とりあえずリンボは来たら陳宮の刑にする。
――陰に機を見出し、陽に活路を開く――
太陽が降り注ぐ荒野の大地に二人の男が迎え合っていた。
一人は赤いシャツを着た端から見てもわかる程の筋骨隆々の赤い髪の大男。
もう一人は大男とは対象的に小柄な体型をした赤い中華の武術衣を纏う白髪を短く揃えた老人が相対していた。
「はは、まさかかの《神槍》と呼ばれる李書文と拳を交わせるとは…人生なにが起こるか解らないな!」
「呵呵呵っ!それはこちらの台詞よ!まさかわしを題材にした《映画》を観て、誰にも指南されず我流で八極拳を身に付けるとは!時代が違っていたら名を残す程の英傑になっていただろうな!」
不適な笑みを浮かべる人類最強の肩書きを持つ大男―風鳴 弦十郎―が小柄な老人に向けて拳を握り構えをとる。
拳を向けられた老人……かつて拳一つで相手を倒しその強さに《
「では、ここから先は言葉等不要。武術家足る者……」
「ああ、己のが拳で……」
「「語るべし!」」
腰を落とし、体内で練った気を両足に送ると同時に地面を踏み砕きながら互いの拳を突きだした!
「ふん!」
「ふ!なんの!」
「ほう…なら、これはどうだ!」
李書文が突きだした拳が空気を割いて弦十郎の心臓を狙うが、腕を振り上げ
「くっ!さすがだな!だがまだだ!」
死を感じた弦十郎は寸でで身体を後ろに反らし、後方に跳躍、地面に着地と同時に右足を前に踏み出すとその鍛えられた健脚が地面を砕き、震脚により盛り上がった地盤が隆起しながら李書文に迫る。
「ふっ、けぇい!」
自身に迫りくる隆起する地盤に対し、李書文は息を短く吐き、膝を曲げた脚を一度胸まで上げると声を張り上げ地面を踏み砕くと弦十郎と同じように隆起した地盤が前方に向かっていき、両者が繰り出た技がぶつかり、その衝撃によって粉塵が巻き上がり二人の姿が見えなくなる。
「…………」
「…………」
舞い上がった粉塵により姿が見えなくなった二人は音一つ立たせず静かに構え続ける。
―パラパラ…―
「「!」」
ドンッ!と地面を踏み、蹴り砕きながら互いに距離を詰め、硬く握り締めた互いの拳をぶつけ合う。
弦十郎が放った顔を狙った拳を李書文は掌打をぶつけることで反らし、お返しとばかりに弦十郎の腹部に至近距離の崩拳を繰り出すが、弦十郎はこれを肘と膝で挟み込む事でかわし、空いた左手で手刀を振り下ろす!
だが、李書文は押さえ込まれた左腕に力を込めると力ずくで引き抜き手刀をかわし、引き抜いた反動で左側頭部に向けて右の剛脚を振り抜く!
「くっ……はっ!」
「ふん!」
「まだ…だァ!」
「むうっ!?」
しかし、弦十郎は冷静に身を屈め足払いをかけたが、それを読み地面を跳躍した李書文にかわされたが弦十郎は直ぐに立ち上がりと同時に空中にいる李書文に向けて拳を打ち込んだ!だが……。
「はあっ!」
李書文は身体をひねり、空中にいる状態で弦十郎の拳に自身の拳を上から振り下ろす事で防ぎ、その反動で地面に降り立った。
「く――ははははははははっ!滾る!滾る!血が滾る!いいぞいいぞ弦十郎!英霊でもない人間の身でありながらわしと互角に渡り合うとは……一体どれほどの功夫を重ねた?」
「ふ、簡単な事さ。飯食って映画見て寝るッ!男の鍛練はそれで充分よッ!」
「…………ふ、ははははははっ!まさかそのような方法でそこまで強くなれるとは!聖杯戦争も人理修復も関係ないこのような世界に召喚された時はどうするかと思ったが、お前のような面白い男と出会えるとは!いやはや人生とは面白い!」
「ハハッ!
弦十郎の鍛練の方法を聞いた李書文は心の底から笑い、それに釣られて弦十郎も年甲斐もなく笑みを浮かべる。
「……ふぅ。さて、楽しませてくれた礼に一撃、馳走してやろう」
その言葉と共に李書文の身体から途轍もない強大な気が立ち昇る。
「……ああ。なら、その一撃にこちらも全力を持って応えよう」
李書文の立ち昇る闘気をその身に受けた弦十郎は握り締めた右拳を頭上に上げ、こちらも負けじと強大な気が立ち昇る。
「我が八極に
「おおおおおおおおおおおおおっ!」
李書文が地面を一歩踏みしめると地面を踏み砕き、瞬く間に弦十郎の目の前に現れ拳を構える。それに対し弦十郎は瞬時に上げた右拳を腰だめに構える。
(一瞬でこの距離を詰めたか!だが……!)
(ほう…っ!わしが懐に潜り込むと瞬時に拳を構えるか!呵呵っ!面白い!)
「七孔噴血……!」
「こいつが俺式……!」
両者の視線が交差するとニィッ!と嗤うと同時に互いの拳を繰り出した!
「巻き死ねぃ!」
「剛掌打ぁ!」
互いに放った必殺の拳が両者の心臓に向かい、その拳が身体に当たろうとしたその瞬間――。
「止めてくださーーーいっ!!」
―ビタッ!―
その場に似つかわしくない幼い少女の叫び声が両者の耳に入り、身体に当たる寸での所で拳が止まった。
◇◇◇
――本部司令室――
「だからやり過ぎないでくださいと言ったんです!お二人のせいで本部内が揺れてたんですよ!このシミュレーターは装者達の攻撃に耐えられるように出来ているんですけど、お二人の全力にシミュレーターが衝撃を耐えきれなくて本部が壊れますよ!おかげでエルフナインちゃんが怖がってますよ!」
S.O.N.G.本部のオペレーターの一人である《友里 あおい》が二人に向けてお叱りの声を上げて二人の
「す、すまんエルフナイン君。年甲斐もなくはしゃぎすぎた……」
「むう……確かにちとやり過ぎた。怖がらせてすまぬなエルフナインよ」
「うう……はい、ボクは大丈夫です。次の訓練までに耐えられるように調整します。お二人共、今度から本気でやりあわないでください……」
弦十郎と李書文がエルフナインに謝っている光景をS.O.N.G.オペレーターの《藤尭 朔也》と《友里 あおい》が離れて見ていた。
「なんか、あの光景を見てると娘に怒られている父親とおじいちゃんに見えるわね……」
「あー、なんかわかるなーそれ」
温かい目で三人の様子を見ながら二人はあったかい飲み物を啜った。
Q,どうして本部が揺れまくったの?
A,両者の起こした震脚によって起きた衝撃が本部中に伝わり、結果水上でも物凄く揺れまくったから。
Q,司令強すぎない?
A,これくらいあってもおかしくない。
どうもクロトダンです。
FGOでまさか綱が出てくると予想していたとはいえ、驚きましたw
次回は斎藤さんのお話か前回やったぐだシン劇場を投稿する予定です。