俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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神田院長の調べ

 

 

神田side

 

 

天之川光輝の精神鑑定を受けた翌日、俺は奴の身元を調べる事にした。今現在、アイツについて分かっているのは千葉市立京葉高等学校の2年生で部活には入ってない。八重樫道場ってとこの門下生らしく、剣の腕は全国レベルをいくとかいかないとか。まぁレベルはどうでもいいとして、まず行くのは学校からだな。詳しい話を聞きたい。

 

だがその時は運悪く、学校も立て込んでいてそれどころではなかった。仕方なく学校の聞き込みは諦める事にした。次に向かったのは八重樫道場だ。天之川が通っているという道場だ。何か得られればいいとは思っていた。だが道場でも、鍛錬をしている時の様子なら分かるが、私生活の事までは分からないと言われた。人柄も特に問題はなかったという。

 

流石にこれ以上のことは聞き出せないと思って、俺も諦めかけた時だった………

 

 

雫「あの、光輝の事でしたら少しはお役に立てると思います。」

 

 

八重樫道場の道場主の娘さんから話を聞いた。どうやらその娘さんも過去に1つ苦い経験があるようだった。天之川関連でだ。その内容は伏せておくが、天之川に相談した所、事態を余計に悪化させた事があるらしい。当然天之川はその事を知らないし、気にも留めていなかったと話した。

 

 

雫「後は……そうですね、今の高校で同じクラスにいる男の子によく突っ掛かるんです。理由は……好きな女の子がその子ばかりに構うのが気に入らないんだと思います。何度も何度も………」

 

神田「ふむ……その事も詳しく教えてくれないか?覚えている範囲でいいから、その時発した言葉も教えてくれると非常に助かる。」

 

 

そして俺はその子から色々と教えてもらった。今の話だけに限らず、中学でも様々な自分勝手を押し通してきたらしい。その全てが人間関係だ。

 

だが本人はそれを理解しておらず、自分の行なった行為を善行だと思っているようだ。子供の悪戯ならまだ笑えただろう。だがここまでになってくると、流石に俺でも笑えねぇ………

 

 

俺はその話や過去にあった事をさらに詳しく聞きたかったから、その娘さんの友達を呼んで、話をしてもらう事にした。そしたら余計に話はリアルになった。他人の迷惑は考えねぇわ、自分勝手な事を言い出すわ、もっと努力しろだの何だの言うわで聞くだけでもウンザリする程だった。

 

 

結論から言うと、天之川の精神面はヤバい。どの辺がヤバいかというと、判断力や解決能力の面だ。もっと簡単に言うと精神障害者だ。

 

 

話を聞いている内に理解した。アイツはこれのせいで今まで何度も知らぬ間にやらかしてきたんだと。そして終わった後はそれすら見届けてねぇ、これは所謂放置ってヤツだ。

 

 

黒髪長髪のかわい子ちゃんが言ってたが、

 

 

香織『私がハジメ君と話してたら、天之川君が【香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。】って言ったんです。それで私がハジメ君と話したいから話してるだけって言ったら、【香織は優しいんだなぁ。】って言われて………私はただハジメ君とお話ししてるだけなのにって思いました。』

 

 

っていうのがあった。今のだと自分の言い分を否定してねぇし、かわい子ちゃんの優しい部分とハジメって男の甘えって部分を肯定してるって事にもなる。

 

他にもまだ言いたい所だが、今はこのくらいにしておこう。今は全てを語るべきじゃねぇしな。

 

 

畑山「そんな事が………」

 

神田「生徒を信用するのは大いに結構な事です。私も人の命を預かる身として、やる事は最大限やりますし、部下の事も信頼しています。しかし過剰な信用は時としては毒もしくは猛毒になります、自分自身のね。」

 

校長「……中々に貴重な事を聞かせて頂きました。神田院長、ありがとうございます。」

 

茅ヶ崎「私からもお礼を言わせてください。ありがとうございました、神田院長。」

 

神田「いやいや、教師でもないただの一介の医者が生意気を言いました。」

 

畑山「いえ、私も改めて教師とは何なのかを考えさせられました。」

 

 

………まぁ、この話が為になったってんのなら、それはそれでいいんだけどよ。俺にじゃなくて、その生徒さんにも感謝をしたいもんだ。時間割いてまでこんなおっさんに話し付き合ってくれたんだからな。まぁ、飯とか俺の奢りだったからイーブンだとは思ってるけどよ。

 

 

校長「我々も改めてその生徒から色々と聞かなければならなくなりました。生徒についてあまりにも無知過ぎた………改善していかなくてはならなくなった。そうだな、畑山先生?」

 

畑山「はい、校長!」

 

校長「茅ヶ崎校長、神田院長、そして比企谷君。急ぎで申し訳ないが、我々はこれで失礼させてもらう。急ぎやらなくてはならない事が見つかった。」

 

八幡「わ、分かりました。」

 

茅ヶ崎「では私も学校へ戻りましょう。学校の教師達にも君は元気に過ごせていると安心させなくてはなりませんからね。」

 

神田「では入口までお見送り致します。比企谷君、ではまた後でな。」

 

 

俺が話したからって訳でもないが、この影響で日本中の教育や指導に手が加わるだろうな。


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