俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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夜十神の血

 

八幡side

 

 

八幡/柊/涼風「合同イベント?」

 

平塚「うむ。同じ千葉にある海浜総合高と総武高で、クリスマスイベントを開催したいという打診が来て、今の生徒会が動いている……のだが、1週間経っても進展が無い様子でな。会長の話では、向こうの生徒会はビジネス用語ばかりを頻発して、全く話について行けないそうなんだ。訳せば分かる部分もあるが、向こう側が何をしたいのかさっぱりだそうなんだ。」

 

八幡「そんな生徒会でよくこんなイベントやろうと思いましたね。先が思いやられますよ?」

 

平塚「君の言いたい事も分かる。だからどうだろう、君達も少しでいいから協力してはもらえないだろうか?勿論、都合が悪ければこの話は蹴ってもらっても構わない。君達の関係は知ってるからね。無理に引き剥がすような事はしないさ。」

 

 

平塚先生はこう言ってるが、正直俺にはこのイベントに参加するメリットが無い。別に向こうの生徒会と交流を持ちたいわけでも無いし、一緒に盛り上げていこうなんて気持ちも無い。それなら柊達と放課後を過ごしていた方がマシだ。

 

 

柊「ねぇ、今日だけ覗いて行かない?」

 

八幡「え?」

 

涼風「お、お姉様?」

 

柊「大丈夫、覗いて行くだけだから!口出しなんてしないし、ただ会議の様子を見守るだけ。どんな感じなのかも気になるしね。」

 

八幡「……じゃあ覗いてくか。先生、参加はしませんが覗くだけっていいですか?」

 

平塚「出来れば参加して欲しいのだが、こちらから頼んだ事だし構わんさ。ただし、本当に口出しはしないように頼むぞ。簡単に言うと、君達は審査役みたいな立場でいてほしい。」

 

涼風「審査役……成る程。」

 

平塚「君達からの目線も欲しい。本牧からは私から言っておく。では、頼んだ。」

 

 

ーーー文化センター前ーーー

 

 

本牧「君達が平塚先生の言ってた審査役?」

 

八幡「まぁ、そんなもんだ。俺達からは一切口出しはしない。見ているだけだ。」

 

本牧「出来れば参加して欲しかったんだけど、居てくれるだけでもありがたいよ。あの空気、というよりもあの会話がずっと続くと思うと少し気が滅入りそうなんだ。発足して間もないのに、そのうえアレではまともな連携ができるとは思えないのに………」

 

 

ほう、ちゃんと周りは見えているようだな。確かに本牧の言う通りだな。たった1ヶ月しか経ってない生徒会に一体何を求めているのやら。

 

 

涼風「まぁ、私達も皆さんのフォローくらいは致します。口出しはしませんが、お手伝いをする事くらいはしますので。」

 

柊「そうね、そのくらいなら手伝うわ。」

 

本牧「ありがとう。じゃあ場所まで案内するよ、ついてきて。」

 

 

ーーー会議室ーーー

 

 

会議室へと着いたのはいいのだが、中には仲良さそうに話している海浜の連中が居た。その中には折本もいたが、俺達は別にどうでもいいから無視をした。

 

 

???「おや、その3人はニューフェイスかい?大歓迎だよ、僕は海浜総合の生徒会長の玉縄。お互いにリスペクト出来るパートナーシップを築いてシナジー効果を生んでいけたらいいと思っている。よろしく。」

 

 

………本牧、お前の言ってた事がよく分かった。これマジで滅入るわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時間は進み、会議も進………む訳ではなく、停滞して進歩のないままだった。両サイドにいる柊と涼風も向こうの言っている事を理解出来てはいるのだろう。でなければこんな不愉快そうな顔はしない。

 

それとアイツ等は一々縦文字を横文字にしないと気が済まないのか?精神的で良いだろ、共同体や地域社会でいいだろ、何だよマインドって?何だコミュニティって?聞いてて腹が立ってくる。言ってる事は間違ってないが、言語の使い方が下手くそ過ぎる。カタカナ言えば良いってもんじゃねぇぞ。

 

 

特にあの会長は言ってる事がメチャクチャだ。そしてあれよこれよと向こう側が盛り上がって話をしている内に時間になってしまった。

 

 

玉縄「皆お疲れ様。君達も初日で疲れただろう。今日はクールダウンしてまた明日フレッシュに「来ないわよ。」来て……え?」

 

柊「私達3人は今日だけこの会議に参加させてもらう事になってるの、条件付きでね。その条件は言わないけど、貴方達は本当にこのイベントを達成したいって思ってるの?」

 

玉縄「当然だよ、だからこうして皆で会議をしてるんじゃないか。

 

「俺も会長にアグリーさ!」

 

柊「そう?私の知ってる会議は、無意味にビジネス用語を連発して停滞したままお喋りするようなものじゃないんだけど?それと貴方、さっきアグリーって言ったよね?賛成でいいじゃない、何でそう言うの?」

 

「そ、それは………」

 

柊「貴方も、貴方も、マインドじゃなくて精神の方が分かりやすいわよね?コミュニティのよりも地域社会の方が伝わりやすいよね?特に酷いのが貴方、ロジカルシンキングで論理的に考える。お客様目線でカスタマーサイドに立つ………意味分かってる?ロジカルシンキングは論理的思考または論理的な考え方って意味。カスタマーサイドはお客様目線って意味。貴方がさっき会議で言った事を訳すると、論理的思考で論理的に考える。お客様目線でお客様の立場に立つ。同じ事を2回やろうとしてる上に、お客様相手に自分もお客のように相手をするって意味、私の言ってる事分かる?」

 

『………』

 

柊「アウトソーシングもメソッドもスキームもバッファもどれもこれも無駄に使い過ぎ。会議ごっこなら他所でやって。本当に達成したいって気持ちがあるのなら、こんないい加減な会議にはならないわ。結論と総評、話にならない。」

 

 

柊が真正面切って海浜生徒会に想いをぶつけた。余程イライラが溜まってたんだろうな。まぁ、少しだけフォローしとくか。

 

 

八幡「俺の言いたい事も柊が言ってくれた訳だが、1つアドバイスだ。俺達は高校生だ、幾ら背伸びしたとしてもそれはただの猿真似だ。高校生らしい会議って何なのかをよく考えろ。伝わらない言葉繋げるよりも、意見と意見合わせてやった方が良いに決まってる。まっ、時間がどのくらい残ってんのか知らんから、それができるのかどうかも分からんけどな。んじゃ俺達は行くわ、お疲れさん。」

 

 

………今日は柊の頭を目一杯撫でてやろう。涼風が羨ましそうにしてたら涼風も。

 

 

 

 


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