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ゆっこ「あぁ〜今日の体育マジだるくない?私部活前に汗かくのチョーイヤなんだけど〜。」
遥「それ分かる〜部活の前に疲れたくないってのにさ〜よりにもよって5〜6時間目ってウザイよね〜。南もバイト前だったらそう思わない?」
相模「うん、しかもそのバイト今日だし。慣れたけどさ、めんどいよね〜。」
ーーー校内ーーー
遥「でさー昨日先輩が………ねぇ、なんか3年生集まってない?なんかあるのかな?」
ゆっこ「さぁ?大学の試験とかじゃない?試験の日と内容とか張り出してんじゃないの?」
遥「あぁ〜かもね。でもこんなギリギリにする普通?もう冬休みだよ?」
相模「いやいや、あり得なくもなくない?ほら夏休みとかで課題くれる時、無駄に渡すの遅い先生とか居たじゃん。あれと同じだって。同じ先生だったりしてね〜あはは!」
ゆっこ「南って辛辣〜!」
遥「あはははっ〜!」
だがまだ3人は知らない……いや、知る筈もない。今集まっている3年生が自分達の事で集まっているという事など。だが、上の階に登れば嫌でも思い知る事になる。自分達がSNSに投稿した内容が自分達の首を絞めていくという事に。
ーーー2階(2年生廊下)ーーー
相模「あれ、なんか2年も同じじゃない?」
遥「うっそ、そしたら全学年共通って事じゃない?何貼り出されてるんだろう?」
ゆっこ「荷物置いたら見に行かない?私達も見に行こうよ。これじゃ動き辛いし。」
相模「賛成〜。」
何も知らない3人はそのまま教室へと向かうが、周囲からの視線を感じないのか、そのまま教室へと向かって行った。
「あの3人だよな?」
「そうそう、このSNSの投稿主!」
「あたしも知ってる!この投稿じゃないけど、このアカウントネーム見た事あるし!」
「すげぇよな、こんな事書いてんのかよ………」
「どうでもいいけどさ、俺あの3人と友達じゃなくて良かったわ〜。」
「あたしも〜。関わんなくて正解。」
ーーー2-F組ーーー
相模「着いたぁ〜早く上着かけて見に行こ?」
ゆっこ「そだねー。」
遥「うん。」
三浦「あんさーちょっといい?」
相模「え?なぁ〜にぃ〜三浦さん?私達この後用事あるんだけど?」
三浦「アンタ達さ、アレってマジなわけ?」
ゆっこ「アレって?」
三浦「アンタ達がこの学校の事とか先生や生徒、クラスメイトの悪口書いてるってアレってマジなの?しかも部活も含めて。」
相模「はぁ?そんなの嘘に決まってんじゃん?何、私達が最近調子に乗ってるとでも言いたいの?」
三浦「じゃあコレ見て、1年から3年の掲示板に貼られてた紙。」
相模「………え……何これ、何なのよこれ!?」
ゆっこ「ど、どうしたの南何が書いて………は?これって私の……嘘でしょ、何で?」
遥「………コレ、私のアカ名じゃん。どうして?」
三浦「やっぱ本当だったんだ……今朝来た時にはもう貼り出されてたし。1年から3年の掲示板スペースにちょっと細かいけど、アンタ達がSNSに投稿してる内容が貼ってあった。もう学校中の噂になってるし。」
相模「な、何かの間違い!!私達がそんな事するわけないじゃん!!」
三浦「じゃあ携帯のアカウント見せてよ。それで違ったら信じるし。多分だけど、このクラス全員そう思ってる。」
遥「そ、そんなの………」
ゆっこ「無理に決まってんじゃん………」
相模「………」
三浦「やっぱ本当だったんだ、あの投稿。」
今、2-F組にはクラスに所属している生徒だけでなく、他クラスの生徒までもがクラスの中に入ったり、覗いたりしていた。それもそうだ、あの投稿をした張本人達が登校して来たのだ、それに注目しない理由がなかった。
隠してはいなかったのだろうが、こうも明るみになってしまっては言い逃れも逃げる場所も無いに等しい。むしろそれを探しているとすれば、滑稽というものだろう。
相模「くぅっ………!!」
ゆっこ「あっ、ちょっと南!!」
遥「ま、待ってよ!!」
3人は廊下へと飛び出すと、掲示板の方へと向かった。3人が食い入るように見ているのは、今し方三浦に見せてもらっていた掲示物の内容だった。
相模(これも……これもこれも全部私のっ!!)
遥(本当に全部、私達の………)
ゆっこ(なんで、一体どうして………)
そしてまた教室の方へと走りながら戻ると………
相模「誰よ、あんなの貼り出したの!!!出て来なさいよ!!!」
出てくる筈もなく、静まり返っていた。それどころかクスクスと笑いを抑える笑い声すらも聞こえていた。今の相模程、とても醜く見えるものはないだろう。それ程までに滑稽だからであった。
相模「……っ!!アンタね、アンタでしょう!!」
すると相模は1人の生徒の前まで来てからそう怒鳴りつけた。
八幡「………何で俺なんだよ?俺も今朝登校して初めて知ったんだぞ?その中でどうやってあの紙を貼るんだよ?言いがかりならやめろよ。」
相模「うるさい!!!私達の事が気に食わないからこんな事したんでしょ!!?正直に言いなさいよ!!どうせその女の為でしょ?よく見るとお似合いだわ!!髪が長くて顔も隠せそうなくらいだもん、そんな幽霊みたいな女とアンタなんてお似合いよ!!!」
三浦「ちょっと、それは「幽霊、ねぇ……」っ。」
すると八幡はゆっくりと立ち上がった。そして相模の前に立った。
相模「な、何よ!?」
八幡「別に幽霊呼ばわりするのはいいけどよ、自分の事をよく考えるんだな。あんな投稿をしてるくらいだ、クラスからも学校からも浮くのは目に見えてる。この先、幽霊になるのはどっちだと思う?」
八幡の言葉に相模は何も言い返す事が出来なかった。そして顔を俯かせたまま、自分の席へと戻った。遥とゆっこも同じように席へと戻った。