俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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白い猪の返礼

八幡side

 

 

恐らくこの洞窟の最深部であろう場所に辿り着いたのだが………今までのと明らかに違う。なんていうか、俺でも分かる。ここ凄い神聖な場所だ。普通の人が立ち入って良いような場所じゃないだろう。この白い猪、何のつもりで此処に………アレ、何処行った?

 

 

白い猪「………」ジィ~

 

 

………どうやら案内はまだ終わっていないようだ。しかしあの猪はアルビノなのか?白い体毛なんて滅多に居ないだろう。それにより目立つのはあの赤い瞳に牙だ。絶対怒らせないでおこう。

 

だから雄叫びと突進をされる前に早く猪の方に行かないとな。何だかどこかに案内してくれるようだしな。これで頂上だったらすごくありがたいんだが、猪にそこまでの頭は無いだろう。

 

 

猪が上の方へと登ると、そこにはまた祠があった。此処にもお供えしろって事?

 

 

白い猪「………」トコトコ

 

 

………なんか祠に近付いて何かをし始めたぞ、一体何してるんだ?もしかして祠の扉開けようとしてる?あっ、開いた。

 

 

白い猪「………」コクコクッ

 

 

いやいや、うんうんじゃなくて!え、取っていいの?けど中にあるこの青いお椀のような物、本当に取っていいの?ダメじゃないの?

 

 

八幡「あの、本当に取っていいのか?」

 

白い猪「………」コクコクッ

 

八幡「………じゃあ、遠慮なく。」

 

 

俺は祠の中にあった青いお椀のような物を貰った。けど何で?何でこんな事になったの?この白い猪に案内されるがままに来てたらプレゼントされたよ!?俺何かした?お供えくらいしか思いつかないんだけど!?

 

 

白い猪「………」トコトコ

 

八幡「え、次?」

 

 

白い猪は反対側の高台へと向かって行った。移動速度が俺と同じくらいだからついて行きやすい。何しろこの猪、俺の身長より少し低いだけのデカさだ。だからかなりデカい………

 

そして反対側へと着くと、またも祠があった。猪はまたもや開けようと頑張っていた。え、またプレゼント?いやもう充分ですって。でも歯向かったら何されるか分からないから黙ってよう。そして開いてからの………

 

 

白い猪「………」コクコクッ

 

八幡「あの、どうしても?」

 

白い猪「………」コクコクッ

 

八幡「………ありがとうございます。」

 

 

次に中に入っていたのはお椀や茶器ではなく、なんか水晶のような結晶だった。しかも1つや2つじゃない、色取り取りな結晶があった。分かるだけでも、透明、白、黒、紫、青、黄本当に色々だ。いやこれどれ取ればいいの?気に入ったのだけ貰おうかな?

 

 

八幡「じゃあ………この透明なのを1つ。」

 

白い猪「………」ブンブンッ!

 

八幡「え?」

 

 

白い猪は首を横に激しく振って否定するかのような仕草を取った。え、コレじゃダメなの?

 

 

八幡「じゃあ………この紫?」

 

白い猪「………」ブンブンッ!

 

 

アレ、これもダメか………じゃあどれなら良いんだ?その後、全部手に取ってみたが、全部首を横に振られた。どうして欲しいんだ?聞きたいけど、なんか強請ってるみたいで気が引けるしな………しかもジッとこっちを見てるし。

 

 

八幡「………2つ?」

 

白い猪「………」ブンブンッ!

 

八幡「えっと、欲張ってるわけじゃないけど、一応な?全部じゃないよな?」

 

白い猪「………」コクコクッ!!

 

 

うっそおぉぉぉん!!?全部!?コレ全部!!?いやいやいやいや、ダメだって!!1つでいいって!!こんなの持ち帰ったら柊達から「泥棒したの?」って思われちまうよ!!

 

 

八幡「いや、でも俺1つで充分「ブルッ!」はい分かりました、ありがたく全部頂きます。」

 

 

いやだって聞いた?「ブルッ!」って………なんか暗に『いいから早よ取れ。』って急かされたように感じる。

 

 

八幡「それじゃあ、全部頂きますね?なんかすいません、こんな頂き物………」

 

白い猪「………」トコトコ

 

 

しかし、この猪は一体何なんだ?突然現れたかと思ったら何かをするわけでもなく、俺に青いお椀に水晶数種をくれるとても良い猪だ。何もお返し出来ないのに。そして俺はまた1人歩いて行く猪について行った。すると今度はさらに上へと登った。そしたら雲の上にいるかのような景色が広がっていた。しかもそれでいてしっかりと景色は見渡せるという最高の場所だった。ヤバい………これが頂上かぁ〜。

 

 

八幡「すげぇ………」

 

 

俺はその後、写真を連続で撮って景色を楽しんだ。そして頂上に着いた所で………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「はぁ〜こんな壮大な景色を見ながら昼食が出来るなんてな………登ってきた甲斐があった。あっ………ご一緒します?」

 

白い猪「………」コクコクッ

 

八幡「じゃあお礼にもならないですけど………コレちょっとですけどどうぞ。」

 

 

俺は取り出した弁当の中身の具材を少しずつ分けてから猪の近くの地面へと置いた。猪はまるで動物がするとも思えないような行儀の良さで食べていた。絶対飼われてたでしょ?

 

 

八幡「……いただきます。」

 

 

俺の隣で白い猪が食事をご一緒しているという奇妙な体験をしている。あっ、飲み物欲しかったらどうしよう………俺の飲み物スポドリだし、この瓢箪の中の酒か?けど絶対怒らせるよな………

 

 

 

 

 

 

 

 


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