俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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八幡の予定

 

 

八幡side

 

 

小町「成る程〜それで今まで柊さん達の家に行ってて、晩御飯をご馳走になった上にケーキまで食べて帰って来たと………それで、何か弁明は?」

 

八幡「いや、連絡しなかったのは済まないと思ってるし悪かったとも思ってるが、玄関入っていきなりこんな事されるとは思ってなかったぞ、お兄ちゃんは。」

 

 

夜十神家でご馳走になってから帰宅した俺は玄関で待ち受けていた小町に何をしていたのかを説明していた。小町は先に食べていたみたいだが、俺が何も言わないでいたのが気に入らなかったらしい。

 

小町「もう、1言くらいはちょうだいよ!そしたら小町も無駄に待たずに先に食べてたのにさ!」

 

八幡「先に食ってた奴が言っても説得力無いぞ。」

 

 

居間に入ると、此処からも香ばしい香りが漂っていた。どうやら小町もさっきまでチキンを食べていたようだ。毎年この時期になったら母ちゃんがチキンとケーキの金を小町に持たせるからな。俺に渡してくれたらそのまま行ってたのによ、今年の小町は受験生だぜ?

 

 

小町「にしてもさお兄ちゃん、明日から冬休みなんだよね?良いなぁ〜。」

 

八幡「そうなった理由は良いものでもないけどな。どっかのバカが何処ぞの大バカのSNS投稿を晒したおかげでこうなったんだからよ。おかげで学校も教育委員会も大忙しってわけだ。授業してる暇なんてねぇって事だろう。」

 

小町「うわぁ〜そんな裏事情聞きたくなかった……じゃあさ、そのSNS投稿を晒さなければ今も平和に学校に通ってるって事?」

 

八幡「まっ、そうなるな。」

 

 

あっ、まぁその投稿晒したの俺なんだけどね。教育委員会にはおじさんがだけど。

 

 

ガチャッ

 

 

凛『ただいま〜。』

 

小町「あっ、お母さんじゃん!お帰り〜!」

 

八幡「……珍しいな、こんな時間に帰るなんて。」

 

 

いつもなら遅くまで仕事してんのに、今日は早上がりの日なのか?

 

 

凛「はぁ〜疲れた……あら八幡、ただいま。」

 

八幡「お帰り。今日は早いんだな。」

 

凛「まぁね。今日くらいは早く帰ろうって上司がね。こういう気が利く所をいつもやってくれれば文句無いんだけどね〜。」

 

小町「お母さんいつも遅くまでだもんね〜。」

 

凛「えぇ、だからお腹空いちゃったわ。何かあるかしら?」

 

小町「うん、今日はクリスマスだからチキンとケーキがあるよ!用意するね〜。」

 

凛「ありがと小町。」

 

 

………飯が出来るまで肩でも揉んでやるか。

 

 

凛「……あら、ありがと八幡。」

 

八幡「別に、ただの気まぐれだ。」

 

凛「懐かしいわね〜子供の頃はよくこうしてもらってたわ。もう10年くらい経つのね〜。」

 

八幡「歳も取るわけだな。」

 

凛「女の前で歳の話はやめなさい。」

 

八幡「へいへい。」

 

凛「けどそうよね………いつの間にかそんなに経っているものなのよね。小町も中学生で八幡ももうすぐ受験生だものね。ホント、あっという間ね。」

 

 

俺にはまだその感覚は分からない。けど中学の時はかなりあっという間に月日が経ったような感じなのは覚えてる。柊や涼風が居たからかもな。

 

 

凛「そういえば八幡、アンタお付き合いしてる人達とは上手くいってるの?」

 

八幡「問題ねぇよ。今日だってケーキ食べて帰るつもりだったのが、晩飯までご馳走になっちまったからな。そのくらい好かれてるってくらいだ。」

 

凛「それ、好かれてるを通り越して無いかしら?」

 

 

あぁ、ソレね………向こうは既に俺の事を家族として見てるから。

 

 

小町「お母さ〜ん、ご飯出来たよ〜。」

 

凛「分かったわ。んん〜……はぁ。じゃ、私も食べようかしらね。」

 

小町「お酒いる?」

 

凛「遠慮しとく。お水かお茶でいいわ。」

 

小町「はーい。あっ、そうだお兄ちゃん。今から聞いておくんだけどさ。」

 

八幡「?何だ小町?」

 

小町「お兄ちゃんさ、年末年始はどうするの?やっぱり柊さん達と過ごすの?」

 

八幡「あぁそうだ、言おうと思ってたんだ。小町の今言った通り、大体5日間くらい家空ける。」

 

小町「やっぱり。柊さんの家で泊まりでしょ?」

 

八幡「……まぁそんな所だ。」

 

 

別に『滋賀の伊吹山にある別荘に行ってくる。』っていうのは言わなくてもいいよな。言ってどうにかなるってもんでもねぇし。

 

 

小町「でも冬休みだもんね、もしかしたら何処か別の地域に行ってるかも?夏休みだって北海道行ってたんだし、もしかしたら冬休みでも………」

 

 

うわ、小町の奴いらない所で鋭い勘を働かせやがる。そういうのは別の所で使うもんなのに。

 

 

小町「お兄ちゃん、本当は何処に行くの?」

 

八幡「………滋賀県だ。」

 

小町「滋賀県!?関西じゃん!!」

 

凛「そんな所に行くのね………」

 

八幡「最初に言っておくが、俺が行きたいって強請ったわけじゃないからな?向こうから誘われて行くって言っただけだ。そうでもなけりゃ俺が遠出なんてするわけねぇだろ。」

 

小町「確かに………じゃあお兄ちゃん、お土産よろしく〜♪」

 

八幡「言っておくが俺達が行くのは滋賀県でも山奥だから土産なんて期待しない方がいいぞ。あっても水だと思っとけ。」

 

小町「何で水なの?」

 

八幡「山にある家で過ごすからだ。伊吹山って聞いた事あるか?霊峰なんだが、そこで5日間過ごすから街中にはあまり入らないと思う。」

 

小町「折角関西まで行って山過ごすの?それってどうなの?」

 

 

良いんだよそれで。修学旅行のせいで関西にはあまり良い思い出がないんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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