俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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校長の言葉

 

 

八幡side

 

 

翌朝、俺達は通常通り学校へと通っている。今日から冬休みだと思うと普通は楽しみになるのだが、全生徒は嬉しさ半分といった所だろう。何しろこの騒ぎだ、最後の4時間目に全校集会が開かれるが、冬休みに入る話よりも今起きてる事の説明がメインだろう。それしか考えられない。今はまだ授業の1時間目が終わったばかりだが、明らかに異質な雰囲気だ。まぁ原因なんて分かり切ってるが。

 

他クラスの連中も朝からあの3人の様子を見に来る程だ、かなりの噂になってる。これがもし世間にも広がっていたらと思うとゾッとするだろうな。学校に広めた張本人が言っても仕方なのない事だとは思うが、こればっかりは慈悲だと思って欲しいくらいだ。おじさんが本気だったらそのくらい訳ないだろうしな。

 

 

柊「あ〜ぁ……なんか暗いよね〜。」

 

八幡「あぁ、そうだな。」

 

涼風「仕方のない事です、これだけの事になっているのですから。」

 

八幡「それにあの3人、誰とも関わろうとしてないしな。まぁ無理もないけどよ。だが3人で集まる事もなくなるとは思わなかった。傷の舐め合いでもするのかと思ってたんだけどな………」

 

柊「……ねぇ涼風、どうなってるの?」

 

涼風「はい。それぞれの机に座ってただじっとしているだけですね。スマホをいじる気配もありません。操作をすればまた何か書いているんじゃないかと思われるからでしょうか?」

 

 

まぁそうやって考えるのが普通だ。悪口書いてたんだから、スマホ弄る=誰かの悪口みたいなフレーズが作られていても何ら不思議ではない。学校でも満足にスマホを操作できないのはかなり不便だろう。俺、あんまり操作しないけど。使うのなんて柊達との連絡やAma○nのメールくらいだ。

 

 

涼風「しかし八幡さん、この場合3人はどうなるのでしょうか?」

 

八幡「さぁな。法律の事なんてさっぱりだし、今時こういうやり取りでの裁判とか罪なんて珍しくない。ありきたりなら罰金だろうな。」

 

柊「それで済むの?」

 

八幡「分からない。もし被害者側とかが納得すればそれで済むんだろう。まぁ裁判に掛けられるかどうかは知らんけど。なったらそれはそれで大ごとだしな。」

 

 

裁判になるのかどうかは、被害者の親達次第だろう。けどまぁ、そう簡単には行かないだろうな。人の感情は物差しや天秤では計れないからな。

 

 

八幡「まっ、これに関して俺達にする事なんて何もない訳だし、のんびり気ままに時が過ぎるのを待つしかねぇよ。同情する余地もないんだしな。人の気も知らずに悪口を叩く、中学のあの連中と一緒だよ、あの3人は。」

 

涼風「……そうですね、中学の方達と一緒です。」

 

柊「………」

 

 

この前は折本とも偶然会ったが、気まずそうだった。恐らく俺というよりも柊にだろう。仲良かったのに、今では他人以下の関係なんだからな。柊も折本の事なんて気にもしてなかったし、本当にどうでもいいのだろう。まっ、そうだよな。

 

そんな奴に関わろうだなんて、普通は思わない。柊はもう心を閉ざしてる。あの中学の連中とは一生、和解なんて日は訪れないだろう。

 

 

ーーー全校集会ーーー

 

 

3時間目もようやく終わって、今は体育館に移動中だ。因みに隣は柊だ。平塚先生、気を利かせてくれてありがとうございます。

 

そして校長先生の言葉、これが1番全校生徒が聞きたい言葉だろう。

 

 

茅ヶ崎「え〜全校生徒の皆さん、昨日に続き今日も4時間授業になってしまった事、大変申し訳なく思っています。聡明である皆さんならもうその理由はお分かりになってはいると思われますので、その事については敢えて何も言わないでおく事にします。それは此処にいる全生徒に周知されるのみならず、教育委員会にもリークされていました。どの方がどのような手段や動機でやったかは不明ですが、当人達との話し合いなどで確認した結果、事実であるという結果となりました。本来であれば責められても仕方のない立場にありますが、その矛はどうか納めてもらいたいと思っています。他人を傷つける刃はいずれ自分にも返ってくる刃となるのです、その事を重々ご理解頂きたいと願っています。言われた方達も納得できないとは思いますが、その思いはどうか口には出さずに胸の中にしまっておいて欲しいです。私の切実な願いであります。」

 

 

………

 

 

茅ヶ崎「このような諺があります、【一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う】簡単に言いますと、1人の行いが、その周りの人達にも影響を及ぼす事を意味しています。例えば今此処で1人が否定的な意見をしたとしましょう、それに賛同する人が増えて、最終的には全員がその騒ぎに巻き込まれてしまう事を指します。この諺のように、1人がそのような行動を取ると、全員が狂ってしまうのです。再三言うようですが、どうか今向けようとしている矛は納めてください。気持ちは晴れるかもしれませんが、その行為には自分に何の意味ももたらしません。願わくば自分の為、相手の為にもなる行動をとって欲しいと願っています。以上で終わります。」

 

 

校長先生、俺はあの3人に矛を向けるつもりはもうありませんし、その刃を口にする事もないと思います。けど俺は柊をバカにするような事を抜かす奴が居たなら、徹底的にやらせて貰います。あの3人のように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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