俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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実行委員

 

 

八幡side

 

 

夏休みから1ヶ月くらい月日が経った。期末考査も終わって漸く羽を伸ばせると思っていたのだが、厄介事というのは平和が訪れてから来るのが定石とは誰が考えたのやら、ゆっくりもさせてもらえないのだ。どうしてかって?それはもうすぐ文化祭が始まるからである。まぁ普通だったら楽しみなんだろうが、俺は違う。何でこんなイベントを楽しまなきゃならんのだ。こんなの陽キャとかがウェイウェイ言いながらバカ騒ぎするようなイベントだろ?俺、参加したくねぇよ。

 

そして今は文化祭実行委員とかいう組織の役員決めなのだが………一向に進まない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

委員長「え、えぇっと〜誰か居ないかな?」

 

 

いやいや、誰もやりたがらんって。考えてみろよ、葉山の居るクラスだぞ?わざわざ葉山と離れてまで地味〜な作業したがる奴なんていねぇだろ。まぁ俺はあんな奴と一緒に作業しようなんて思わねぇけど。

 

 

委員長「せ、先生………どうしましょう?」

 

平塚「はぁ………しょうがない、誰もやりたがらんのなら、そうだな……古典的だがくじ引きだな。」

 

委員長「じゃあそれで。」

 

平塚「お前達、今からくじ引きをして紙に×が書いてあった奴が実行委員だ。なりたくないだとか嫌だとか喚いても聞かないからな?」

 

 

あ〜あっ、こうなったか………

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

委員長「じゃあ男子はヒキタニ君という事で、次は女子を決めていくんだけど、誰か居るかな?」

 

 

最悪だ、何でよりにもよって俺なんだよ。しかも平塚先生メッチャ笑顔だし。それにさっき『リア充爆発しろって念を込めながら書いた甲斐があった!』とか言ってたの聞こえてたからな!!それに今から女子決めるとか言ってたけどよ、居るわけねぇだろ!!ナメてんのか!?俺と組みたい女子が居たらソイツは変わり者か天使くらいだわ!!

 

 

???「あっ、それ私がやるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

委員長「え、いいの海老名さん?」

 

姫菜「うん、私がやるよ。」

 

優美子「ちょっ、待つし姫菜!アンタあーし等と一緒に作業するって言ってたじゃん!」

 

姫菜「けどさ、これじゃいつまで経っても終わらないし、またくじ引きする羽目になるでしょ?それにヒキタニ君には悪いけど、この中で彼と一緒に文実したい人って居るの?」

 

 

うん、確かに。確かに失礼だ。けど海老名さんのいう通りでもある。

 

 

姫菜「私は別にヒキタニ君の事避けてるわけでもないし、苦手でも嫌いでもないしね。まぁクラスの出し物には参加出来なくなるけど、そこは皆で頑張ってって事で。」

 

 

このクラスで1番大人な人は間違いなく海老名さんだ。平塚先生よりも大人だ。

 

 

委員長「じゃあこのクラスの文化祭実行委員はヒキタニ君と海老名さんで決定するから。」

 

 

……後よ、どうでもいいけど俺の苗字は比企谷だ。誰も聞いていなかったのかよ、夏休み明けの雑誌の時に。このクラスにそれを求めても無駄か。

 

 

平塚「漸く決まりか……じゃあ実行委員の2人は放課後になったら会議があるから会議室に集まるように。それじゃあ次に移るぞ〜。」

 

 

ーーー放課後ーーー

 

 

姫菜「いやぁ〜なんか新鮮だね〜。こうしてヒキタニ君と歩くなんてさっ!普段は優美子達と歩いてるから他の人と歩く事なんてないからね〜。」

 

八幡「そうか………」

 

姫菜「ヒキタニ君は私がどうして文実に立候補したのか聞かないの?」

 

八幡「別に興味ないからな。話したいのなら話してもいいけどよ。」

 

姫菜「そうだねー。理由としては私の計画が潰れちゃったからかな。」

 

八幡「計画?」

 

姫菜「うん。劇やろうと思ってたんだけどね、主役のヒキタニ君が文実に選ばれちゃったからもうやる意味無いなぁ〜って思ってさ。」

 

 

なぜ俺が主役なんだ?

 

 

姫菜「そして純粋な戸塚君と劇をやって良い感じに……うっはぁ〜!」

 

 

あぁ……海老名さんはアッチ系の人か。俺とは相容れない趣味を持っている人種だ。BL好きだったとは少し驚きだ。

 

 

姫菜「けどそれがもう出来ないから、こうして文実に立候補したってわけ。ヒキタニ君が居なければ意味のない演劇だもの、もうやる意味ないし。」

 

八幡「バッサリだな。俺以外に代役は居ないのか?その辺の男子使えば良かっただろ。」

 

姫菜「ダメダメ!それじゃ私のストーリー性と全く合わないの!やさぐれ系男子と純情系男子でウケるんだから!!」

 

八幡「………俺ってやさぐれてるのか?」

 

 

だとしたら心外だ。俺は別にやさぐれでなんていない。どこにでもいる普通の高校生だ。まぁここ最近はちょっと騒ぎがあって注目されてたが、それももう終わった事だ。

 

 

姫菜「………やっぱり思ってた通りだよ。」

 

八幡「は??何がだ?」

 

姫菜「ヒキタニ……ううん、比企谷君って普段は喋らないだけで普通に受け答え出来るんだなぁって。しかもそれが少し面白い方向で返してくれるから。」

 

八幡「受け答えくらいならできる。その相手がこの学校にいないだけだ。作る気もないしな。」

 

姫菜「……うん。私ね、君とならいいお付き合いができそうだよ。」

 

八幡「それはどういう意味でだ?」

 

姫菜「勿論友達としてだよ。君みたいな感性を持ってる人なんて滅多にいないでしょ?」

 

八幡「大量に居たら困るだけだけどな。それに、俺はBLに興味ねぇからな?勧めたりとかするなよ?」

 

姫菜「良いじゃん!新たな扉を「開けねぇよ!!開けてたまるか!!」あっはは!」

 

 

 

 

 

 

 


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