八幡side
御影「お帰り柊、涼風、八幡君も!早く身体を休めるといいよ。僕も今日は少し早く仕事が終わったからこうして3人が来るのを待ってたんだよ。いやぁ中々良いものだね、お出迎えをするというのも!」
………学校が終わったら普通は家に帰るのだが、俺は今日泊まる約束をしていたので、夜十神家に来ている。そしたら玄関にはおじさんが待っているではありませんか。宮間さんも少しだけ困ったような、嬉しいような顔してたし。けど今日来て思った事は、おじさんが俺に対しても『お帰り』という言葉を使った事だ。
この前までは『よく来てくれたね。』が普通だったのに………遂にそうなってしまったのか?
涼風「ありがとうございます、お父様。」
御影「そうそう!今日はまた良いのが手に入ってね。それをおやつに持っていくからね。」
宮間「旦那様、そのお役目は私が……「偶には君達が何をしているのかを知るのも大切だと思うから、少しだけ手伝わせてはもらえないかい?」………かしこまりました。」
柊「もしかして、また海外の人気スイーツとか?」
御影「ううん、今回は日本の。老舗高級レストランから良い値段で提供して貰ってね、今日の10時頃に届いたんだ。だから君達に食べさせようと思ってね。きっと気に入ると思うよ。」
俺はまた高級なものを食べさせれるのか………いや、もう気にするのも疲れるだけだな。
ーーー柊の部屋ーーー
八幡「この前のヴェリーヌもそうだったが、あの人は本当に色んな所から色んなのを仕入れるよな。しかもそれでいて売り上げを伸ばしてる。ホントすげぇよな。しかもその1部を無料で俺が食っちまってるっていう事実も。」
涼風「まぁお父様からすれば、八幡さんに何かしてあげたいのでしょう。そうでなければ、高級食材やスイーツ等は仕入れたりはしない筈ですから。」
柊「試しにお父さんに言ってみたら?『少し欲しい物があるんですけど〜。』って。」
八幡「いや、本当に無いんだよなぁ………」
涼風「簡単な物でもよろしいのですよ?例えばお父様が今から持って来てくださるスイーツとか、ちょっと食べてみたいと思った食材だったり、前から興味があった服や装飾品と様々ですから。」
八幡「………」
柊「本当に無いの、八幡君の欲しい物?」
八幡「あったら苦労はしてねぇよ……2人は無いのか?気になる物とか。」
柊「うぅ〜ん……私達も偶にしかお父さんに頼まないんだ。けど強いて挙げるなら洋服とかかな。それでも本当に欲しいって思った時だけだからね?」
涼風「そうですね。私達の欲しい物もその辺りのお店を探せばあるようなものばかりですので、お父様に言わなければ手に入らない物くらいしか頼みませんね。お父様はよく購入しているみたいなんですけど。」
結局、この姉妹も俺と同じような感じだというのは分かった。けどなぁ………このままこれが続くとまた次に何度言われるか分かったものじゃない、嘘でもいいから何か言ってみるか?いやでも嘘を言うのは気が引ける。
八幡「はぁ………どうしたもんかねぇ。」
コンコンッ ガチャッ
御影「入るよ〜、相変わらず仲が良いみたいで何よりだよ。はい、コレがさっき言ってたヤツね。」
柊「チョコケーキ?」
涼風「1番上はガナッシュ、真ん中の1番大きい層がムース、最後1番下がスポンジみたいですが、見ただけでも濃厚だと分かりますね。」
八幡「詳しいんだな。」
涼風「最近は洋食、洋菓子の勉強もしていますので。今私はチョコを使用する洋菓子の勉強をしていますので、多少の事は………1番上のガナッシュとは簡単に言うと生チョコレートです。北海道のお土産でよく知られている
いやいや、勉強してるにしてもガチじゃん。完読しちゃってますやん。知り尽くしちゃってんじゃないの?俺にはそう見えるぞ?
御影「あはは!涼風は凄いね、見ただけでよく分かったね。それに3段構造については全部正解だよ。コレ、このケーキを作ったレストランの名前ね。」
柊「えっと………伍島軒?」
八幡「聞いた事ない名前ですね………老舗って言ってましたけど、この辺りじゃないですよね?」
御影「うん。このケーキはね、函館で作られた名作なんだよ。現地ではとても有名なスイーツみたいでね、僕も食べてみたかったから頼んでみたんだよ。味の感想は3人にして貰ってから食べようと思ってるから、僕は感想を聞かせてもらおうかな。」
柊「なんか今日のお父さん、少しだけ賢いかも。」
涼風「はい。まさか私達に食べさせて感想を聞いてから食べるなんて………策士ですね。」
御影「悪だくみをしてるわけじゃないからね?」
八幡「けど、現地で有名って事は北海道の中でもかなり有名なんじゃないんですか?」
御影「まぁね。お土産としても使われる事が多いみたいだから、評判は良いんだと思うよ。」
………さっきの事は少し考えよう。今はこのケーキを食べてみるか。