俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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心からの感謝

 

 

御影side

 

 

御影「いやぁ〜食べた食べた〜今日もとても美味しく頂いたよ、いつもありがとうね。」

 

「いえ、旦那様達の為ならば粉骨砕身、身を粉にしてお口に合うお料理を作らせて頂きます。」

 

御影「そう言ってくれると僕も嬉しいよ。けど、本当に身を粉にするのはやめてね?君の料理が食べられなくなるのは寂しいからね。」

 

「ありがたきお言葉でございます。」

 

 

彼はこの家で雇ってるシェフなんだけど、本当に良い腕をしているよ。彼を雇ってもう15年くらいかな、とても助かってる。それに毎日違う料理を出すから、飽きも来ない。

 

 

宮間「旦那様、お済みのお皿をお下げ致します。」

 

御影「うん、ありがとう。」

 

宮間「奥様もこちら、よろしいでしょうか?」

 

紫苑「えぇ、ありがとう。お願いね。」

 

宮間「かしこまりました。」

 

 

宮間もウチに来てから20年くらいになるのかな。彼にも毎日助けられている。家の事だけでなく娘たちの事もよく見てくれている。僕や紫苑だけでは出来ない事もこの屋敷に居る人達のおかげで上手くバランスが取れている。そして………

 

 

「わ、若様!お皿運びは我々にっ!」

 

八幡「いや、いつもやってもらってますし。それにこの数ですから少しくらいは手伝わせて下さい。」

 

「し、しかし………」

 

柊「………じゃあ私もやるっ!」

 

涼風「お手伝いします!」

 

「あぁ、お嬢様方までっ!」

 

 

彼、八幡君が来てからは特に変わった。柊が彼の話をよくするようになった時は、確かに驚いたものだ。だが日を追う毎に増えていく情報で比企谷八幡という人を知っていく事によって、彼の人物像が漸く理解出来た。八幡君は間違いなく良い子だ、私がこれまで会って来た柊達と同年代の子達のどの子よりも。そうでなければ柊は兎も角、あの人見知りの涼風があんな風に懐くとは思えないからね。

 

 

紫苑「何を考えてるの、御影?」

 

御影「ん?あぁいや、ちょっとね………」

 

紫苑「八幡君の事を考えているのかしら?」

 

御影「……ひょっとして分かってて聞いたのかい?」

 

紫苑「貴方の視線の先に八幡君が居たから、それを考えた上で聞いたのよ。」

 

御影「ははは、妻には隠し事は出来ないか……まぁ、正確には僕の周りに居る人達の事、かな。助けられてるなぁ〜って思ってね。柄にも無く感慨深くなっていたんだ。娘達には特に八幡君がお世話になってるからね。」

 

紫苑「そうね……柊が立ち直れたのは八幡君が居たからだものね。もし居なかったらと思うと………考えたくもないわね。今も柊は塞ぎ込んでいたかもしれないのだから。」

 

御影「うん………本当に彼は僕達家族にとって大恩人さ。償い切れない程、大きな恩がある。何度も言ってるけど、それだけ娘を助けてくれた事に感謝しているって事だからね。」

 

紫苑「………そうね。」

 

 

八幡君、君のおかげで今の柊が存在しているんだ。もしあの時、公園で君が柊に声を掛けていなければどうなっていたか………君が柊に手を差し伸べてくれた事に、僕は心から感謝しているんだ。

 

 

柊『じゃあ私達の作ったケーキ、出すからね♪』

 

八幡『今日1番の楽しみだな、待ってた。』

 

涼風『では八幡さんはお座りになって待っていて下さい。切り分けの作業がありますので。』

 

八幡『そのくらいなら俺も手伝うぞ?』

 

柊『いいのいいの!私達がやりたいからやるの!』

 

八幡『……2人に邪魔者扱いされたから座って待ってる事にするわ。』

 

涼風『べ、別に邪魔者扱いなどは!!『涼風、冗談だから。』っ!も、もう八幡さんっ!』

 

八幡「ふっ、じゃあ待ってるからな。』

 

柊『うん♪』ニコッ!

 

 

君が柊のあの笑顔を取り戻してくれた、再び火を灯してくれたんだ。柊が再び笑ったあの日程喜んで笑った日は無いし、あの日程嬉しくて泣いた日も無い。その日から柊は君の話をよくするようになって、笑顔も見せてくれた。それが僕達にとってどれだけ喜ばしいものか、きっと八幡君には測れないだろう。それだけの事を君は僕達にくれたんだ。

 

 

八幡「あっ、おじさんとおばさん。今柊と涼風がケーキ切り分けてます。何でも1番下の外側の生地はタルト生地になってるみたいです。」

 

御影「ほう、それは美味しそうだ。」

 

紫苑「ホント、あの子達何でも作るようになってきたわね。これが愛って事かしらね、八幡君?」

 

八幡「愛かどうかは分かりませんけど、柊からはそうだと信じたいですね。」

 

紫苑「ふふふっ、そうよね。」

 

御影「きっとケーキを食べる時、2人から食べさせられるんじゃないかい?夕食の時は一緒に食べてたけど、食べさせてはいなかったからね。」

 

八幡「絶対そうなるでしょうね。あの2人がそれをしないわけが無いので。」

 

紫苑「2人の愛情表現だと思って受け取りなさい。八幡君が断った瞬間、2人ともきっとシュンとする筈だから。お願いね。」

 

八幡「後が面倒なのでそうしますよ。」

 

柊「何々、何の話?」

 

紫苑「食べさせるのを断ったら2人がいじけるから、断らないでってお願いしたのよ。」

 

涼風「い、いじけたりしませんが、残念に思うかもしれません。」

 

八幡「それをいじけるというのでは?」

 

柊「ていう事は八幡君、あ〜んしても良いんだよね!?そうなんだよねっ!?」

 

八幡「別にいいぞ。」

 

柊「いやったぁ〜♪」

 

涼風「やりました!」

 

 

何度目になるかは分からないけど八幡君、柊の笑顔を取り戻してくれて、心から感謝するよ。

 

 

 

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