俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

109 / 300
事態終息

 

 

八幡side

 

 

天之川「比企谷あああぁぁぁぁ!!!」

 

八幡「っ!?」

 

 

ザシュ!!

 

 

八幡「うぐっ!!」

 

 

コ、コイツ……マジでやりやがった。マジで人を刺しに来やがった………クソォ、力がうまく入らねぇ上にメッチャ痛ぇ……

 

 

警官1「今すぐ離れなさい!!」

 

天之川「がっ!?な、何をするんだ!!悪いのは俺じゃない、そこに居る男だ!!」

 

警官1「大人しくしろ!!こちら2階フードコートエリア、異常事態発生!応援を求む!応援を求む!怪我人も1名居るので、救急車の手配を要請!箇所は左腕の前腕を刃物で刺突!」

 

無線『了解!すぐに駆けつける!』

 

無線『救急車の手配も了解、至急行う!』

 

天之川「くそっ、離してくれっ!!まだ話は終わってない!!」

 

警官1「大人しくしろ!!これ以上暴れるようだったら公務執行妨害と見做すぞ!!」

 

 

八幡「………」

 

 

クソッ、痛みが全く引かない………それどころか寒気までして来やがった。とてもじゃねぇけど、立っていられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「八幡君!!!」

 

八幡「っ!あぁ、柊……」

 

柊「八幡君、う、腕が……」

 

八幡「大丈夫だ、刺されてるだけだ。けどメッチャ痛い………救急車が来るまではこのままだな。」

 

柊「でも、ナイフが刺さったままだよ?抜いた方が「それはダメ。」っ!ゆ、雪ノ下さん?」

 

陽乃「今は血が流れてポタポタ落ちてる程度で済んでるけど、もし今ナイフを抜いたら一気に出血するよ。そうなったら失血して死ぬ事だってあり得るんだから。だから今は無闇に抜いたり、変にその箇所を動かさないようにする事。比企谷君は分かってるみたいだから、少し安心したけど。」

 

八幡「まぁ……まだ平気です。」

 

警官2「こっちだ、急げ!!」

 

警官3「警察です、この場に居る方々はそのまま動かないように!!」

 

 

今取り押さえている警官が応援を呼んだおかげですぐに他の警官も駆け付けた。そして怪我をしているのが俺だというのを警察側が理解すると、手当てと同時にこうなった経緯の説明を要求してきた。流石に全てを説明すると話が長くなり過ぎるから、細かい部分は省いて説明をしてから、今日の出来事に移った。

 

 

警官3「応急処置、終わりました。」

 

警官2「ご苦労。では今日彼と会ったのは全くの偶然であり、口論になった末に彼が刃物で襲いかかって来たと。」

 

八幡「はい。口論というよりも、向こう側の勝手な言い掛かりを返していたら、急にナイフを取り出して………警官が来てちょっと安心した隙に刺されました。」

 

警官2「成る程……分かりました、ご協力ありがとうございます。後日またご説明に上がると思われますが、今日は救急車に乗って手当を受けてもらってください。病院の救護班がここに到着するまで、暫く待っていてください。」

 

 

とりあえずは納得してもらったか………

 

 

柊「………」ポロポロ

 

 

柊は涙を流しながら俺の右腕にしがみついていた。頭を撫でて落ち着かせてやりたいところではあるが、左腕がこの状態だから動かせない。

 

 

八幡「雪ノ下さん、なんか巻き込んじゃってすみません。とばっちりでしたね………」

 

陽乃「それはいいけどさ、一体どういう事なのか説明してくれるよね?君の性格上、こんなトラブルを引き起こすような人間じゃないでしょ?」

 

八幡「本当は話す気なんてなかったんですけど、こうなってしまった以上は仕方ありません。お話します。それとこれは柊の話なので、俺が勝手に話していい内容ではありません。内容については他言無用でお願いします。例えそれが雪ノ下や親であってもです。」

 

陽乃「そんなに重大なんだね……うん、分かった。約束するわ。」

 

八幡「事の始まりは柊が小学生の頃です。」

 

 

柊と天之川の出会いから今に至るまでの話を俺の知りうる限りで説明した。雪ノ下さんにはいつもの飄々とした表情はなく、真剣な表情で聞いていた。

 

 

八幡「これが俺の知っている内容です。高校からの話は俺も立ち会っているので、事実です。」

 

陽乃「………比企谷君、その天之川君ってさ……自分の言葉や行動に一切疑いを持ってないタイプでしょ?しかももっとタチが悪いのは、それに対して善意しかない事。悪いなんて全く思ってない、違う?」

 

八幡「やっぱ分かりますか……その通りです。」

 

陽乃「君がさっき言い淀んだのはこの事だったんだね。確かにこんな事、誰かに言うなんて面白内容では無いね。うん、私も勉強しないとね。無闇に人にそういう事は聞いちゃいけないって。」

 

八幡「そう思ってくれて何よりです。」

 

陽乃「まぁ、まだ何かは隠しているとは思うけど、それは聞かないでおくね。その子を見て分かったわ、普通の人よりも遥かに重い何かの傷を心に負っている。事情を知らなかったから今までは少しだけ意地悪しちゃったけど、それを知っちゃうと意地悪なんて出来ないもんね。」

 

 

……少し意外だ。この人の場合、影響しない限りで揶揄ってくるのかと思ってだが………だがそうしてくれるのはありがたい。今の柊は不安定だ、好きにやらせておくのが1番効果がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。