俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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12月23日

 

 

柊side

 

 

今日は12月の23日………所謂クリスマスイヴの前日。そして冬休みが始まる3日前、何だか実感が全く湧かない。最近、というよりも1週間前の出来事がまだちょっと残っているのかも。今は教室で八幡君と涼風の3人でお昼ご飯を食べてるんだけど、八幡君から今日の事を聞いているから落ち着かないのかも。

 

そう、今日は八幡君がネットで集めたあの人達の情報を張り出す日。明日になったら学校中にあの3人の実際に投稿した内容が全校生徒、そして全教師に知れ渡る事になる。因果応報って言葉があるけど、あの人達のした行いの報いが明日になって表れるんだよね。

 

 

八幡「今日も美味いな……冷めても美味いってやっぱり最高だわ。」

 

柊「そう?八幡君の為に作ってるからね〜♪でも明日はもっと凄いかもよ?なんて言ったってクリスマスイヴだからね〜その次はクリスマスだしね!」

 

涼風「お姉様、ご自身でハードルを上げるのは結構ですが、用意出来なくなったなんて言わないで下さいね?私は堅実に行きますからね?」

 

柊「えぇ〜涼風も協力してよ〜、ね?」

 

涼風「八幡さんやお父様達の為ならば致し方ありませんが、違う理由であればお断りしますからね?」

 

柊「分かってるって!じゃあ今日は食材買いに行こっ♪頑張らないとだからねっ!」

 

涼風「……ふふっ、はい。」

 

 

明日はどんな風にお弁当作ろうかなぁ〜?やっぱりクリスマス風にした方が喜ぶかな?それともいつも通りの方が受け良いかな?うぅん、八幡君はどっち派なんだろう?

 

 

ーーー放課後ーーー

 

 

柊「それで、いつ張り出すの?」

 

八幡「明日の朝早くだ。こんな時期でも朝練やってる部活もあるからな、それを利用する。その時間に合わせて学校に行って張り出しをする。」

 

涼風「ですが、明日の朝に部活動の朝練があるとは限らないのでは?」

 

八幡「大丈夫だ。戸塚に聞いたら、野球部は毎週同じ曜日に朝練してるって教えてくれた。だから学校は問題なく開いているって事だ。それにその間は顧問の先生は居ても、朝練を入れてない部活動の先生や生徒は居ない筈だしな。そして野球部が練習している場所はグラウンドだ。」

 

柊「余程の事がない限りは、八幡君がやったってバレる可能性は低いって事だね。そしてそのヘイトが行きやすいのは………野球部って事になるのかぁ。」

 

八幡「野球部の連中には悪いが、今回は囮になってもらう。まぁあの3人は俺だって言うかもしれんが、考えてもみろ。普通の生徒が、それも文系の部活に所属している俺が5時や6時に学校に行くなんて不自然極まりないしな。理由なんて幾らでも思いつく。」

 

涼風「八幡さんも存外、お人が悪いですね。」

 

八幡「俺は俺の大切な奴を傷付けられるのが嫌いでな、その為の報復なら喜んでしてやるよ。」

 

 

八幡君………

 

 

八幡「それに、張り出すのは1番人の行き来が激しい廊下の掲示板にする。学校中に貼るのはリスクがデカ過ぎる。生徒が頻繁に通る廊下に貼っておいた方が通る生徒の興味を買いやすいしな。特にそれが噂好きな奴だったり、クラス内で影響の大きい奴なら尚更な。」

 

柊「成る程〜……確かに校内全部回ってたら疲れちゃうし、可能性が低くても先生に遭遇しちゃうかもしれないしね。なら1番目立つ所に貼って後は撤収ってわけだね!」

 

八幡「その通り。画鋲なんてその辺で買えば幾らでも手に入るし問題ない。」

 

涼風「八幡さん、もしよろしければ使いの者を出しましょうか?朝早くは冷えるでしょう、よろしければお車を手配しますが?」

 

八幡「ありがたいがやめておいた方がいい。校門まで走らせたら1発でお前等か俺ってバレる。近くに止めるのもダメだ、1ヶ月も車登校してたんだから即バレだろう。まぁ気持ちだけ受け取っておく。」

 

柊「八幡君、その作業私も行っていいかな?八幡君1人だと周りにも気を使うでしょ?だったら私も「ありがたいがそれもダメだ。」え……な、何で?」

 

八幡「お前がついて来たら、明日の卵焼き食えなくなるだろ。お前の作る卵焼きが無かったら、1日乗り越えられる気がしねぇよ。だから柊は涼風と一緒に弁当作っといてくれよ。昼飯の時も言ってたけど、凄いかもしれないんだろ?俺はその凄い昼飯に期待してんだからよ。」

 

柊「八幡君………」

 

八幡「だから明日も頼むぞ?めっちゃ美味い弁当、期待してるからよ。早起きして神経使いながら作業した時の疲れも吹き飛ぶような弁当を頼む。」

 

 

………正直に言うと、私は八幡君が心配だった。もし何かあったらって思うと、自分も一緒にって無意識に思ってた。でも八幡君はお弁当を作って欲しいって言ってくれた。でも私には分かる、それは半分本音で半分嘘。その嘘は私達に被害が及ばないようにする為。何があっても自分だけの責任にするようにする為だと思う。

 

 

柊「……うん、分かった。じゃあ明日は疲れも取れるようなうんっと美味しいお弁当にしないとっ!今から腕が鳴るよ〜……ねっ、涼風♪」

 

 

だから私も、自分に出来る最大限のサポートを八幡君に一生懸命しなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 


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