階の“破”は師から教わった型を崩したり、他流の技と照らし合わせたりすることで自分に合った型を研究する事。

最終段階の“離”は師から離れ、既存の型に囚われず自分の技を磨く事。

この順で行う事で、初めて道を極めることができるというものだ。

ケンヤは強くはなったが、まだ剣術に拙いところがある。“破”や“離”の段階には早すぎるので、変な方向に行って欲しく無いのだ。

 

「まあ、言ってもせんなき事でしょうな。変な癖を無くすように指導して、連携を磨くように鍛え上げるとしましょう」

 

ハクロウさんはあんまりこだわりを持っている感じでは無いみたいだな。

 

「クロエの剣術はヒナタにソックリだな。綺麗な型で、お手本みたいだ」

 

「うん!シズ先生と同じだったから、頑張って真似したの!」

 

クロエは本当に凄い。既に聖騎士団(クルセイダーズ)の隊長格と互角で、条件次第では勝てるだろう。

しかも、『真似して覚えた』だよ。

“学ぶ”の語源を完璧行っている。

油断してたら、その内抜かされるな。

 

「真似って言っても、簡単にできるものではないのだけれど。私やアユムのように能力(スキル)に頼っているならともかく、才能だけで学んでいるのだから。誇っていいと思うわよ」

 

「そうですな。ワシも色々な者を指導してきましたが、この()ほどに才能を持つ者は初めてです。末恐ろしいばかりですじゃ」

 

「さてと、そろそろ全員での訓練ですね。今日は俺が相手するので、お三方は離れて下さい」

 

という訳で、ここから本番である。

ケンヤ、リョウタ、アリス、ゲイル、そしてクロエの5人を同時に相手するのだ。

凄く大変なんだよ〜。

特にクロエがヤバい。

クロエ以外の4人ならともかく、クロエを入れた5人には本気でやらないとガチで負けるのだ。

そして始まる地獄の時間。

『魔力感知』で周囲の子供達の動きを把握し、『予測演算』で先読み。さらに『思考加速』で反応速度と判断速度を強化して全力で相手する。

迷宮内には剣撃と踏み込みの音が立ち込める。

5分程で模擬戦は終了する。

この後、遠目で見ていたハクロウさんのアドバイスが子供達にあるのだ。

そんな中、叔父さんとヒナタさんが何かを話している。

興味本位で盗み聞きした。

 

「今日来た本題はね、ルミナス様が『音楽交流会まだか』って煩いのよ。あの様子だとよっぽど気に入ったみたいで、それを伝えたかったのよ」

 

ルミナス様?

まさか、ルミナス教の神ルミナス⁉︎

実在してんの⁉︎

 

「ああ、ルミナスは俺達の開国祭での演奏会をかなり気に入ってくれてたからな。タクト達には練習を続けさせているし、レパートリーも増えていると思うよ。ルミナスがそう言うなら、近い内にお邪魔させてもらおうか」

 

叔父さんも当たり前のようにはなしているし、実在するんだろうな…!

宗教の神様が実在するってどうなの?

おっと、神ルミナスが実在する事に驚き過ぎて重要なところを聞き落とすところだった。

どこか行くみたいだね!旅行だね!俺も行きたいよね‼︎

子供達も、2人の話が気になるようだし、ちょっと話を切り出してみよう。

 

「何処か行くんですか?」

 

「ん、ああ。近い内にルベリオスで音楽交流会を行う予定になっているんだ」

 

その言葉に子供達が反応する。

 

「私も行きたい!」

 

「私だって!」

 

「クロっちやアリスが行くなら俺も行くぜ!」

 

「僕も!」

 

「そういう事なら、自分もです。コイツらだけ行かせたら、何をし出すか不安ですし」

 

「わ、わっちも行きたいでありんす…!」

 

クロエを始め、全員が行きたいと言い出した。

クマラは少しおずおずとした感じだ。

階層守護者(ガーディアン)としての仕事があるから、あまりそういう要求をしては駄目だと考えているのだろう。

しかし、子供心としては友達と一緒に旅行したいと思うのは自然な事だ。

 

「そんなに遠慮することないぞ。ちょっとくらいのワガママなら、どんどん口にしても許すからさ」

 

叔父さんがクマラを撫でてそう言った。

子供達が行くのは確定だな。

これをダシにしない手はない!

 

「それじゃあ、俺も行きますよ」

 

「え、なんでそうなるの?」

 

「ほら、子供達が行くなら引率の教師がいた方がいいんじゃないですか?」

 

「それは俺がやるからいいよ」

 

「でも貴方、魔国連邦(この国)の国王陛下ですよ。そんなことやってる暇は無いんじゃないですか?」

 

「……。お前、本当は行きたいだけじゃ…」

 

ジト目で叔父さんがこっちを見てくる。

チッ、バレたか。

だがしかし、行かないという手は無いのだよ!

 

「いいえ、全く」

 

「はあ、分かった。お前も子供達も連れて行く事にしよう」

 

「やったあ!旅行する間は堂々と学校をサボれるぜ!」

 

「ケンちゃん、あれだけ楽しそうなのに、学校サボりたかったの?」

 

「違えよ。学校は楽しいけどさ、皆が勉強している時に自分達が遊んでるだけなんて、特別感があるだろう!」

 

「アンタが言いたい事、私も分かるわ。同レベルと思われるのは嫌だけど、ワクワクするのよね」

 

「だろ?そういうもんなんだって!」

 

そんな楽しそうな子供達を見ていると微笑ましいのだが、学校をサボりたいとは聞き捨てならんな。

 

「なるほどなるほどよく分かりました。では、   

 

そこからは声色を変えて

 

「明日出す宿題を二倍にします」

 

と、子供達にそう告げた。

俺が教師を目指した理由となる、某黄色いタコ型超生物の真似をしてみた。

それを聞いた叔父さんは、思わず吹き出している。

 

「げえ⁉︎アユム兄ちゃんそりゃないよ!」

 

当然である。

数日休むだけでも、結構な遅れになるのだ。

 

「私は、リムル先生と一緒がいいだけ」

 

泣き言を言うケンヤに対し、クロエは御満悦のようだ。

 

「本当に甘いわね、貴方」

 

「あ、ヒナタさんは反対ですか?」

 

叔父さんがヒナタさんを煽る。

冷たいですねって顔が言ってる。

 

「チッ、そうは言ってないわよ」

 

不機嫌そうだが、反対ではないようだ。

そして一週間後、俺達はルベリオスへと向かう事になった。

 

 

 




突発的に思いついたヤツ

ベニマル「(爽やかな笑顔で)コイツ、殺して、イイですか?」

リムル「(こっちも爽やかな笑顔で)うん、いいよ」

ベニマル「ヘルフレア」

鬼舞辻無惨「ギャァァァァァァ‼︎」
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