八幡side
おじさんと親父達が会ってから数分、漸く緊張が解けて少しずつ会話が弾むようになっていた。けどおじさん達は自分たちの正体を明かしてはいない。まだその辺の信用には至っていないって事か?それともただの悪戯心?どちらでもいいけど、やっぱおじさんって少しだけいい性格してるよな。新堂先輩の時もそうだったし。
柊「八幡君のご両親って外見あんまり八幡君に似てないね。お母さんの方は小町ちゃんと少しだけ似てるけど。そっくりなのはアホ毛だけ?」
八幡「唯一の遺伝はそれだろうな。それ以外に何があるのかと聞かれても、俺には答えられる自信がねぇ。生まれて17年間、親父とおふくろに似てるって思った事なんて1度もねぇしな。」
小町「お兄ちゃんってお父さん達と違ってめんどくさがりだもんね〜。」
八幡「それは認めるが、お前も親父達と違って頭悪いからな。」
小町「お兄ちゃん、傷抉らないでよ………因みに小町のどこが頭悪いっていうのさ?」
八幡「そのまんま学力の意味と、アホっぽい言葉を使う所。」
それ以外に何があると?まだあるかもしれないが、俺には分からん。
コンコンコンッ
?今度は誰だ?
八幡「どうぞ。」
???「失礼しま……お取り込み中でしたか?」
八幡「いえ、大丈夫ですけど………」
入って来たのは親父達よりも少し若いくらいの男性と女性だった。そしてもう1人、女の子もいた。
???「君が比企谷八幡君ですか?」
八幡「そうですが………どちら様ですか?」
???「私は天之川
???「母親の天之川
???「私は天之川
………天之川の家族も総出でご挨拶って訳か。しかしアイツの名前はこういう事だったのか。親からのキラキラネーム受け継いじゃってるよ。まぁ、受け継いでるのは名前だけのようだけど。
八幡「えっと……比企谷八幡です。」
輝幸「……今回こちらに来たのは息子の事でです。比企谷君、ウチの息子が大変ご迷惑をお掛けしました。私達の注意が足りなかったせいで大怪我を負わせてしまいました。それだけでなく、何度もご迷惑をお掛けしてしまった………謝ってどうにかなるものでもありませんが、この場で謝罪をさせてください。本当に申し訳ございませんでした。」
光輪「息子が本当にご迷惑をお掛けしました、重ねて謝罪致します。」
光香「っ!」ペコリッ!
天之川一家は俺に向かって頭を下げて来た。アイツのやった事をそれほど重く捉えていなければ、こんな真似は出来ない。どうやらアイツだけが異常だったみたいだな。
八幡「………頭を上げてください、俺は別にいいんです。俺は柊を守る為にやった事です。柊が無事ならこのくらいの傷、安いもんです。」
輝幸「柊………っ!という事は、この場にいらっしゃるのはその両家の親御さんかな?」
八幡「はい、そうです。」
すると今度は親父達の方へと向かい、再び頭を下げた。
輝幸「比企谷さん、並びに夜十神さん!この度は息子が多大なご迷惑をお掛けしました!本当に申し訳ございません!!」
御影「ま、まぁまぁ落ち着いて。君の誠意は伝わったから、一旦落ち着こう。僕達夜十神家は謝罪は受け入れるよ。けどね、僕達は今回娘には何1つしてあげられなかった。だからその謝罪はさっきしてくれた八幡君ので充分だよ。」
尚人「俺の方も夜十神さんと同じ意見です。全て息子が1人で行った事です。それに俺達比企谷家は事情しか知りませんので。」
凛「まぁ私達も八幡に謝って下さったのであれば、それで構わないという事です。」
輝幸「………ありがとうございます!!そしてこちらの入院費なのですが、我々の方で払わせて頂きます!せめてもの償いです。」
御影「本当にいいのかい?この病室、個室だから割と高いよ?」
輝幸「構いません。これで償い切れるとは言いませんが、このくらいはさせて下さい。」
……本当に
光輪「光輝の事ですが、私達天之川家は彼の弁護は一切致しません。あの子の行った事は1つ間違えれば殺人にも繋がっていました。あの子はしっかりと自分のやった事に向き合ってもらいます。それが私達に出来る事だと思っています。」
紫苑「……そうですか。そちらが決めた事なら私達からは何もいう事はありません。裁判にはご出席されるおつもりで?」
輝幸「?はい、そのつもりですが。」
八幡「でしたら、覚悟をしておいた方がいいと思います。きっと家と外のアイツはまるで別人だと思うので。所謂二面相ってヤツですよ。」
光香「お兄ちゃん………」
流石に妹の前でこの話はしない方がよかったか………もう少し気を使えばよかったな。
輝幸「長居してしまってはご家族とのお時間をお邪魔してしまいますので、私達はこれで失礼させて貰います。改めて今回の息子の不祥事、誠に申し訳ございませんでした。では、失礼致します。」
そう言って天之川さん達は病室から出て行った。短時間ではあるが、この病室に10人も人が入る事になるなんてな………
一気に親の名前を出しました。