お待ちかねの覚醒タイムです。
これってご都合主義入れた方がいいかな?
「敵襲‼︎敵襲‼︎」
何者かが襲撃して来た。
護衛として来ていた悪魔達は直ぐに楽団員を守る態勢を整えた。
当然、俺も子供達を守る構えだ。
敵は少なくとも100人で、全員B+ランク以上の実力者達で味方にかなりの被害が出ている様子だ。
そんな中、転移門が出現して4人の人影が現れた。
叔父さん、ヒナタさん、シオン、ディアブロだ。
あ、あと1人いる。高級そうな聖職衣を着ている神父みたいな人だ。
転移してくるなり、シオンが楽団に向けて大音声を飛ばした。
「狼狽えるな! お前達の安全は私達が守る! だから練習の手を止めるな‼︎」
おい、ちょっと待てシオン!
何つう無理ゲー押し付けてんだ!
だって、今ここ戦場と化したんだよ?
楽団員は全員非戦闘員だよ?
怯えない方が逆におかしいって!
「シオン様、申し訳ございません! ちょっと動揺してしまいました」
へ?
「練習を再開する!」
ゑ? いや、ええっ⁉︎
この状況で練習すんの!!!?
俺が動揺している内に練習が再開される。
タクトさん達の肝っ玉は相当だな……!
とりあえず、子供達を悪魔達の護衛の中に入れる。
「ここから動くなよ! 先生は襲撃して来た奴らの相手をする!」
「わっちも行くでありんす!」
クマラがそう意気込むも俺は却下した。
「ダメだ! 八部衆がいないんじゃあ、お前は戦えないだろう?」
「そういう事だ、クマラ。シオン、ディアブロ、子供達を守れ!」
叔父さんも同意した後、部下2人に子供達の守護を命じた。
「分かりました」
「リムル様は如何なさるのです?」
「俺はお邪魔虫共を排除してくるよ」
「承知しました」
「じゃあ、後は任せた」
駆け出す叔父さんに俺はついて行った。
大聖堂の入り口には、敵味方が入り乱れて激しく交戦していた。
大扉は完全に壊され、見る影もない。
100人以上の敵の中には1人目立つ存在がいた。
見た目は60〜70くらいの老人だが、背筋はピンと綺麗な姿勢をしており、眼光は鋭く、高級そうなスーツを着ている。
そして何より、纏っている覇気が凄まじく、尋常じゃない力の持ち主だと一目で分かった。
「あのお爺さんが敵の首魁みたいですね」
「グランベル・ロッゾ。五大老の長にして、ロッゾ一族の総帥よ」
ヒナタさんが答えた。
なるほど、マリアベルと同族ですか。
そりゃ厄介そうだな。
「マリア、お前はルミナス様を探し出し、ここに連れて来なさい。抵抗するなら殺しても構わん」
グランベルの言葉に反応したのは、1人の妙齢の女性だ。
それも、マリアベルによく似ている。
「承知しました。命令を実行に移します」
マリアと呼ばれた人物はそう答えた後、俺達には目もくれず歩き出した。
まるでロボットだ。いや、身体は人間と変わらないってだけで、本質的にはロボットと変わらないんだろうな。
「初めまして、グランベルさん。俺が魔王リムルだ」
叔父さんは気さくな感じで話し掛けた。
「貴様が魔王リムルか。よくもワシのマリアベルを……‼︎」
どうやらあの件について恨みを買っている様子だった。
「おいおい、それはそっちから……いや、言っても無駄か。ならば、どっちが正しいか、力で証明してやろう」
「クックック、抜かしよるわ。たかが新参の魔王の分際で、ワシに勝てるとでも? 貴様の相手は後でしてやるが故、大人しくそこで仲間達がやられるのを見ておくが良い」
うわぁ、す〜ごい舐めてる。
「たかが新参の魔王、だと? 言ってくれるね」
叔父さん、殺る気モード。
だが、叔父さんの出る幕は無いそうだ。
「ヒナタ様や魔王リムル殿の出番などありません! グラン、貴様の相手は私達です‼︎」
叔父さん達と一緒に来た神父みたいな格好の人 ニコラウスさんがそう叫んだ。
