俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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1番

 

 

小町side

 

 

最近、お兄ちゃんと過ごす時間が減っている比企谷小町です。いや、別に寂しいってわけでもないんだけど、前まで……って言っても2年くらい前だけど、シスコンだったお兄ちゃんが彼女が出来たからとはいえ、あまり構ってくれなくなったのは、ほんっっっっとうに少しだけ寂しく感じる。

 

けどホント休みの日に見かける事なんて無いもん。平日の金曜日には必ず柊さんの家に泊まりに行くし、そうでなくとも今は冬休み中だから家を空ける事が多い。受験生で勉強漬けになってる小町への当てつけ?いや、違うって理解はしてるけどね?彼氏の居ない小町にとって見せつけられているようにしか思えないわけですよ。

 

そんなお兄ちゃんが滋賀県から帰って来て色々お土産を持って帰って来てくれたんだけど、その中に1つだけ変な物があった。赤色に黒模様のついた大きめの瓢箪だったの。なんかお兄ちゃんにしては変なの持って来たなぁ〜って思ったんだけど、向こうに登山をした時に持って帰った物らしいけど………それっていいの?

 

なんかお兄ちゃんから注意も貰った。

 

 

八幡『この瓢箪の中身の匂い嗅ぐなよ?メッチャ酒臭いから。どうしても嗅ぎたいって言うなら嗅いでも良いが、後の事なんて俺は知らんから自己責任で頼むな?』

 

 

って言われた。って事はお兄ちゃんはあの瓢箪の匂いを嗅いだって事だよね?いや、嗅がないよ?興味はあるけど流石に小町はそこまで命知らずじゃないから。でもどんな匂いするんだろう?ビールとかの匂いは嗅いだ事あるけど、それよりもっとかなぁ?

 

 

小町「はぁ〜………ちょっと休憩!ずっと睨めっこしてたけど、もう限界!なんか飲もっと。」

 

 

あっ、そういえばお兄ちゃんが修学旅行で買って来た有名なコーヒー店のロックメイのも〜らおっと♪あの日以来飲ませてもらってないし、1杯くらいなら良いよね〜。

 

 

ーーー八幡の部屋ーーー

 

 

小町「さって何処かなぁ……ってアレ?こんなのあったっけ?ていうかコレ冷蔵庫?こんなのいつの間に買ってもらってたの?ズッルイなぁ〜お兄ちゃんは。まぁいいや、あったあった♪じゃあ早速……ん?」

 

 

なんか付箋が貼ってある………あっ。

 

 

『小町、勝手に飲むなよ?飲んだらすぐに分かるからな?もし飲んだら冷蔵庫の中にあるおやつ、俺が食ってやるからな。』

 

 

小町「………」

 

 

私は取り出そうとしたロックメイのコーヒーをソッと冷蔵庫の中へとしまってお兄ちゃんの部屋を後にした。だっておやつの方が大事だもん!けどいつの間にこんな良い冷蔵庫を買ったんだろう?お兄ちゃんの部屋に入る機会なんて滅多にないから知らなかったけど、こんなの置いてあるとは思わなかったなぁ………

 

あっ、瓢箪も置いてある。

 

 

ガチャッ

 

 

およ、誰か帰って来た。お兄ちゃんかな?

 

 

八幡「はぁ〜………」

 

小町「お兄ちゃんお帰り〜。」

 

八幡「よぉ小町、たで〜ま。勉強は捗ってるか?」

 

小町「今休憩中。お兄ちゃん、ロックメイのコーヒー牛乳飲みたい〜。」

 

八幡「しょうがねぇな、1杯だけだぞ。」

 

小町「わぁい、さっすがお兄ちゃん!!」

 

八幡「はいはい、どうもどうも。」

 

 

適当だなぁ〜………

 

 

小町「今日は柊さんのお家じゃなかったの?」

 

八幡「あぁ、今日は1人で街まで行っただけだ。偶には1人の時間も過ごさないとって思うしな。柊はどう思ってるかは分からんが、偶にはこういう時間も必要だろう。」

 

小町「お兄ちゃんってさ、偶に良い事言うよね。」

 

八幡「偶には余計だ。まぁそのおかげで新刊も買えたし、久しぶりに行ったゲーセンでは良いもんも取れたし、久しぶりに1人でリフレッシュ出来たかもな。(最後のが無ければだが、な。)」

 

小町「良いもんって?」

 

八幡「マッ缶のデカいぬいぐるみ。」

 

小町「………それ、良いもんなの?」

 

八幡「俺にとってはな。お前は………何だろうな?何が好きなんだ?やっぱ肉か?」

 

小町「否定はしないけどさ、もっとなんか選択の幅なかったの?」

 

八幡「お前ならこれかなぁってのが肉しかなかった。他になんかあったっけ?プリンとか?」

 

小町「おっ、良いじゃん♪大きいプリンのぬいぐるみ、欲しくなって来た〜!」

 

八幡「じゃあ頑張ってネットで探せ。ゲーセンにはなかったから諦めろ。」

 

小町「じゃあもしあったら?」

 

八幡「そこは頑張れよ。」

 

小町「えぇ〜その時はお兄ちゃんも一緒に手伝ってよ〜!小町1人じゃ自信ない〜!」

 

八幡「暇だったら付き合ってやるよ。」

 

小町「まっ、そうなるよね〜今の1番は柊さんだもんね〜。いやぁ〜お熱いですなぁ〜。」

 

八幡「否定はしないが揶揄うんじゃねぇよ。ほら、出来たぞコーヒー牛乳。」

 

小町「わぁいありがとう〜♪」

 

八幡「んじや、俺も飲むか。」

 

 

………すっかり変わっちゃったんだね、お兄ちゃんにとっての1番は。今まで私が1番だったからかなぁ〜取られちゃったよ。まぁでも仕方ないよね、いつかはこういう日が来るんだもん。

 

 

八幡「………何辛気臭い顔してんだ?お前らしくもない。どうした?」

 

小町「……ううん、別に。勉強で分かんない所どうしよっかなぁって思ってただけ。」

 

八幡「俺は文系しか受け付けないからな。」

 

小町「最初から頼ってないし。」

 

八幡「あっ、そうですか………」

 

 

 


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