御影side
柊「じゃあ八幡君、また明日来るから……」
八幡「おう、分かった。おじさんとおばさんもありがとうございます。わざわざ来てくれて。」
紫苑「いいのよこのくらい。私達にとっては仕事よりも貴方や娘達の方が大事なんだから。」
御影「そういう事だよ、じゃあ僕達も仕事の合間を見てなるべく来るようにするから。」
八幡「無理しなくても大丈夫ですよ。けどありがとうございます。それに雪ノ下さんも。」
陽乃「ううん、気にしなくていいよ。」
柊「じゃあね、八幡君。明日も学校の放課後になった時も絶対に来るからね。」
全く、我が娘ながら八幡君への依存度は並外れてるね。まぁ悪いとは言わないけどね。
ーーー車内ーーー
柊「お父さん、今回の件ってやっぱり大事になるのかな?」
御影「ニュースにはなるだろうね。けど世間が騒がしくなる事はないだろうね。なるとしても千葉県内のこの地域辺りだと思うよ。特に加害者側の学校や保護者にもマスコミが集中するだろうね。」
紫苑「裁判を開く可能性もあるわね。でもそれは相手側に弁護する弁護士が居るかどうかにもよるわ。ちゃんとした言い分があるのならまだしも、確実性の無い証言や虚偽や思い込みなんかの発言では裁判にもならないから。」
御影「けど、裁判の前に加害者の彼は今頃精神鑑定を受けているだろうね。」
柊「?精神鑑定って?」
陽乃「精神鑑定っていうのは、裁判所が訴訟当事者などの精神状態や責任能力を判断する為に精神科医などの鑑定人に対して命じる鑑定の事だよ。今回の事で言うと、彼はその時、比企谷君を刺した事についての責任を感じていたかどうか、とかね。」
柊「成る程………絶対ないですね。」
御影「即答する程なんだね……まぁでも、精神鑑定を受けて異常がある場合は、確実に少年院送りにされるとは思うよ。彼の場合はないと思うけど、悪くて死刑だからね。これは殺人になってない限りはない。彼にあり得るとすれば、無期懲役や数年の懲役だと思うよ。」
今回の場合だと、無期懲役になる可能性が高いかな。一応彼は暴行罪に加え銃刀所持に殺人未遂までやってしまってるわけだしね。懲役数年で終わる筈がない。
御影「兎に角、この事は学校にも報告が行くだろうね。柊がしなくても、逮捕した警察の取り調べを行なっている人達が在籍している学校を調べてそこに報告をすると思う。」
紫苑「はいはい、難しい話はこれでおしまいにしましょう?ほら、そろそろ陽乃ちゃんのお家も見えて来る頃よ。」
御影sideout
神田side
やれやれ、まさか俺も呼び出されるとはな………昼に坊主の治療をしたばかりだってのに、次はその坊主の腕を刺した奴の精神鑑定の様子を見て欲しいなんてよ………俺も暇じゃねぇんだけどな。
神田「千葉大学医学部附属病院院長の神田だ。精神科の○○先生と検察官からの応援要請で呼ばれた、取り次いでくれ。」
「は、はい!少々お待ち下さい!」
神田「人手が足りないわけじゃねぇってのに、なんで俺が呼ばれるんだ?いや、理由は1つしかねぇよな。そんなのは………」
ソイツの精神が「お待たせしました!」………
ーーー精神科・診察室前ーーー
「こちらです、今先生を「あぁ、大丈夫だ。もういいから仕事に戻んな。」は、はい……」
神田「邪魔するぞ〜……おーおーやってるね〜。」
医者「おぉ、神田先生!来て下さいましたか!」
検察「この人が?」
医者「はい、日本でも精神科においてはプロ中のプロとも言われている神田次矢先生です。お忙しい中来て頂きありがとうございます!」
神田「別にそれはいいけどよ、坊主を刺したガキってのはコイツか?」
天之川「っ!………」ギリギリ
医者「はい。検察官の方が色々事情を聞いた上での質疑応答をしていたのですが、答えに脈絡が無くて………【はい】か【いいえ】の答えに関しても、『自分は悪くない。』や『悪いのは比企谷。』、『洗脳を解こうとしただけ。』と無実を主張するばかりでして。」
神田「成る程な………診断書は?」
医者「コレです。」
………ほぉ〜、成る程なぁ………なら、今までにやった事のねぇ荒療治で行くか。
神田「検察官さんよ、コイツの思う正しい答えが返って来るまで、少し荒療治っていう方法を取ってもいいか?俺のやり方で色々と吐かせてやる。」
検察「えっ、まぁ構いませんが………」
神田「よし、言質は取ったぜ?後でそれ否定すんなよ?じゃあ始めるぜ………おい、今度は俺からの質問だ。坊主を刺した事についてどう思ってる?」
天之川「アイツが全部悪いからだ!!アイツがいたせいで俺はうっ!?」
医者/検察官「っ!?」
神田「おいおいおかしな答えが返ってきたなぁ?もう1度言うからちゃんと聞いておけよ?坊主を刺した事についてどう思ってるかって聞いてんだよ?次はビンタじゃ済まさねぇぞ?」
心の中でお前に言っておくぞガキ、俺の鑑定はそんじょそこらの奴とは違うぞ?俺はやるとしたら徹底的にやる主義だ、テメェやこの2人がなんと言うと、俺のやり方を曲げる気はねぇからな?
神田「さぁ、質問に答えてもらおうか。」