俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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広がる噂

 

 

柊side

 

 

何だか緊張するなぁ〜……私達が何かしたってわけじゃないけど、八幡君がこの1週間で準備した物がどんな効果をもたらすのかと思うと、ちょっとソワソワしちゃう。その理由は今朝、八幡君が学校に行ってあの3人のSNS投稿の貼り出しをしたから。

 

今私達は車で八幡君の家に向かってるけど、少しだけ遅めに向かってもらってる。八幡君にも休む時間が必要だと思ったから。あっ、車が停まった。着いたみたい♪

 

 

宮間「お嬢様方、ご到着しました。」

 

涼風「ありがとうございます、宮間さん。」

 

柊「いつもありがとうございます。」

 

宮間「いえ、このくらいなんて事はございません。若様はまだ屋内でしょうか………お呼びしましょうか?」

 

涼風「いえ、結構です。八幡さんは今日までずっとご多忙だったのです、少しはのんびりする時間を差し上げてもバチは当たりません。」

 

宮間「かしこまりました。」

 

 

ガチャッ

 

 

八幡「おはよう、柊に涼風。宮間さんもおはようございます。」

 

柊「おはよう八幡君、朝からご苦労様!」

 

涼風「おはようございます、八幡さん。」

 

宮間「おはようございます、若様。早朝からご苦労様でした。さっ、お乗り下さい。途中までお送りしましょう。」

 

八幡「すみません、お願いします。」

 

 

ーーー車内ーーー

 

 

柊「どうなってるかな、学校は?」

 

八幡「見てる奴がいれば、それで大騒ぎになってるだろう。まぁ恐らく、教師が対応してる可能性は低いだろう。朝は職員会議とかで廊下をウロウロする教師は殆ど居ないだろうからな。だから教師が知るタイミングとしては、朝早く来て確認をする時か、生徒に聞くかくらいしかないだろう。」

 

涼風「几帳面な方でしたら、掲示物が増えただけでも分かりますからね。」

 

柊「それでもやっぱり生徒の間でどれだけ広まっているかが鍵?」

 

八幡「まっ、そうなるな。」

 

 

八幡君は生徒間での広まりを狙ってるみたい。教師だとすぐに外すと思ってるからかな?でも高校生が掲示物を凝視するとはあまり思えないんだよね〜。

 

そして宮間さんが運転してた車は総武高の近くにあるコンビニ前の信号で停まったから、そこから徒歩で向かう事にした。

 

 

八幡(2人にはおじさんが教育委員会にもSNSの投稿を匿名で提出したとは、言わない方がいいな。)

 

 

ーーー校内ーーー

 

 

私達が校舎に入って3年生の廊下を見てみると、かなりの生徒の人だかりが出来ていた。きっと八幡君の貼った3人の投稿が話題になってるみたい。

 

 

八幡「3年の受けは良いみたいだな。さて、じゃあ次は俺達2年だな。」

 

涼風「凄い人ですね。受験前でお忙しいと思っていましたが、やはりこういった話題には食い付くのでしょう。」

 

柊「ホント、今来た3年生も何があったのか聞きに行ってるしね。八幡君のパワー凄い………」

 

八幡「俺のパワーじゃねぇだろ。ほら、2階に上がるぞ。もしかしたら此処よりももっと酷い状況かもしれないんだしな。」

 

 

それを実現させたの、八幡君だよ?

 

 

ーーー2階(2年生廊下)ーーー

 

 

「なぁ、掲示板見た?」

 

「見た見た!アレヤバいよな………」

 

「幾ら本当の事だったとしても、アレは無いわ。」

 

 

「なんかすっごい幻滅……あんな人だとは思わなかった。」

 

「うん、ちょっと口の悪い所はあったけど、あんな事書くなんて思ってなかった。」

 

「だよね〜……人の悪口も書いてたしね……」

 

「後、バイト先や学校のもね〜………」

 

 

………八幡君の言ってた通り、下よりも酷い事になってた。きっと私達のクラスでも凄い事になってるに違いない。それに、あの3人は私達よりも登校してくるタイミングが遅いから、この騒動が自分達であるという事なんて、最初は気付かないと思う。

 

 

八幡「想像以上だな………まぁ当然だが。」

 

涼風「お友達同士で集まってコソコソ言ってる方達も居ますね、これも八幡さんには想像通りの展開ですか?」

 

八幡「概ねな。」

 

柊「学校中、あの3人の噂で絶えないだろうね。これをあの3人が知ったらどんな反応するんだろう?投稿のペンネームだって知ってる方からすれば、違うと言ったとしても嘘だというのはすぐに気付きますしね。」

 

八幡「言い訳はするだろうが、全部無駄に終わるだろうな。それに、アイツ等には後ろ盾が何もない。頼れるのは自分達しか居ないからどうしようもないだろうな」

 

 

私達が遠巻きに全体を見ていると教室に辿り着いた。入ると、やはりあの3人の話題だった。しかも3人の席を遠ざけるように距離を取りながら話していた。まだ来ていないけど。

 

 

八幡「(……やっぱ見てやがるな。)2人共、少しだけ席を外す。多分大丈夫だとは思うが、何かあったらすぐに呼べ。」

 

柊「うん、分かった。」

 

涼風「かしこまりました。」

 

 

柊sideout

 

八幡side

 

 

ーーー廊下ーーー

 

 

八幡「………」

 

葉山「………」

 

八幡「聞きたい事があるんじゃないのか?」

 

葉山「……否定するわけじゃないが言わせてくれ、あまりにもやり過ぎじゃないか?」

 

八幡「たかが床掃除で許せってか?俺は自分の彼女とその妹が作ってくれた弁当を台無しにされたのをその程度で許してやる程、心は広くねぇよ。ただの掃除で俺の気が晴れるとでも?冗談だろ。お礼参りと一緒だ。」

 

葉山「………君との約束だ、俺は彼女達を擁護したりはしない。」

 

八幡「別にしたけりゃすれば良い。だがその時はお前も標的になるだけだ。」

 

 

葉山は聞いていたかどうかは知らんが、そのまま教室の中へと入っていった。

 

 

八幡「葉山、お前はどうか分からんが、人には誰だって譲れないもんがあるんだよ。俺は柊と涼風を傷つける奴は絶対に許さないって決めてんだよ。ソイツが誰であろうと、俺は容赦しない。」

 

 

 

 

 


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