涼風side
八幡さんのご家族がお見舞いに来て下さり、この病室も少し賑やかになりました。最初のお父様の質問には驚かされましたが、特に気にしてはおりません。今は病室に備え付けられてある椅子かベッドの横に腰掛けているような状態です。(因みに私とお姉様がベッドで、ご家族の皆様が椅子に座っている状態です。)
小町「それにしても、お兄ちゃんも災難だったよね〜。去年入学式の日に事故に遭ったっていうのに、今年は腕を刺されたって………お兄ちゃんもしかしたら呪われてるんじゃないの?」
八幡「んな事言うんじゃねぇよ。今回のだって向こうから急に襲いかかってきたんだぞ?咄嗟に避けろなんて言われても無理だろ。」
比企谷母「そうよ小町、滅多な事を言うのはやめなさい。本当は恐ろしい事なんだから。」
小町「……はぁ〜い。」
比企谷母「それと八幡、何か欲しい物ってあるかしら?1週間だけの入院なのは聞いてるけど、何か無いかなぁって思ってたのよね。」
八幡「そうだな、柊と涼風にも言ったが、本があれば嬉しい。ゲームを用意してくれたとしても、この腕じゃあな………」
比企谷父「そうか……なら本と片手でも出来そうな何かを持ってくる。」
八幡「あぁ、頼むわ。」
柊「八幡君安心して!私は学校が終わったらすぐにこの病院のこの病室に直行するから!」
涼風「私もです!八幡さんが退屈しないように1分1秒でも早く駆け付けます!」
八幡「おう、ありがとな。道中には気をつけて来いよ?まぁ運転は宮間さん辺りがしてくれるだろうから問題ないとは思うけどよ。」
柊「分かってるって〜♪」
八幡「………なんか心配だ。」
ふふふっ、八幡さんもなんだかんだ言いながらお姉様が心配なのですね。ですがご安心下さい、お姉様は私が見ていますので。
コンコンコンッ
八幡「?どうぞ。」
御影「失礼するよ、八幡君。おや、貴方達は八幡君のご家族の方達ですね?初めまして、そこに居る柊と涼風の父です。八幡君には日頃から娘達の事でよくお世話になっています。」
紫苑「母です。娘達が八幡君の事でいつもお世話になっております。」
比企谷父「ど、どうも……八幡と小町の父親です。息子がお世話になっています。」
比企谷母「どうもご丁寧にありがとうございます。八幡の母です、こちらこそご迷惑をお掛けしております。」
御影「ご迷惑だなんてとんでもありません、八幡君は寧ろ私達家族の恩人です。彼には返し切れない程の恩がありますから。」
お父様はきっと中学時代の事を言っているのでしょう。あの頃は家庭崩壊までは行きませんでしたが、少しだけ雰囲気も悪かったですから。喧嘩をしていたわけではありませんが、どうしたら状況が良くなるかと皆で考えている内にあんな雰囲気になってしまいましたから。それを解決して下さった八幡さんは、本当の意味で私達家族の恩人なのですよね。
紫苑「夫の言う通りです。八幡君が居なければ、おそらく今の柊や私達は居ないでしょう。それ程までに八幡君が私達に与えて下さった影響というのは多大なものなのです。」
比企谷父「そ、そうなのですか。息子が………」
御影「えぇ。娘の柊も八幡君との恋人関係は解消したくないと言っていますので、とても良好な関係を築けていると思っています。それに我々家族全員、八幡君との関係を切るつもりは毛頭ございませんから。」
比企谷母(な、なんという高評価………ううん、八幡があの子を助けた時にした行動を考えればそれも頷けるけど、まさかあの子のご両親がここまで八幡を評価するなんて………)
比企谷父(八幡、お前一体何をしたらこんなにも高い評価を貰えるんだ?ベタ褒めってレベルを超えているぞ?我が息子ながら恐ろしい………)
小町(小町のお兄ちゃんって人からこんなに高評価もらえる人だったっけ?7月の時点で彼女が居るの知ってたけど、こんなに言われるの?お兄ちゃん、改めて言うけどポイント高いよ………)
御影「なので今後ともよろしくお願いします。」
比企谷父「あ、あぁはい。こちらこそよろしくお願いします。」
八幡「すみませんおじさん、おばさん。昨日の今日で来てもらって。」
御影「いいんだよ八幡君、だって僕達が来たくて来てるんだから。仕事も終わらせたし、後はこの後会社に戻って書類が残ってたら片付ける程度の仕事だからね。大した事はないよ。」
八幡「は、はぁ………」
涼風「お父様、お母様、お水でございます。」
紫苑「あら涼風、ありがとう。」
お仕事もある中でこうして時間を割いてお見舞いに来てくださっているのです、このくらいの事はさせて頂きます。それに今、お姉様は八幡さんにつきっきり(抱き着く)で忙しいみたいですから。
御影「昨日も来たけど、元気そうで何よりだよ。」
八幡「俺も寝込むかもって思ってましたけど、思った以上に元気です。」
紫苑「そう、良かったわ。けど無理して体調を崩さないようにするのよ?」
八幡「はい、分かりました。」
紫苑「それから柊、貴女は少し八幡君から離れなさい。貴女の事だからず〜っとその体勢だったのでしょう?八幡君の腕が痺れちゃうわよ。」
流石はお母様、お見通しですわ………