俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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冬休みの予定

 

 

八幡side

 

 

俺達があの酷い会議に参加してから3日が経った。柊の棘……いや、刃物のような言葉が海浜生徒会に炸裂したその翌日からまともな会議が出来るようになったと、ウチの生徒会長の本牧から聞いた。まぁ、俺達にとってはもう終わった事だから別にどうでもいいんだけどな。

 

またこの前の会議みたいな事になってなくてよかった。もし変化が無かったら、イベント開催どころではなかっただろう。これも柊の容赦のない言葉のおかげだな、うん。

 

 

そして12月といえば、冬季休暇もある。所謂冬休みというヤツだ。もうすぐ冬休みに入るからって理由なのか、クラスの連中とかはテンションが高くなっている。その気持ちは分からなくもないが、そんなに騒ぐ事か?俺はそうは思わないけどなぁ………

 

 

だが、今年の夏休み同様に、俺の予定にも冬のイベントが組み込まれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「別荘で療養?」

 

柊「うん。お父さんがね、今年は色々あったからお父さんの所有している別荘に行って英気を養おうって話になったんだ。」

 

八幡「ほぉ〜……良いんじゃねぇか?色々あったってのは間違いじゃねぇしな。」

 

涼風「……八幡さんもご一緒しませんか?」

 

八幡「え、俺も?」

 

涼風「はい。行くのなら八幡さんも誘ってみてはというお話になったので、お誘いしようと思ってたんです。それで、八幡さんもご一緒に如何でしょうか?お父様が所有されていますので、旅費等は掛かりませんので。」

 

 

ふむ、中々に魅力的だな。だがこのまま鵜呑みにして行かせてもらってもいいのだろうか?だって夏休みの時は北海道旅行だぞ?しかも俺が行く行かない関係なしに飛行機の予約まで取ってだ。流石にされっぱなしな気がしなくもないんだが………

 

 

柊「八幡君が今考えている事だけど、そんなの気にしなくていいよ。お父さんもお母さんも八幡君だから誘ってるんだから。八幡君以外の人を誘う気なんてないんだよ?だから何かしなきゃとか考えなくていいんだからね?

 

八幡「……本当に心の中を覗き見されたようだ。けどまぁ、分かった。それなら行かせてもらうわ。そんで、場所って何処なんだ?この辺なのか?」

 

柊「ううん、場所は滋賀県にある伊吹山って山の麓に別荘があるの。そこで泊まる予定なんだ。琵琶湖も眺められる良い所なんだよ。」

 

涼風「それに伊吹山から取れる水はとても清く澄んでいるのが特徴で霊水としても有名なんですよ。伊吹山も霊峰で有名ですから、エネルギーも沢山ありますし。」

 

八幡「そんな所に別荘を………」

 

柊「私達も一昨年行ってるけど、やっぱり山の中だから空気が美味しいんだ〜。あの場所で深呼吸したら、肺の中の空気もぜ〜んぶ洗われていくような気分になるんだ♪別に千葉の空気が悪いって言ってるわけじゃないけど、そのくらい違うんだ。」

 

 

いやそりゃそうだよ。霊峰だよ?よくは知らないが、パワースポットなのは間違いないでしょ。そんな場所と千葉の空気を一緒にするなよ………流石に違うって。

 

 

八幡「それで、いつ行くんだ?決まってるのか?」

 

涼風「はい、年末2日前から年始の2日後の計4日間で、4泊5日の予定です。」

 

八幡「ん、分かった。俺も親に伝えとく。今年は滋賀で年越し迎えるって。」

 

柊「それだと分からないよ?」

 

八幡「まぁ……いいんじゃね?」

 

涼風「八幡さんが偶に適当になる時がありますが、少しだけそのタイミングが分かった気がします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涼風「そういえば、八幡さんはお家の都合は大丈夫なのですか?私達はその予定を何も聞かずに旅行のお話をしてしまったのですが………」

 

八幡「別に?俺の場合、家に残る方が多かったからな。だから新しいパターンだと思うぞ、俺が出かけて家族が残るっていうのは。あむっ………」モグモグ

 

涼風「その発言は些か問題だと思われますが、八幡さんが気にしておられないようなので、私からは何も言いません。はむっ………」モキュモキュ

 

柊「んっ……でも確かに八幡君、私たちのお誘いを断った事ないよね?家では本当に何もする事ないの?旅行とか家族イベントとかさ。」

 

八幡「んー……んっ、俺の両親共働きだからな。そういうのあんま無いんだ。あったらしてると思うけど、もう高校2年生と中学3年生の息子と娘だぞ?今更そういうのをやってもって思ってたりするんじゃないか?おじさん達はそれをやるのが当たり前だと思ってやってるから違和感は無いだろうけどな。」

 

涼風「では、今までにそういった事は全く無かった、という事ですか?」

 

八幡「まぁそうだな。ある時はあったかもしれんが、記憶の中から完全にバイバイされてる。あむっ………」モグモグ

 

柊「八幡君はそういうのされたいって思った?」

 

八幡「いや?俺はこれが当然だから思った事は1度も無いな。まぁ今でこそ小町も中学生だから気にしなくなったが、小学生の頃は早く帰ってやらないと小町の奴が不安がるからって理由で早く帰ってたからな。」

 

柊/涼風「………」

 

柊「八幡君。この旅行、絶対楽しもうね。」

 

八幡「ん?あぁ、そうだな。」

 

涼風「きっと楽しい思い出にしましょう。」

 

八幡「お、おう……どした急に?」

 

柊「でもやっぱりお父さん達には知らせておいた方がいいよね?私達だけじゃ……」ボソボソ

 

涼風「そうですね、皆さんの協力も不可欠です。頑張らなくては。」ボソボソ

 

 

なんか今度は2人で話し始めた。え、コレ慰安旅行なんだよな?

 

 

 

 

 


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