俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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三文の徳

 

 

八幡side

 

 

夜十神家に泊まってその翌日。目覚めの良い朝とは裏腹に体を動かす事すら叶わないこの現状。何故なら、豊かな果実を持った黒髪ロングの美人姉妹が俺の腕に抱き着き、両足を俺の足に絡めて離さないからである。物凄く嬉しそうで幸せそうな表情を浮かべながら。今更ながら思うが、凄い密着度だ。

 

しかもだ、腕に抱き着いていると言ったがそれだけではない。ちゃんと絡めた後の腕は手を繋ぐまでしっかりとお後もよろしくしてある。流石だよね、しかも2人おんなじようにしてるんだからビックリだ。

 

 

八幡「さて、どうすっかなぁ………いつもは弁当作るから起きるのも早いって言ってたけど、今日は弁当も作らないし、早起きする理由無いからな………起きるまで待ち続けるしかねぇか?」

 

涼風「んんっ………」

 

 

涼風が少しだけ動いたから起きたのかと思ったが、どうやら違ったようだ。だが俺が様子を見た時、俺の目と鼻の先に涼風の顔があった。至近距離、と言っても過言ではないだろう。

 

 

涼風「すぅ……すぅ……」

 

 

柊が見てたら、嫉妬して自分も同じ事をしてくるだろうな……にしても姉妹だからか顔の形やら何までそっくりだ。似てない部分があるとすれば、声と髪質と目元だな。柊はサラサラの髪質でキリッとしたつり目が特徴的だ。一方で涼風はフワフワの髪質でちょっと優しそうな垂れ目をしている。声に関しては、柊がソプラノで涼風がメゾソプラノって所だな。

 

だがこうして目を瞑っていると、判断材料が髪しかない。だから見分ける事ができるが、何も無ければどうやって見分けりゃいいんだろうな?やっぱ性格とかか?

 

 

涼風「すぅ……ん、んんっ……あっ、八幡さん、おはようございます。」

 

八幡「おう、おはようさん。起きて早々で悪いんだが、少しだけ離れてもらえると助かる。体勢は構わないが、顔が近過ぎるしな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涼風「はっ!!!?も、もももも申し訳ございません!!!眠っていたとはいえ、こ、ここここのような!!!」

 

八幡「あぁいや、そんな気にすんなよ。寝てたんだから仕方ねぇって。」

 

 

それでも腕は離してくれないんですね。姉同様、こういう所はちゃっかりしてるなぁ………

 

 

八幡「いつも涼風の方が起きるの早いのか?」

 

涼風「は、はい。偶にお姉様が起きている時もありますが、大抵は私が先です。それに今日は余計に起きない日だと思われます。」

 

八幡「ん?何でだ?」

 

涼風「八幡さんという、お姉様を眠りにつかせるにはこれ以上にない程のアイテムがありますから。」

 

八幡「それはお前もじゃねぇの?」

 

涼風「………八幡さんは意地悪です///」

 

 

そう言って涼風は顔を赤くしながら、俺の肩に顔を埋めた。可愛い奴め………

 

 

八幡「悪い悪い、それでいつもは何時に起きてるんだ?因みに今は7時半だが。」

 

涼風「私は5時半に起きています。ですのでこんなに遅く起きたのは久しぶりですね。休日に起きる時間は大体7時くらいなので。」

 

八幡「それでも充分だと思うけどな。」

 

涼風「早起きは三文の徳と言うように、私は今3つの徳を得ています。1つは今日初めての挨拶を八幡さんに贈れた事、2つは今日初めての会話を八幡さんと交わせた事、3つは今日も八幡さんと仲良く出来ると感じている事、この3つです。」

 

 

全部俺なんですけど。お姉様の事も入れてやれよ、起きてたら飛び掛かってるぞ?

 

 

八幡「最後は別として、1つ目と2つ目は柊が知ったらどうなるか分かったもんじゃないぞ?」

 

涼風「ならこう言えばいいのです、『早い者勝ち』だと。その証拠に私はこうして八幡さんの温もりを堪能出来ているのですから♪それに対してお姉様は眠りながらです。この差はとても大きいです。」

 

八幡「起きてる方がその効果が大きく出ると?」

 

涼風「きっとお姉様は、起きたら八幡さんに甘えに行くと思いますが、私はお姉様の倍の時間八幡さんと過ごせていますから。」

 

 

ここまで強気な涼風も珍しい。ならもう少しだけ待ってみるか、柊が起きるのを。

 

 

ーーー15分後ーーー

 

 

柊「んんぅ〜………ふあぁぁ〜……あれ?八幡君起きてる〜?」

 

八幡「起きてるぞ、おはようさん。」

 

柊「んふふ〜おはよぉ〜八幡君〜♪八幡君あったかぁ〜い、良いにお〜い、抱き心地抜群〜♪」ギュー!

 

八幡「はいはいどうもね〜。」

 

柊「えへへへ〜♪」

 

涼風「お姉様、おはようございます。」

 

柊「うん、おはよう涼風………うん?涼風はやっぱり起きてたんだ?5分前くらいとか?」

 

八幡「いや、20分前くらい。」

 

柊「………八幡君、涼風に変な事されてない?」

 

八幡「お前は自分の妹を何だと思ってるんだ?心配すんな、何もされてねぇよ。」

 

涼風「ご安心下さいお姉様。八幡さんの仰る通り、私は何もしておりません。ただ、今日初めての八幡さんへの挨拶と会話は私が頂きましたが。」

 

柊「ちょっと涼風!?それ私がいつも言ってた事だよね!?どうして取っちゃうの!?」

 

涼風「……では早い者勝ちという事で。」

 

柊「ムキイイィィィィィ!!」

 

涼風「もう、お姉様。今のは軽い冗談ですから落ち着いて下さい。」

 

柊「その割には顔が少しだけ得意気なんだけど!ほんの少しドヤ顔しているように見えるんだけど!八幡君何とか言ってよ〜!」

 

 

その後は俺の両隣で口喧嘩になってもアレだから、腕を解放してもらって2人の頭を撫でる事で解決した。腕を離した事により、身体への密着度が高まったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 


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