八幡side
1日の学校が終わってしまった………はぁ、今日から部活かぁ。けど平塚先生に腕が回復するまでは休んでいいって休ませて貰ったんだ、一応それには報いないとな。念の為だが教えておこう。今日1日中三浦の奴はすげぇ機嫌が悪そうだった。話しかけに行こうにもその雰囲気が許さなかった。あの葉山でさえも、近付いて話し掛けても意味をなさなかった。それが放課後まで続いているわけだが、漸く三浦が居なくなってくれたおかげで気まずい雰囲気も無くなった。
今朝の事だが、恐らくは教室で修学旅行の告白の事を話していたんだろう。多分クラスはその話題で持ちきりだろう。その証拠に昼休みは周りの連中が葉山を観察するように見てやがったし。アイツ、これからどうするつもりなのかねぇ?
さて、俺も奉仕部に向かいますか。柊と涼風には部活があるから先に帰っていいと伝えてある。帰れるのであれば俺も帰りたいが、そうもいかない。
ーーー奉仕部ーーー
ガラガラッ
八幡「う〜っす。」
雪乃「あら、比企谷君。もう腕はいいの?」
八幡「あぁ、退院してからも休ませて貰ってたからな。順調に回復してるから、今日から俺も部活参加って事で。」
雪乃「分かったわ。けれど無茶はしないように。」
八幡「するつもりはねぇよ。それにしようとも思わん。俺はピンチヒッターだからな。」
雪乃「……そうだったわね。」
ガラガラッ
結衣「やっはろー……あっ、ヒッキー!」
八幡「おう。」
雪乃「こんにちは、由比ヶ浜さん。」
結衣「うん、やっはろーゆきのん!ヒッキー今日から部活に復帰するの?」
八幡「あぁ。」
結衣「そっかぁ……良かったね!」
いや、俺個人としては良くはないんだが………
八幡「んで、俺が居なかった時に依頼とか来たわけ?あぁ、一色のは抜いて。」
雪乃「いえ、一色さんの依頼だけだったから特に何もないわ。」
八幡「そうか……由比ヶ浜、お前ん所の金髪2人だが、あれ何とかならないのか?1人は私不機嫌ですよオーラだだ漏れの女王様に、1人は事ある毎に無関係の奴に協力してくれだの力を貸してほしいだの言ってくる厚かましさ100%の王子様だ。」
結衣「あははは………」
雪乃「私のクラスでも耳にしているわ。修学旅行の告白の事ね?」
八幡「あぁ。それで今日の朝に口論があったみたいでな、俺は別にどうでもよかったが、葉山の奴がまた俺にちょっかいかけてきてな。しかも挙げ句の果てには此処の名前まで使って来やがった。奉仕部の事はどうでもいいが、利用するように使われるのは我慢ならんからな。」
雪乃「………それは許せないわね。部長の私に何の相談も説明もなく、勝手に依頼を受理させようとするだなんて。」
結衣「でも、隼人君も優美子と仲直りしたくってやった事だし………」
雪乃「由比ヶ浜さん、これはそれ以前の問題よ。葉山君と三浦さんの事は置いておくにして、彼は比企谷君に奉仕部を通さずに依頼をしようとした。それが問題なのよ。」
八幡「幸い俺に決定権は無いし、やるやらないも決められる。だからその場で俺の立場を説明して、依頼は受けずに済んだ。もしかしたらだが、アイツまた奉仕部に来るかもな。」
雪乃「その時は追い返すまでよ。彼と話す事なんて何も無いわ。」
結衣「………」
雪ノ下の奴、ご立腹だなぁ………まぁ無理もない。自分のとこには何の相談もなしに勝手に依頼をさせようとしたんだからな。多分今回は幾ら由比ヶ浜が何かを言おうが応じる事はないだろうな。
雪乃「それと比企谷君。生徒会長の件だけれど、平塚先生から聞いたわ。貴方のおかげで解決出来たわ、ありがとう。」
八幡「聞く気なんてなかったが、奉仕部に依頼として舞い込んできた内容だ。聞かないわけにもいかなかったからな。それに何つーか、あの一色って奴………アイツがああなるのも頷けるわ。女の友達居なさそうだし。」
結衣「え?何で?良い子なのに。」
八幡「気付かないのか?アイツ先輩や男子には無駄に自分アピールをしてんだよ。俺もアイツに会って自己紹介をしてもらった時一目で分かった、『コイツならこんな事になっても不思議じゃない。』ってな。」
しかもアイツあざとい。先週の金曜日に校門の下駄箱前で猫撫で声で間伸びした口調で先輩って呼ばれたし。いや、やめて欲しいわ。ああいうの。
雪乃「私達の前でも最初はそうだったわね。ある程度面識のある人の前でならそれも許されるとは思うけれど、初対面の相手にあの態度は私も少しどうかと思ったわ。」
結衣「ヒッキーもゆきのんもバッサリ言うね。」
八幡「柊と涼風を見習ってほしいもんだ。あの2人がああいう態度を取ったところなんて見た事ねぇし、仕草もねぇ。」
雪乃「いえ、それはないと思うわ。」
結衣「うん、私もそう思う。」
………え?
結衣「だってヒッキーの前では2人共すっごい甘えてるじゃん!特にお姉さんの方!」
雪乃「そうね。一色さんのような感じではないけれど、比企谷君には甘えるような声を出したり、密着しているのは事実ね。」
八幡「そ、そうか………」
………次からは少し気を付けるか?