八幡side
あの1年を使ってその他の協力者を捕まえに行った所、どうやら本当にあの泰納と繋がっていたらしい。繋がっていたと言うよりも、一方的な関係だったらしいが。まぁ簡単に言うと、金と俺だ。金が欲しいのは分かってたが、どうも俺が柊と涼風と一緒に居るのが気に食わなかったらしい。今まで言う機会もきっかけも無かったから手出しせずに居たようだが、今回の事で手を出す気になったとか………なんともアホらしい。
教頭「……成る程、それで君達は先日の黒板の騒動を起こしたと。しかも君達に至っては受験を終えて卒業を待つ身だというのに………こんな事をしでかすなんて。」
「「「「「「………」」」」」」
八幡「それで、この場合ってどうなるんです?」
教頭「……私個人では判断ができない。校長先生と教師全員での会議を開く事になるだろう。規模が全学年なのだ、教師全員で真剣に話し合わなければならない。」
八幡「そうですか。」
因みにだが、俺はあのグループの事は話してない。この6人が協力して実行したという事にした。ややこしくなりそうだしな。
教頭「取り敢えず、今日はもう帰りなさい。君達6人の処遇についてはまた後日、報告させてもらう。甘い罰になるとは思わない事だ。」
そして俺達は職員室を後にした。すると………
「テメェ!!なんて事してくれやがったんだ!!おかげで罰を受ける羽目になっただろうがっ!!」
「そうだ!!責任取りやがれ!!これのせいで大学に落ちたらどうしてくれるんだ!!浪人なんて俺は御免だぞ!!」
八幡「そんなの知りませんよ。たかが金欲しさでこんな事したんだ、そのくらいの覚悟あったんでしょう?それとも何ですか、自分達は守られてるとでも思ってたんですか?」
「ぐっ………」
八幡「それに、俺がさっきあのグループの事を言わなかった事を感謝して欲しいくらいですよ。もしそれでグループの被害が被ったら、アンタ等だってこの学校だけの騒ぎになってないかもしれないんですから。それをこの場だけで収めてやってんですよ?ありがとうの一言くらい貰いたいくらいですよ。」
「「「「「「………」」」」」」
当然嘘だ。いや、あるかもしれないけど、九分九厘無いだろう。そうなれば利用した会社の責任になるだろうし。もしかしたら少なからず何かはあるかもしれないけど。
八幡「まぁ、もうどうでもいいけどよ。それに、貴方さっき責任取れとか言ってましたけど、こう言いますね。自業自得だこの野郎。」
「………」ガクッ
そう言い返して俺は2人が待つ教室へと向かった。
ーーー2-Fーーー
柊「あっ、八幡君♪」
八幡「悪い、遅くなった。」
柊「ううん。それでどうなったの?」
八幡「あぁ、教師全員で話し合って決めるそうだ。規模がデカいみたいだから、全員の意見を聞きたいんだと。まぁ俺は俺達に迷惑をかけなければ何でもいいけどよ。」
涼風「そうですか……いえ、そうですね。私も八幡さんの意見に賛同します。」
柊「さっ!じゃあ用事も終わったし帰ろっか♪校門前には宮間さんも待ってる事だしさ。なんか堂々と出来るっていうのはそれはそれで良いよね。」
八幡「まっ、今更目立つ事を気にしても仕方ないしな。割り切るしかないよな。」
ーーー校門ーーー
宮間「お待ちしておりました、お嬢様方、若様。どうそ、お乗り下さい。」
八幡「宮間さん、わざわざありがとうございます。俺の家まで送ってくれて。」
宮間「とんでもございません。旦那様や奥様、お嬢様方がお認めになられたお方に尽くせるのであればこの宮間、雑用でも何でも謹んでお受けする所存でございます。」
ホントこの人凄いよな………
涼風「………」ソワソワ
柊「涼風、まだ胸騒ぎが止まらないの?」
涼風「は、はい……その、お昼に感じた時よりもより強く感じるのです。なんかとても不安で………」
八幡「何なんだろうな?涼風がそんな風になるなんて今までになかったのにな。」
柊「うん、ホントにね。私もずっと見て来たけどこんなの初めてだもん。」
涼風「………」
宮間「っ!お嬢様、前の方から煙が上がっておられます。」
柊「煙?」
宮間「はい。それも灰色の、何かが燃えているような色の煙でございます。これは私の推測ですが、涼風お嬢様の先程から続いている胸騒ぎですが、的中しているかもしれません。」
柊「え?どういう事?」
宮間「大変な無礼を承知で申し上げますが、この先は若様のご自宅がある方向。もしも涼風お嬢様の胸騒ぎが正しければ………」
っ!!!
八幡「すいません宮間さん、少し急いで下さい。」
宮間「かしこまりました。」
俺は家の前まで着いた。目の前には俺の住んでいる家が炎によって焼かれている姿だった。
八幡「………」
柊「そんな………」
宮間「………」
涼風「酷い………」
燃えていない場所が無いくらい、家は炎で包まれている。今日の朝まで普通に過ごしてた家がこんな風になっているのは、とても信じられなかった………
「あぁ、八幡ちゃん!」
八幡「っ!あぁ、おばさん。」
「あぁ誰がこんな酷い事を………どんな理由か知りゃしないけど、八幡ちゃんの家を焼くなんて!!」
八幡「あの、消防に連絡とかって?」
「もうしてあるよ!すぐに来てくれるそうだから安心しなさい!」
………
柊「八幡君………」
八幡「………親父達に連絡する。小町には学校で待ってもらうように言っとくわ。」
涼風「は、はい………」
俺は今、何も考えられない頭で言葉を探しながら、小町に学校で待ってもらうように説得した。親父達は夜遅くまで働いてるけど、電話は早めにしておくべきだと思ってるんだが、今はそんな気持ちにはなれなかった。