俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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老人の正体と置き土産

 

 

八幡side

 

 

俺はもう1度、さっきの老人と話した部屋へと向かった。道順は覚えているからすぐに辿り着けたので、部屋にはすぐに辿り着けた。後ろからは追ってくる足音も聞こえた、きっと柊達だろう。そして俺は部屋の扉を開けた。

 

中は綺麗ではあったが、さっきまでとは違っていた。物珍しい海外の物は置いてはいるが棚の中だし、さっき飲んだ筈のお茶や茶菓子だって無くなってる。

 

 

八幡「………」

 

柊「八幡君、速いよ〜……この部屋って?」

 

御影「……八幡君、君はこの部屋を知っていたのかい?この部屋は僕の祖父が使っていた自室だよ?今は祖父の私物だけを置いている物置になってるけど………」

 

八幡「………」

 

 

嘘だろ………じゃあさっき会った人は幽霊?けど俺の飲んだ紅茶は?茶菓子のクッキーやビスケットは?今もまだ微かに口の中に味が残ってる、これは嘘なわけない!

 

 

八幡「っ!!コレ………」

 

御影「ん?あぁ懐かしいなぁ〜!これはまだ僕が子供の頃によく食べさせてもらっていたクッキーだ!こっちはビスケット、それに茶葉まである!うわぁ〜こんなのも残ってたのかぁ〜!」

 

 

おじさんは嬉しそうに昔の事を思い出しているが、俺はそれどころではなかった。じゃあさっき俺の目の前にいたのは幽霊?けどあのお爺さんは俺に触ってたぞ!?

 

 

御影「懐かしいなぁ……僕が来た時は宝箱に入ってるような部屋だったからなぁ〜!周りがキラキラしてて、珍しい物が沢山あったんだよねぇ〜。」

 

八幡「………それって車や建物の模型だったり、タイプライターや蓄音機、西洋の電話やスタンドライトとかですか?」

 

柊「は、八幡君?」

 

御影「………八幡君、何でそんなに詳しいんだい?それは全部僕の覚えている限りでは全部この部屋にあった物だよ?まさか君はこの部屋の物を漁った、なんて言わないよね?」

 

八幡「いえ………信じてもらえないでしょうけど、さっき俺、さっきの額縁の人と……おじさんの祖父と会いました。」

 

御影「………何だって?なら喋り方は?」

 

八幡「豪快、の一言です。」

 

御影「じゃあ背丈は?」

 

八幡「俺の見立てだと180の後半くらいだと。」

 

御影「……二人称の呼び方は?」

 

八幡「お前さん、でした。」

 

 

おじさんは固まってしまった………

 

 

涼風「あの、八幡さん。本当なのですか?見間違いとかではないですか?」

 

八幡「違う。俺はその時その人に触られた感触だってあったし、紅茶や茶菓子も食べた。今もその味はほんの少し残ってる。」

 

柊「でもそしたら八幡君と話してたのは幽霊って事に「きっと八幡君の言った事は事実だろうね。」お、お父さん?」

 

御影「これだけ祖父の事を言い当てられるのなら、それはもう事実としか言えないよ。それに祖父は親以外の身内に対してはお前かお前さんとしか呼ばなかったんだ。」

 

八幡「でも俺はまだ身内じゃ……「きっと祖父も君ならと思っているんだろう。」………マジかよ。」

 

 

でも何で俺に?道に迷っただけなのに?訳が分からなくなってきた。それに何だかポケットが熱いような………ていうかなんか入ってる?

 

 

八幡「………なんだコレ、いつの間に?」

 

柊「おぉ、なんかカッコいい!これって中国の模様に出てくるアレだよね?」

 

涼風「確か八卦ですね。」

 

御影「えっ!!?」

 

八幡「っ!?」

 

柊「え、な、何お父さん?」

 

涼風「驚きました……どうかされたのですか?」

 

御影「………八幡君、これを何処で手に入れたんだい?」

 

八幡「い、いや……なんかポケットが熱いと思って手を入れてみたら、入ってました。」

 

御影「………コレはね、祖父が死ぬまで肌から手放す事もなかった黒曜石で出来た八卦印の首飾りだよ。死んだ時は付けてなかったから部屋の中の何処かにあるのかと思っていたのに、何処にもなかった品なんだ。このタイミングでこれが出てくるって事は………きっと祖父は君が此処に来るのを待っていたんだろうね。それに……うん、その首飾りは君が持っていた方が良さそうだ。」

 

八幡「え?いや、でもこれはおじさんが持っていた方がいいんじゃないですか?」

 

御影「いいや、君が持っていた方がいい。きっとそれは祖父が君に渡したんだ、僕が持ったら祖父からの災いを受けそうだしね。君が祖父から託された物だ、それはもう君の物だよ。」

 

 

ハチマンは黒曜石の首飾りをてにいれた!

 

………いや、遊んでる場合じゃねぇ。ていうかどうすればいいのコレ?やっぱ付けるのか?

 

 

八幡「………」

 

柊「八幡君、付けたげよっか♪」

 

八幡「お、おう………」

 

柊「♪〜ん?何この留め具、オシャレ〜。」

 

涼風「そうですね。留め具にも装飾が施されているのですね。」

 

御影「へぇ〜これはクラスプ留め具っていうんだ。でもこれは珍しいね。差し込むだけで留める事が出来るんだけど、装飾もされてるなんてね………祖父の見る目は相当な物だね。」

 

 

柊が留め具を付け終わると、少しだけ重みが増したがそれだけだった。さっきまでの熱さはとっくに消えていて、今では普通の感触しかない。

 

 

柊「うん、似合ってる♪八幡君がそういうの付けてるとなんか新鮮っ♪」

 

涼風「はい、とてもお似合いです♪」

 

御影「そうだね。白ワイシャツに何か色付きのベストでも着れば、もっと映えるんじゃないかな?」

 

 

だからといって俺を着せ替え人形にしないでくださいね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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