俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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今日のお弁当

 

 

八幡side

 

 

ーーー校庭・自販機前ーーー

 

 

八幡「……やっぱ少しだけ冷えるな。まだ10月とはいえ、もうすぐ11月だしな。あったけぇマッ缶でも買うか。」

 

 

今は授業終わりの中休みだ。少し喉が渇いたからこうして校庭の自販機まで来て飲み物を買いに来たわけだ。教室の雰囲気は幾らかマシにはなった。三浦の奴も不機嫌なオーラを出さなくなった………のだが、三浦はグループからは距離を置いている。流石に今のグループ、というよりかは葉山に疑問を抱いているのだろう。途中から来たから聞いたところしか分からんが、アイツ…葉山は三浦に1つ嘘をついている。

 

修学旅行の時に海老名が誰とも付き合う気がないと気付いたと言っていたが、アイツはその前から気付いている。あの場で三浦が海老名さんに何も聞かなかった事は、葉山にとって九死に一生を得たも同義だろう。まぁ、アイツのグループの事なんてどうでもいいけどな。

 

 

八幡「まぁ、俺は柊と涼風と居られればそれでいいし、他は………平穏だな。」

 

 

まぁ、後者に関してはもう諦めてるけどな。

 

 

ーーー昼休み・2-Fーーー

 

 

柊「さぁ八幡君、今日のお弁当は新作メニューもあるから早く食べよっ!」

 

八幡「漸く食べられる……お前達の弁当は本当に美味いからな、朝から我慢してたから美味さも格別だろうな。楽しみだ。」

 

柊「それじゃあご開帳〜♪」

 

 

おぉ〜………ん?今日は米じゃない?ていうか、サンドイッチ?

 

 

涼風「今日は洋風に仕上げてみたんです。このサンドイッチは俗に言う、BLTサンドイッチで、BLTとはベーコン、レタス、トマトの英語の頭1文字を取ったものの略語です。それと今回は軽く焼いたパンを使ってます。」

 

柊「洋風だからこっちも少し変えてるんだ〜。」

 

 

具はハンバーグ、マッシュポテト、ツナのサラダ、アスパラや人参等を野菜をベーコンで巻いた食べ物、そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「スクランブルエッグがあるのに、卵焼きはやっぱり外せなかったんだな。」

 

柊「私の得意料理だもん♪」

 

八幡「……ん?この卵焼き、今日は何を使ってるんだ?ネギでもほうれん草でも鰹節でもないな。見た目に変わりはないのに、なんか香ばしい………」

 

柊「おっ、流石は八幡君!そこに目をつけられるなんて、私の事よく分かってる♪」

 

 

けど何だ?さっき言ったが、見た目に変化はない。だからネギとほうれん草は無し。鰹節も食べた事あるが、こんな匂いはしなかった。何だ?こんなに香ばしく卵焼きを仕上げられる食材って何だ?

 

 

涼風「では八幡さん、お箸をどうぞ。」

 

八幡「あぁ、サンキュー。じゃあこの卵焼きから食べてみる。気になるしな。じゃあ頂きます。」

 

柊「召し上がれ〜♪」

 

 

俺は卵焼きを1つ箸で摘み、口の中へと放り込んだ。すると口の中で甘くて香ばしい味が広がった。けどこの風味、何処かで………

 

 

八幡「っ!胡麻油か?」

 

柊「正解っ!卵を解いて砂糖、本だしを入れた後にごま油も追加してからまた混ぜる。それから焼き上げるの。だから手間を1つ加えさせただけなんだ。けどこんなに美味しく仕上がっちゃう!」

 

 

確かに美味い……

 

 

柊「成功だね、涼風!」

 

涼風「はい、お姉様。今日は洋風にして正解でした。最初は和食料理の卵焼きですけど。」

 

八幡「じゃあ次はサンドイッチだな。」

 

 

………うん、これも美味い。焼いたパンが良い仕事をしてくれている。挟まれているベーコン、トマトは歯応えが無い分、パンのサクサク感とレタスのシャキシャキ感がより際立っている。それに味付けもしっかりしてる。

 

 

八幡「これも美味い!サンドイッチは食べた事あるけど、BLTってこんな味なんだな。美味い。」

 

柊「ベーコンは特製のを使ってるし、トマトも酸っぱいのじゃなくて甘味のあるのを使ってるからね。レタスもシャキシャキしてるから美味しく出来てるはず♪私達も味見したから。」

 

八幡「朝と同じ料理を食べるのか?」

 

涼風「ご安心ください。食べたと言っても、私達が食べたのはコレの半分のサイズですので。ではお姉様、八幡さんからの好評も頂けましたし、私達も食べませんか?」

 

柊「そうだね。じやあ私達も、頂きま〜す♪」

 

涼風「頂きます。」

 

 

このハンバーグも冷めてるが美味い。これ手捏ねか?こんなのを食べられるなんてな………マッシュポテトも甘いのとしょっぱいのがちょうど良くマッチしてる。ベーコンで巻かれている野菜達も良い仕事してる。どれもこれも本当に美味い。少し満たされないかもって思ってたが、結構腹にずっしりくるメニューになってる。

 

それにクラスメイトの連中も弁当が気になるのか、遠目で俺たちの事を見てる。まぁそんな目で見てもやらないけどな。コレは俺と柊と涼風の3人の弁当だからな。

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

八幡「ご馳走さん、今日も美味かった。」

 

柊「お粗末様でした。お口にあって何より♪」

 

八幡「いや、本当に冗談抜きで美味かった。和食が得意なのは知ってたけど、こういうのも作れるんだな。見た事なかったから。」

 

涼風「勉強中ではありますが、こういう簡単なものでしたら作れますので。今はまだ凝った物は作れませんが。」

 

 

いや、充分過ぎる。俺の弁当なんかでそんな気合い入れなくてもいいぞ?自分達の為なら良いけどさ。

 

 

 

 

 


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