そして、それに続くは
副団長のレナードさんとアルノーさんとリティスさんだ。
「ヒナタ様、そこで我等の活躍をご覧になって下さい!」
ニコラウスさんの命令でレナードさんとアルノーさんが動く。
リティスさんは精霊魔法で2人のサポートを行う。
その間、ニコラウスさんは魔法の詠唱をしている。
隊長格3人が詠唱の時間を稼ぎ、ニコラウスさんの魔法でトドメを刺すつもりの様だ。
普通なら隊長格3人の攻撃で終わらせられるだろう。
しかし、グランベルには余裕があった。しかも、ニコラウスさんの詠唱を邪魔する訳でも無い。
嫌な予感しかしない。
グランベルを中心に積層型魔法陣が形成されていく。
そして、魔法の最後の一節が唱えられる。
「万物よ尽きよ。
強烈な光の噴流がグランベルを襲う かに見えた。
光の噴流は突如として軌道を変えて、グランベルの剣へと集中していく。
ああ、嫌な予感というのは外れないらしい。
「まさか……!」
ヒナタさんも青ざめている。
どうやら心当たりがあるらしい。
「中々良い詠唱だったな。魔法の流れを読み取るにはこれ以上ないほどにの」
そう言うと、グランベルは剣を掲げた。
「散開‼︎」
ヒナタさんの指示で隊長3人が一気に後退する。
そしてヒナタさんが前へと出る。
「
グランベルが剣を薙いだ。
その瞬間、扇状に衝撃波が広がった。
ヒナタさんはグランベルの剣を受け止めるも、それだけで攻撃を防ぎ切れる物では無かった様だ。
ヒナタさんは無事だが、ニコラウスさんは重傷、レナードさん達も気絶してしまっている。
距離のあった俺自身、思いの他ダメージを受けた。
しかも、『多重結界』が完全に壊された。
その割には大したレベルじゃあ無いけど。
何せ
「ふむ。1人も殺せなかったとは、ワシも腕が落ちたか。そこの魔王に感謝するのだな」
先程、『
やはり、叔父さんの仕業だったらしい。
これが無かったら、俺も重傷だっただろう。
ヒナタさんが、チラリと叔父さんに視線を向ける。
「そう。感謝するわ、リムル」
叔父さんはヒナタさんに向けて、軽く頷いた。
さて、この少しばかりの戦いを見ていて分かった事がある。
実際、実力差は明白にある。
だが、奇襲すれば倒せるだろう。
ここで俺を舐めたことを後悔させてやる。
そう考え、一瞬で
そして、気闘法を使って一気に距離を詰めた。
「メルト ウオッ⁉︎」
グランベルへと『
「グランベル様の邪魔はさせぬ」
「やれやれ、奇襲は失敗か。今のでワンチャンいけると思ったんだが」
「シードルよ、そこの
「御意」
そう言うと、中年のおっさん シードル辺境伯が前に出た。
どうやら、コイツを先に倒す必要がありそうだ。
そう思い、俺は離れた場所へと走り出した。
無論、シードルもついて来る。
「シードル辺境伯、以前は英雄として名を馳せた人物だったけ」
「ほう、よく知っておるな。言っておくが、私は人間相手にも敵なら容赦しないぞ?」
「こっちのセリフだ!」
アユムとシードル辺境伯との戦いが始まった。
そして繰り広げられるのは超高レベルの剣撃の応酬だ。
シードルが刺突を放つと、アユムが受け流し、そのまま斬撃へと持っていく。
その斬撃をシードルは紙一重で回避する。
一見互角に見える戦いだが、アユムの方は内心で凄まじく焦っていた。
(どうして。どうして『
自身のスキルがほとんど発動できなくなっていた。
『
『思考加速』の権能は使えるものの、強敵を倒すのに絶対的に必要な権能である、『予測演算』と『複写』が全く使えないのだ。
「フフフ。お主、焦っておるな。スキルが使えないのが不思議か?」
図星を突かれて一瞬動揺するも、すぐに表情を戻す。
「なるほど、な。今のスキルの機能不全、やっぱりアンタが妨害していたのか」
「ほう、よく見破ったな。私にはな、ユニークスキル『
