俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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明け

 

 

八幡side

 

 

八幡「………どの角度から見ても綺麗だよなぁ、コレ全部。何の宝石なんだろうなぁ?」

 

 

俺は今、1人自分の部屋で山の神様から貰った6種の原石をついてる電気を覗かせるようにして見ていた。透明なヤツも意外と透き通って見えるのだ。加工してアクセサリーにするのもアリだろうが、このままの形のまま残しておくのも縁起があって良い気がする。まぁ先ずは千葉に帰ってからの鑑定だな。

 

 

八幡「けど、御守りみたいなのがなくなってたのは、自分のだったからか?そうでなければ持ってくなんてあり得ないしな。他の持ってきた物と貰った物はあったってのに………まぁでも別に良いよな、これだけはって思いだったんだろう。」

 

 

ガチャッ

 

 

柊「あっ、八幡君此処に居たんだ。あのね、年越し蕎麦なんだけど、八幡君は蕎麦に何かトッピング入れる?ネギは元々入れる予定なんだけど、結構色々あるでしょ?揚げ玉とか天ぷらとか、蒲鉾に油揚げって入れようと思えばかなりあるでしょ?何かある?」

 

八幡「そうだな、俺は天ぷらがあればそれでいいぞ。『これがなきゃ年越せねぇ!』とかは無いから。」

 

柊「あはは、そっか。因みにだけど、鴨肉の天ぷらも用意してあるんだ。これは量があるから全員分あるって事になってるから。」

 

八幡「そうか、じゃあ他は特に無いな。」

 

 

それにしても、やっぱり綺麗だな。

 

 

柊「原石ちゃん達、見てたの?」

 

八幡「まぁな。コイツ等の正体って何だろうって思ってる内にな。光に浴びせながら見てたらこうなってた。あっ、要件ってまだあったか?」

 

柊「ううん、今のだけ。八幡君も幽霊とか神様に会ってたりとかしてない?」

 

八幡「あぁ、今の所大丈夫だ。お前達の曾祖父にも会ってないし、白い猪にも出くわしてねぇ。帰って来てから今の所は普通の人間にしか会ってないから安心しろ。」

 

柊「そう?なら安心♪」

 

 

柊は要件を達成したにも関わらず、部屋から出て行こうとはせず俺の隣にチョコンと座った。そしてそれから俺の膝に頭を乗せ、膝枕をしていたのだ。

 

 

八幡「どうした?今日全く話せなかったから八幡君成分の補給か?」

 

柊「それもあるよ。ただ私が今はこうしたいって思っただけ。」

 

八幡「そうか。」

 

 

静まり返る部屋だが、前にも言ったが俺はこの空気が嫌いではない。元々俺はそんなに話す方ではない、会話のラリーだってあまり……というよりもそんなに人と話した経験が無いからな。だが柊と関わってからは少しずつこういぅ時間が増えた。最初こそ戸惑った、突然頭を膝を乗っけてくるんだからな。そして今は少しの事なら分かるようにもなった。以心伝心ってヤツだ。それが本当になるかどうかは分からんけど。

 

 

八幡「………『今年も後もうちょっとで終わりかぁ〜。今年は八幡君と2人きりで新年を迎えようかなぁ?』とかか?」

 

柊「えへへ、当たり♪」

 

八幡「マジで?」

 

柊「うん、マジ♪」

 

八幡「おいおい、嬉しいけどやめろよ?おじさん達はないだろうが、涼風が泣くぞ。」

 

柊「え〜そう?最近私達だけの時間が減ったでしょ?だからさ………良いんじゃない?」

 

八幡「ったく、悪いお姉様だな。」

 

柊「あら、今更気付いたの?」

 

八幡「知ってたよ、当然。」

 

 

俺は柊の頭に手を置く。多分柊もこれを望んでいたと思う。こんな風にする事、最近は無かったしな。

 

 

柊「なんか久しぶり、こんな風にのんびりするの。普段は涼風も一緒だから大っぴらな事は出来ないけど、こんな風に2人だけの時間でこういうのは本当に久しぶりだよね。」

 

八幡「そうだな………3人の時間が嫌いってわけではないが、柊との時間ってのは減ってたのは確かだな。けどまぁ、義妹とも仲良くしたいって気持ちは汲んでくれないか?」

 

柊「私もそうだよ。放っておけない妹がいるから構ってあげなくちゃいけないんだ。だから八幡君もこれからよろしくね?」

 

八幡「嫁さんからそう頼まれちゃあ仕方ないな。」

 

柊「そう、私からのお願いだから仕方ないのっ♪」

 

 

ルビーを連想させる美しい赤い瞳からは慈愛と優しさを滲ませながら俺を見つめていた。俺達は暫くこの体勢で話をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御影「んんぅ〜出汁が効いてるね〜。」

 

八幡「はい、美味いです。」

 

涼風「どうですか八幡さん、精一杯打って作った手打ち麺なのですが………」

 

八幡「あぁ、美味い。流石は涼風だな。和食の腕なら柊にも勝てるんじゃないか?」

 

柊「聞き捨てならないねぇ?あっ、なら今度勝負でもしてみよっか?私達がお弁当を作って八幡くんに食べてもらうのっ!テーマは和食、食材は自由にしてさっ♪」

 

涼風「それは良い考えです!」

 

八幡「待って、その場合って俺が2つの弁当を食べるって事になるけど、そこの所どうするの?」

 

柊「え、八幡君頑張って?」

 

涼風「八幡さんなら大丈夫です!」

 

八幡「何その俺ならいける的な謎理論は?」

 

紫苑「ふふふっ、八幡君〜据え膳食わぬは男の恥よ〜?残したら許さないわよ?」

 

八幡「今は静かにしててくれませんかね?」

 

御影「2人共、分かってると思うけど、八幡君に作るお弁当なんだから手を抜いちゃダメだよ?」

 

柊/涼風「うん!(はい!)」

 

八幡「おじさん、塩送るどころか岩塩ぶちまけるのやめてくれません?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「今年も終わりだね。」

 

八幡「そうだな……あっという間だったか?」

 

涼風「八幡さんと過ごした時からは、ですね。」

 

八幡「まっ、来年からも良い年になれるようにしてこうぜ。初詣では厄介事やうるさい奴が絶対に来ませんようにって。」

 

柊「そのお願い、八幡君がしてね?私達は別のお願い事をするのに手一杯だから!」

 

八幡「じゃあお前らの分までしっかりとお祈りしておくとしよう。」

 

 

さて、そんじゃあ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡/柊/涼風「新年、明けましておめでとうございます。」

 

 

 

 

 


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