涼風side
それにしても本当に酷い内容の手紙です!この手紙を書いた方達は八幡さんの事を何だと思っているのでしょうか!?八幡さんは寛容なお方なので、攻め入ったりしようなんて考えはしていないようですが、そんな八幡さんの優しさに気付けないような方達とお付き合いする気など毛頭ございません!!
柊「………」ゴゴゴゴゴ…
涼風「………」ゴゴゴゴゴ…
八幡「……なぁ、大丈夫か?」
柊「うん、すっごく気持ち悪い手紙の内容だったからムカついているだけ。」
八幡「………因みに聞いても?」
柊「八幡君から俺に鞍替えしろよ的な発言を手紙に書いてるの。しかも八幡君の事、ゾンビって例えてた……身の程を弁えて欲しいよホンットに!!」
涼風「私の方にも……八幡さんのような冴えない奴と一緒に居ない方が良いと。優しく言ってるつもりでしょうが、これは暗に『あんな見栄えも何も無い奴なんかよりも俺と一緒の方が良い。』という風に聞こえます。お姉様の言う通り、身の程を弁えて欲しいです!」
八幡「そんなこと言われるような事、俺したかねぇ?何も身に覚えがないんだが?」
柊「八幡君にある訳ないじゃん!ただ向こうが勝手に逆恨みしてるだけでしょ!鞍替え?する訳ないじゃん!八幡君に比べたら1μも魅力も無い人と誰が付き合うもんですか!」
八幡(朝から白熱してるなぁ〜………柊は兎も角として、涼風も声を上げて言うのは余程嫌な文だったんだろう。送り主の皆さん、俺が心の中で返事を送ります。チャンスも何もありませんでした。雑巾で顔面の汚れをよ〜く取ってから他の女にアピールでもしてろ。)
八幡「それで、その手紙どうすんだ?」
柊/涼風「捨てる。」
八幡「言うと思ってた。その手紙だが、今はまだ取っておかないか?後々使えそうだし。俺の手紙もある意味では使えそうだしな。」
柊「けどどうするの?」
八幡「平塚先生に見せる。」
ーーー職員室ーーー
平塚「成る程な……これがその手紙か。」
八幡「はい。2人にはラブレター、俺には恐喝っていうんですかね?それとも脅迫?それらしい文がデカデカと書いてありますよ。」
平塚「………これは確かに酷いな。」
涼風「それから最近、他学年の男子の方達からしつこく付き纏われているのです。噂の影響もあるとは思いますが、正直に言って私たちは迷惑をしています。」
柊「お昼休みや下校の時なんかも私達の事なんて気にもせず、自分の成したい事だけしか見えてないみたいです。私達でも何とかやってはいますけど、先生達の方からも何か口添えって出来ませんか?」
平塚「そうだな………君達の場合事情もあるしな。分かった、今日は無理かもしれんが、放課後にある職員会議で話してみる事にしよう。それでも構わないか?」
八幡「対処してくれるだけでもありがたいです。じゃあ俺達も教室に戻ります。」
ーーー2-Fーーー
八幡「………」
柊「?」
涼風「あの、八幡さん?どうかされたのですか?」
八幡「……なぁ、手紙の事は除くとして、朝から昨日の先輩や1年達は何処行った?ここ最近は校門前とかで待ち伏せてから教室までついて来たりするのに、今日はその影すらなかった。それに今の時間もだ。何か不自然だ。急に来なくなる事ってあるか?それも全員一斉に。」
っ!そういえば朝から見かけもしませんでした………八幡さんとお姉様とのお話に夢中で気付きもしませんでした。
八幡「………なんか不気味だ。」
柊「うん、確かに………」
涼風「今日だけ偶々、なんて事は……」
八幡「こんな手紙を書くアイツ等にそんな頭があるとも思えないが、分からない事だらけだな……っ!」
柊「?八幡君?」
八幡「………お前等、顔はこっちに向けたままでいろ。その場から動くな。」
涼風「は、はい。」
八幡さん、一体どうしたのでしょう?
八幡「……っ!」
「う、うわあぁぁ!!」
柊「は、八幡君!?」
涼風「八幡さん、一体何を!?」
八幡「コイツ、俺達の事を影からコソコソ見てやがった。」
柊/涼風「っ!?」
八幡「ん?お前は………」
「くっ………」
お知り合い、でしょうか?ですが八幡さんに後輩のお知り合いがいるとは聞いた事がありませんが。
柊「八幡君、そこに居るのって誰なの?」
涼風「お、お姉様?」
八幡「やっぱりそうか……お前、あの時の騒ぎで停学になった1年だな?」
※詳しくは22話【八幡、ついに………】を参照。
八幡「なんで俺達を見張るような事してた?」
「………」
八幡「成る程、黙秘か。じゃあお前の依頼主は泰納宰安って事だな?」
「っ!な、何で分かった!?」
八幡「ほう?カマをかけてみたが、本当にそうだったのか。成る程、あのねちっこそうな奴の事だし納得も出来る。黒板に柊達の事を書いたのもお前の仕業だな?どうなんだ?」
「……くそっ、あぁそうだよ俺がやったんだ!!」
八幡「お前だけか?他には?」
「っ……いねぇよ。「嘘だな、まだ居るよな?1人って事にして良いのか?このままだとお前1人だけが泥被る羽目になるぞ?」………」
そして1年生の彼は黒板に書いた実行犯の名前を言いました。どうやら全学年に2人ずつ協力者がいたようです。
八幡「……今度のは嘘じゃないな?」
「う、嘘じゃない!!本当だ!!」
八幡「………まぁお前のその言葉、今は信じる。さて、今日はやる事が多いな。また職員室に行かなきゃならん。」
黒板に私達の事を書いた実行犯の1人は自白しましたが、何故でしょう………先程から胸騒ぎが止まりません。どうしてでしょう?