「そりゃ厄介だな。でも、弱点もあるみたいだな。外に出るものや、他者に干渉して発動するタイプのみ妨害できるってところか。俺自身へと影響を及ぼす物は無理みたいだね」
アユムは太々しく言った。
「そこまで見破るとは大したものだ。良かろう。少し本気で相手してやろう」
「いいぜ、ここからが本番だ!」
そう不敵に笑うも、内心ではかなり焦っていた。
(クッソ! かつて英雄として名を馳せただけのことはある。しかもスキルの妨害だ? ふざけんなよ! これじゃあ、八方塞がり……いや、今までやってこなかった方法はあるが……博打に出なきゃ勝てないか)
そう考え、覚悟を決める。
アユムが考えたのは『強化成長』による自身の強化だ。
この権能は凄まじく、これのおかげで今までのアユムは指数関数的な成長速度を見せていた。
だが、強力な権能であるが故に弱点がある。
それは、使用時に体力を消耗する事だ。
転移したばかりの頃は、これによって歩くのがやっとというレベルまで消耗したことが度々あった。
仙人へと成長したともなれば、その消耗量は大したレベルでは無くなる。
しかし、全開戦闘中に発動するともなれば話しは別だった。
そのため、これはかなり危険な賭けなのだ。
シードルの攻撃はより熾烈になっていく。
アユムもそれに対応していくと同時に、体力の消耗も増えていく。
その代わり、剣術の精度やスキルの力も大きくなっていく。
シードルはそれに気づき、面白いと笑みを浮かべた。
そして、その弱点もしっかり把握していた。
「面白い力だが、ぬるい。この程度ではまだまだだ。さて、そろそろ終わらせよう」
そう言うと、シードルは更に苛烈な剣撃をこれでもかとお見舞いする。
アユムも限界になり、傷が増えていく。
そして、何十何百と剣を交わせたときだった。
「アグッ!」
シードルの剣が、アユムの腹部を大きく斬り裂く。
「トドメだ」
その時、アユムの脳裏に飛来のはのは過去の記憶 走馬灯だ。
叔父である悟と楽しく語り合った事。その悟が死んで、絶望感と悲壮感に襲われた事。そして、自分が転移して、リムルとして再開した事。さらに、そこからの楽しい毎日がその一瞬で去来する。
そして、覚醒する。
(こんなところでくたばったら、叔父さんに顔見せできなくなるじゃねえか‼︎)
アユムは全力で自身の直刀を振るい、シードルの剣を弾き飛ばす。
驚いたシードルは、直ぐに距離を取った。
「一体何が?」
一方、アユムからは凄まじい力が湯水の如く溢れ出した。
そして、そのエネルギーが
(これじゃダメだ)
アユムはそう考えると、漏れ出るエネルギーを抑え込み、代わりに自身のスキルへと流し込んでいく。
そして、天上のチカラを手に入れたアユムへと“世界の声”が響き渡る。
《確認しました。条件を満たしました。ユニークスキル『
アユムの進化は止まらない。
1つの大きな超克は、更なる超克をもたらしていく。
《確認しました。条件を満たしました。ユニークスキル『
シードルはアユムが尋常じゃない速度で強くなるのをただ見ていることしか出来なかった。
「さあ、終わらせよう」
アユムは、シードルに向けてそう告げた。
「まさか、この土壇場で聖人へと覚醒するとはな。良かろう、私も全身全霊を持ってして相手をしよう」
そう言って、上段の構えをとる。
アユムも『
そして、勝負は一瞬で決まる。
「
「
光の槍と炎の斬撃が交差し、凄まじい衝撃波を撒き散らす。
斬撃の方は霧散し、光の槍がシードルに突き刺さる。
「見事……だったぞ……!」
それがシードルの最後の言葉となった。
その瞬間、周囲を眩しい光が包み込む。
光が収まると、シードルの身体は跡形もなく消え去っていた。
ケツアゴさんありがとうございます。
最近、感想とお気に入り登録者数の上昇率が下がってるのが小さな悩みです。