俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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老人?

 

 

八幡side

 

 

あのお婆さん、一体何だったんだ?いきなりどちらの星を輝かせるだの何だの………よく分からん質問だったけど、あの回答でよかったのか?自分じゃよく分からん。まぁいっか、この別荘に居れば会う事だってあるだろうし。

 

 

八幡「……あれ、こっちだよな?」

 

 

ーーー5分経過ーーー

 

 

八幡「………迷った。マジかよ、まさか自分が寝る部屋を忘れちまうなんて。」

 

 

でもこの別荘ホントに広いんだ。だって迷うくらいだぞ?そんな広いんだから迷ったって不思議じゃないだろ?此処に雪ノ下が居てみろ、アイツなら2分とかからずに迷子行き決定だぞ。けどここ本当に何処?

 

 

八幡「地図でもあればなぁ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?こんな所に何の用だい?」

 

八幡「え?」

 

 

後ろから声がしたと思ったら、立っていたのは白髪を後ろに束ねて髭を生やした豪快そうな老人だった。背丈もかなり高い。

 

 

八幡「あの……迷っちゃって。」

 

「迷ったぁ?ははぁ〜ん、さてはお前この屋敷初めてだな?そんで探検してたってわけだ?」

 

八幡「え、いやそういうわけじゃ「良いね良いね〜探検っ!若いねぇ〜!」……何なんだこの人。」

 

「まっ、ちょいと俺の話し相手になってくれや。なぁに心配すんな、ちゃんと帰してやるからよ。」

 

八幡「はぁ………」

 

 

俺は豪快な老人についていくと、部屋に案内された。中は今通ってきた部屋とは違ってかなり煌びやかだった。というよりも日本のものではないものがたくさん置いてある。

 

 

「珍しいもんばっかだろ?まっ、これは俺が趣味で集めたもんだ。気になるんだったら別に触っても良いぜ。壊れるもんでもねぇしな。」

 

八幡「はぁ………」

 

 

けど確かに珍しそうなものばかりだ。それに何だろう………今この世に出回っているのかどうかも分からなさそうだ。作りからしてなんかちょっと古めかしいというか、レトロって言うのか?

 

 

「んでぇ〜?お前さんはどうして此処に?」

 

八幡「えっと、おじさん……いや、夜十神さん達と一緒に来たんです。一緒にこっちで正月を過ごさないかって。」

 

「ほぉ〜……でよ、その夜十神さんって下の名前なんてんだ?良かったら教えてくんね?」

 

八幡「御影ですけど………」

 

「………そうか。」

 

 

老人は何処か嬉しそうな表情をしていた。さっきまでとは打って変わって自信溢れるような表情ではなく、年相応の優しい表情だった。

 

 

八幡「あの、知り合いなんですか?」

 

「ん?あぁまぁな。けどよお前さん、その家の奴等とどうやって知り合ったんだい?知ってるとは思うが、超だけじゃ足らねぇくらいの超金持ちだぜ?」

 

八幡「話してもいいですけど、長いですよ?」

 

「はっはっはっは!!長さなんて関係ねぇよ!要はそれが面白いかどうかだ、お前さんもそうだろ?長い話でも面白ければ興味が湧くし、つまんなければ眠くなる。それと一緒だ。俺を退屈させんなよ?」

 

八幡「はぁ………」

 

 

それから俺は飲み物や菓子を頂きながら、夜十神家との出会いを話した。まぁ出会いっつっても柊との出会いから始まるんだけど。

 

確かに長い話になったが、老人は退屈そうにするどころか微笑みながら聞いていた。柊が中学の同級生を無視した時や、俺が仲を取り持つのを拒否した時なんかは『よっし!!良いじゃねぇか!!よくやった!!』とか言いながら喜んでたし。

 

 

八幡「まぁ、ざっとこんな感じなんですけど……」

 

「色々あったんだろうが、こんだけは言えるぜ。お前さんは良くやった!!俺も同じ事をしたぜ!!その中学の連中にはざまぁ見ろって言ってやりたいぜ!!かぁ〜その場に俺も居たかったぜ〜!!」

 

八幡「ははは………」

 

「ん?もうこんな時間かよぉ〜………良い時間ってのは経つのが本当に早いな。もっと話してたいが、お前さんもそろそろ戻らないとな。お前さんの大事な恋人に嫉妬される前にな!」

 

 

誰がおっさんなんかに嫉妬するかよ……いや、柊ならしかねないけどよ。

 

 

「んじゃ途中まで案内してやるよ。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

 

ーーー廊下ーーー

 

 

「ここを真っ直ぐ行きゃ着く筈だぜ。」

 

八幡「ありがとうございます。じゃ、また。」

 

「あぁ、じゃあな!」

 

八幡「あっ、そういえばお爺さんのなま……え?」

 

 

振り向くと既に老人の姿は消えていた。廊下を少し戻って確認したが、影すら見えなかった。この別荘ってのは隠しギミックでもあるのか?忍者屋敷だったりして?

 

 

ーーー宿泊部屋ーーー

 

 

柊「もぉ〜どこ行ってたのさ〜!!!八幡くんが戻って来なかったから、私達ずっと退屈だったんだよ〜!!」ギュー‼︎

 

八幡「悪かったよ、色々あったんだよ。庭で風に当たってたらお婆さんと話したり、道に迷ったらお爺さんの話し相手になったりとで色々な。」

 

御影「そうなのかい?この屋敷には使用人と僕達以外にはいない筈だけどね………八幡君、その2人は使用人の誰かかい?」

 

八幡「いや、そこまでは………っ!あの、おじさん?質問してもいいですか?」

 

御影「ん?何だい?」

 

八幡「あの額縁の男の人って誰です?」

 

御影「あぁ、アレかい?アレは僕の祖父だよ。八幡君にはこの前お風呂場で話したよね?僕の1番尊敬する人だよ。あの人が居たから今の僕が……ん?どうかしたのかい、八幡君?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その額縁の中の写真に写っていた人物は、俺が先程道に迷った時に偶然会って、部屋で色々と話をしたときの豪快な老人本人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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