俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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お弁当

 

 

八幡side

 

 

………気が付けば夜が明けて朝になっていた。どうやらあの後そのまま寝てしまったらしい。しかし、布団も掛けず枕も使わずでよく平気でいられたものだ。今は冬だってのに………パソコンの電源が落ちてる。きっと誰かがシャットダウンしてくれたんだろう。多分宮間さんだろうな、後でお礼言っておこう。

 

しかし、パソコンを切ってくれたのなら、そのまま俺の事も起こして欲しかったものだ。そしたらこんな寒い思いをせずに………そういや寒くないな、何も掛けてないのに。室内の温度も変えてくれたのだろう、風邪も引いてないし熱もない。それに体調も悪くない、それどころか良い方だ。

 

 

八幡「昨日何時に寝たのかは覚えてないが、早寝には間違いないだろう。早寝をしたからか、起き時間もそれなりに早いな……今の時間なら外もまだ日が昇ってない。」

 

 

こういう時って何したらいいか分かんないんだよなぁ………隣の2人もってアレ?居ない………

 

 

八幡「自分の寝室に戻ったか?いや、柊がそんな事をするとは思えない。それにだ、涼風もなんだかんだ言って俺と一緒に寝たがる。だから朝から居ないのは何でだ?よく分からんが2人が居ない朝って物凄い違和感だな。取り敢えず起きて着替えるか、2度寝する時間でもないしな。」

 

 

それに喉が渇いた、水を貰おう。

 

 

ーーー居間ーーー

 

 

八幡「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涼風『お姉様、こっちは終わりました。後はおかずをもう1品作れば私は終わりです。』

 

柊『オッケー♪私の方も後1つだから丁度だよ。』

 

 

……目の前には料理をしている柊と涼風が居た。マジか、まさかこんな朝早くから朝飯の準備しているとは………っ!いや、違う。これは弁当だ……側に置いてある重箱が何よりの証拠だ。まさか俺が起きるもっと前に起きて準備をしていたとは………

 

 

宮間「これはこれは若様、おはようございます。昨晩はごゆっくり出来ましたか?」

 

八幡「宮間さん、おはようございます。それと、パソコンや部屋の温度の設定とか、色々とありがとうございました。おかげで電気代も無駄にならずに済みましたし、風邪も引かずに済みました。」

 

宮間「おや、気付いておいででしたか……礼には及びません。若様の事は旦那様から伺っております。我々も若様の悲願成就の為、微力ではありますが全力でお手伝いいたしましょう。」

 

八幡「ありがとうございます、俺個人でやっている事なのに。それで、柊と涼風って毎朝こんな感じなんですか?」

 

宮間「より正確には月曜日から金曜日、ですね。平日はお嬢様方や若様の学校がある日である以前に、お嬢様方が気合を入れる日でもあるのです。その理由は………若様、貴方様に美味しいと言ってもらえるようなお弁当を作る為に。」

 

 

道理で………しかもキッチンを見たらもっと驚きだ。冷凍食品を一切使ってない。つまり全て自分達の手作りで、1から作ってるって事だ。冷凍食品ならただ突っ込めばそれで終わりだろう。だが柊と涼風の料理は全て最初から、1から作られている。

 

 

宮間「私は1度、柊お嬢様に問いました。何故全て手作りなのかと。すると柊お嬢様がさも当然かのように答えて下さりました。『八幡君に美味しいって言って貰いたいから、頑張れるんだ!』っと。それもとても嬉しそうに言うのです。それから毎朝、私はお2人の調理姿を目にしますが、とても楽しそうに調理をされています。飽きたような表情を見せた事は1度もございません。」

 

 

………

 

 

八幡「いつも特に何も考えずに食べてましたけど、それじゃダメですね。もっと感謝して食べないと。」

 

宮間「若様ならそう仰ると思いました。ですが若様のその想い、お嬢様方には届いておられるかと思われます。」

 

八幡「え?それって『完成〜♪今日こそは全部食べられるようにしないとね!』っ!」

 

 

涼風『そうですね。今日からは家庭科室で食べましょうか?入り方なら知ってますし。』

 

柊『そうだね、その方が良いかも。八幡君も理由を言えば納得してくれると思うしね。』

 

涼風『今日のお弁当も美味しいと言って下さると嬉しいですね、お姉様。』

 

柊『だね〜。けど八幡君って顔にもよく表れるから分かりやすいんだよね。でも言葉で言ってくれるのも嬉しいよね♪』

 

涼風『はい、お姉様。』

 

 

八幡「………」

 

宮間「若様、若様の想いは言わずともお嬢様方には届いておられます。なのでご安心なされてください。無理に答えずとも、若様とお嬢様方ならば心で通じ合っていると、この宮間はそう思います。」

 

八幡「………そうですね、宮間さんの言う通りかもしれません。」

 

宮間「いえ、出過ぎた真似をいたしました。」

 

八幡「いや、全然。寧ろ気持ちの整理が出来ました。ありがとうございます。」

 

宮間「勿体無いお言葉です。」

 

 

無理に答えなくても心で通じ合ってる、か………

 

 

柊「あれ、八幡君?どうしたのこんな朝早くに?」

 

八幡「いや、喉が渇いたから水を飲みに来たんだ。そしたら楽しそうに料理してるのを見て邪魔したら悪いと思ってな。」

 

涼風「そんな事ありません、私達が八幡さんを邪魔に思う筈がありません。」

 

柊「八幡君、今日のお弁当は楽しみにしててね!昨日食べれなかった分、今日は倍以上に美味しく仕上げてるから!!」

 

 

あぁ………本当、楽しみだ。

 

 

 

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